第18話 24時間生配信③ 奇跡
時刻は早朝の6時……そろそろ仕事、学校に行く為に起きる人が出始める時間帯だ。
配信を始めてからはや6時間……流石の俺でも疲労が出始めていた。
頭がクラクラとし……回らない。
何もしないでいると思わず寝てしまいそうなそんなギリギリの状態だった。
俺はエナジードリンクを手に取った。
そして、プシュッと音を立てて開ける。
それをゴクゴクと飲む。
少しだけ炭酸の入った甘い液体が喉を通る。
今日はこれで3本目だ。
「さぁやるぞ!」
俺は再び気合を入れ、ゲームに取り掛かった。
この最終ステージだけで3時間も時間を使っている。
別に、急がなきゃいけない訳じゃあ無いがそろそろ終わらせたいところではある。
この文字のフォントも、地面のテクスチャも見飽きる程見た。
何も見なくても書けるという自信がある。
君は奇跡を信じるか?
よく聞く問いだが、俺はそれを問われたらこう答える。
奇跡は存在すると……
それは、一瞬の出来事だった。
ボスのヒットポイントを限界まで削り、後1発当たれば倒せる所まで来た。
しかし、こちらのヒットポイントも1で次当たれば死ぬ。
その時、背景と同化して気づかなかったがボスの攻撃が目の前に来ていた。
俺はそれに気づくと焦って適当なボタンを押した。
かろうじて攻撃を避け、がむしゃらに放たれた攻撃が当たったのだ。
ボスに。
終わりは呆気なかった。
特にクレジットが流れる訳でも、壮大な音楽が流れる訳でも無く、ただ、『クリア』と端的な1言が金色で書かれていただけだ。
それでも、俺は勝利の歓声を上げ、泣きそうになった。
達成感……というやつだろうか。
苦労した分、達成感が強かった。
「あー!!やった!!やりましたよ!!皆さん!!遂に……嬉しすぎて涙が……」
『おぉー!!!!!!』
『クリアおめでとうございます!!!』
祝福のコメント、投げ銭が滝のように流れた。
「皆、ありがとう。皆が居なければ、ここまでやれてなかったよ。」
これはお世辞何かじゃあない。
本当だ。
視聴者が応援をしてくれていなかったら俺は途中で投げ出していただろう。
そこで、改めて視聴者の大切さを理解した。
「いやーそれにしても難しかったー特にあそことか難しかったー」
『あーあの部分ね。』
『次回の配信もこのゲームお願いします。』
「もうこのゲームのタイトルすら見たくないよ。……時間も良い感じだしそろそろ1枠目終わるねー次は20分後にしようかな。じゃあまたねー」
良い感じの区切りができたので俺はプライベート休憩に入る事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます