第14話 公園

 公園内では、小鳥がさえずり、花が咲いていた。

こんな日には、俺みたいなやつは家に引きこもっているだろう。

温かい日光が、俺達を照らす。

秋にしては温かい方だと思う。


「あ、温かいね……」


千愛がそう言った。

相当、会話に困っているのだろうか……

それを言えば俺も何だが……


「そうだな。」


端的な返しだった。

それしか思いつかなかったから仕方ない。


 いつの間にか、俺の手の温度が周りの空気の温度より高くなっていた。

つまり、いつの間にか手を繋いでいたという事だ。

俺はそんな事をした記憶がない。


「手、繋ぎたかったのか?」


相変わらず、デリカシーに欠ける事しか言えないのは昔からだろうか。


「……」


何も言われずに手を離されてしまった。

もしかしたら俺の事が嫌いなのかも知れない。

でも、抽選の応募をしてくれたのだ。

俺の事が嫌いな訳が無い。

いや、手違いの可能性も……

そう考えてる途端、再び俺の手が温かくなった。


「し、仕方ないから、手、繋いであげる……」


うーむ、性格が掴め無いな……

まぁ、取り敢えず手を繋いでくれたし軽めに握り返しておくか……


 暫くの間、俺達は公園内を適当に歩き回った。

途中、気まずい事もあったが何とかなった。

まぁ、苦では無かった。

寧ろ、楽しかったまである。

今、俺達は公園のベンチで休憩している。

目の前に見える木の葉は、何とか、秋の重みに耐えていた。

しかし、その中の1枚が重みに耐えきれなくなり、ヒラヒラと舞い落ちる。

それは、俺の手の平に収まった。


「おぉー、吸い付くように落ちてきた。」


「凄い。中々無いんじゃないの?」


「結構な確率だよな……って事で、ちょっと町を周ろうぜ。」


「あははっ、何でそうなるの?」


結構、馴染んできた感じはある。

遅すぎる気がするが……

まぁ、馴染めればそれで良いのだ。


「行くか!」


「うん!」


そうして、俺達は適当に決めた町周りをする為に、公園を出た。


 目が覚めると、無機質な白い壁が目に飛び込んできた。

俺は、今の状況が意味不明で困惑していた。

右に目をやると、小さなサボテンのオブジェクトが置いてあり、左に目をやると、窓だった。

恐らく、ここは病院のようだ。

俺は何故こんな所に居るのだろうか……

その瞬間、ピロンとスマホから通知音が鳴った。

俺は何とかして、スマホを取り、内容を確認した。

咲凪からのメールだった。


『事故に遭ったの?!大丈夫?!』


という簡潔なものだった。

どうやら、俺は事故に遭ったらしい。

でも、体の感じからしてかなりの軽症で済んだらしい。

入院も必要無いだろう。

俺は咲凪に大丈夫と返信をした。

それと同時に病室の扉が開いた。

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