第13話 カフェ
「何食べる?」
俺は千愛に聞いた。
因みにこのカフェは俺が良く来るところなので俺は何を頼むかは決まっている。
「これが良いかな……」
千愛がメニュー表を指差した。
「奇遇だね。俺もそれにしようと思ってた。」
「じゃあ、店員を呼ぼうか。」
俺は呼び出しボタンを押した。
それと同時に店内に何とも言い表せない音が鳴った。
「ご注文お伺いします。」
暫くして、店員がやって来た。
「これと……これで。」
「少々お待ち下さい。」
注文を告げると、店員は厨房に戻っていった。
あの様子だとかなりのベテランのように思える。
そんなことより、今、この状況、かなり気まずくないか?
表すとすれば、お見合い見たいな空気が流れている。
「何で、私を選んだの?ま、まぁ別に?選ばれたからって嬉しい訳じゃないけど?」
何で選んだか……正直に言うと、抽選で決まったのだが……それを言って大丈夫だろうか……ここは、嘘でも良い事を言った方が良いよな。
嘘も方言と言うし……
「千愛が良かったから。」
……自分にこんなに気持ち悪い事を言う才能があるとは驚いた。
引かれてないと良いが……
「別に、嬉しくないからね!」
そう言われてしまった。
これは引かれているのだろうか?
微妙なラインだ。
と言うかよくよく考えてみればこれをデートだと思ってるのは俺だけ何じゃあないのか?
だとすると、凄く恥ずかしいのだが。
「お待たせしました。」
どうやら、注文した物が届いたようだ。
俺達は黙々と食べ始めた。
千愛はあれ以降そっぽを向いたままだ。
やはり、引かれているのだろう。
そんなこんなで昼食を食べ終えた俺達だったがこれから先何処に行くか全く決めていない。
「なぁ、次何処に行く?」
俺は意を決して聞いてみた。
既に引かれているのならいくら引かれても変わらない精神だ。
「……あそこの公園に行きたい。」
千愛は小さい声でそう言った。
意外にもそこまで引かれてないようだ。
それにしても公園か……最後に行ったのは何時だったかな……
昔の事を思い出そうとすると、自然と頭に天羽の顔がちらつく。
「ねぇ、今は私だけを見て……」
俺の隣でそう聞こえた気がしたが気の所為だろう。
都会の喧騒が俺に幻聴を聞かせてきたのだ。
そう考えることにした。
「……じゃあ、行くか。」
カフェを出てから、俺の口数が極端に減った気がするがこれも気の所為だろう。
この公園は自然が豊かだ。
都会の真ん中にあるからそう感じるのかも知れないが……
俺達は取り敢えず、散歩することにした。
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