第4話 豪雨のお泊り会
雨が屋根に当たり、弾け散る音が反響する部屋の中、俺は1人で座っていた。
お風呂場からは雨とは別にザザーッと体を流す音も聞こえる。
他にも「ひゃあ!」という叫び声が聞こえたりした。
大丈夫だろうか……
1人で居るときにこんな音が聞こえたら怪奇現象だが今は1人ではないはない。
俺は雨が止むことをひたすらに願っていた。
このままでは本当に咲凪が、家に泊まることになってしまう。
咲凪の事は友達とは思っているが、異性は異性で、意識してしまうのだ。
てるてる坊主でも作ろうか……
まぁ時すでに遅しってやつか……
そんな事を考えていると、浴室の扉がガラガラと音を立てて開いた。
そして、床が軋む音がだんだんと近づいてくる。
少しばかり周囲に緊張が走った。
別に大したことではないのだが……
その時、ひょっこりと咲凪が顔を出した。
それと同時に俺は緊張から開放される。
まぁ、然程変わらなかったが……
「お風呂出ましたので次良いですよ。」
そう言われたので俺は立ち上がりお風呂場まで向かう。
そして、脱衣所で服を脱ぎ浴室に入る。
そこで俺はふと思った。
このお風呂の残り湯は咲凪が入った後のものではないか……と。
随分と気持ち悪い事が頭に浮かんでしまったな。
俺はそんな考えを頭から何とか振り払い、シャワーを浴びる。
最初は冷たい水が出るが徐々に温かくなってくる。
何度これに引っ掛ったことか……
さっき聞こえてきた叫び声はこれが原因だったのかも知れない。
改善は出来ないのだろうか……
まぁ、こんな事で金を掛けるぐらいなら我慢するのだが……
多分、皆そんな感じなのだろう。
だからこれの被害に遭う人が後を絶たないのだ。
1通り体を温めた後、俺はボディーソープで体を洗う。
近頃、先に髪を洗った方が良いのではないかと思い始めたが、思うだけで終わっている。
泡を流したら次はシャンプーで髪を洗う。
それらを行った後はいつもなら静かな湖の湖畔を想像しながら湯船に浸かる所だが……今日は無理だな。
そうして、完全なる黄金の入浴タイムは幕を下ろした。
一刻一刻と時計が時間を恐ろしく速いスピードで刻む。
俺は確かにその時間の中に存在していた。
出来る事なら存在したくなかった。
年齢を重ねるごとに一刻のスピードが速くなるらしいがこのときばかりはそれは適応されないらしい。
俺の隣で寝ている咲凪がすぅすぅと寝息を立てている。
俺の心臓が外からも聞こえるぐらいバクバクと音を立てている。
互いの体が触れ合うぐらいの距離……
咲凪の体温が伝わってくる。
それを意識することによって更に心臓の鼓動音が増した。
嗚呼、どうしてこんな事になってしまったのだろうか……
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