245. ロコさんとミシャさんの来訪 3
プログレス・オンラインのメンテナンス中に行われたバグモンスターとの最終決戦。そして最後に明かされたこのゲームの真実と、ファイさんとの最後の戦い。
そんな怒涛の様な展開の後、私達エイリアスとファイさんとの話し合いや戦後処理が滞りなく行われ、ひとまずは丸く収まるような形となった。
一番の懸念点だったレキの復活は問題無く成功し、現在はスリープ状態のレキとプログレス・オンラインのログを調整しながら整合性のメンテナンスをしている状態だ。
ただ、この整合性のメンテナンスはかなり難航しているようで、最悪の場合、復活したレキはもうプログレス・オンラインの世界では存在出来ない可能性もあるとの事だった。
そんな状況で私に出来た事は、ファイさんから『出来る限り手は尽くそう』という言葉を引き出す事ぐらいで、それ以降は完全にファイさんに任せている状態だ。
そしてそんな懸念点を残しつつも一先ずは身の回りの状況が落ち着いてくると、私の目の前には次の課題が用意された。……復学だ。
両親には転校の選択肢も与えて貰ったが、もう逃げないと決めていた私はその選択肢を選ばずに復学するという道を選んだ。
そんな覚悟から始まった復学だったが、正直に言うと現状あまり上手く行っていない。
普通に話はするが、どこかぎこちないクラスメイトとの会話。やたらと学校生活について聞いて来る担任教師。周りの人達からは、どこか腫物に触れるのような空気感を常に感じていた。
勿論復学後の学校生活は悪い事ばかりでは無い。私が休学する切っ掛けとなったクラスメイトが復学初日に謝りに来てくれて、その後も色々親身になって気に掛けて貰っているのだ。今では毎日放課後に図書室で一緒に勉強していたりもする。
学校生活は悪い事ばかりではないけれど、今の状況で仕事に専念してしまうと、それが何時しか学校を休む為の言い訳になってしまいそうで怖い。
勿論、逃げる事が悪い事だとも思っていないし、状況によってはその選択肢もとって良いとは思っている。けれど私は、将来この中学生時代を思い出す時に、精一杯頑張ったと心から思える私でありたい。……一度逃げ出した私だからこそ、そう強く思うのだ。
「だから今は、少なくとも中学を卒業するまでは学業優先で頑張りたいと思っています」
私は自分の今の気持ちと考えを飾らず素直に話した。
皆は私の話を静かに聞いてくれて、そしてそんな私の話に対して否定的な雰囲気は一切無かった。
「ナツちゃんの気持ちは凄くよく分かったし、そんなナツちゃんの選択を私は応援するよ。じゃあ一先ず中学卒業までは学業優先でプログレス・オンライン関連の仕事に絞って活動していくという事で、その後の事はまたその時になってから話そうね♪」
「……ミシャさん、何か企んでます?」
「そんな、企むだなんて失敬な。ただ、ナツちゃんのマネージメント計画について練っているだけさ♪」
絶対に何か企んでいる。
ミシャさんは人で遊ぶ癖があるので、こういう時のミシャさんは本当に油断ならないのだ。
「美亜さん、言っておきますがあまり奈津さんに負担を掛けないようにして下さいね。場合によっては、私も相応の対応をしなくてはならなくなりますので」
「もぅ、ロコっちまで怖い顔しないでよ。大丈夫大丈夫。このミシャさんを信用しなさいな♪」
「……はぁ~、貴女の事をよく知っている人物で、今の貴女を心から信用出来る人は居ませんよ。それと、こちらで私をキャラ名で呼ぶのはお止め下さい」
どうやらロコさんも私と同意見だったようだ。
コロコロと変わるミシャさんの雰囲気と、先ほどの不穏な会話に両親が面食らっている。後で両親に、ミシャさんは悪癖持ちだが決して悪い人では無いとフォローしておかねば。
それと、私もリアルではロコさんの事をキャラ名で呼ばないように気を付けないといけない……けど、自分の事をよく知っている私自身としては、きっと間違って呼んでしまうだろうなという確信があった。
ちなみに、中学卒業までは確かに学業優先でスケジュールを組んでくれていた為、学校生活に大きな支障は出なかった。
けれど、卒業後は仕事内容も少しずつ変わっていき、中学と高校でその学校生活が激変する事になる。
そんな変化に困惑と苦労をする事になり、そういったエピソードを聞いては爆笑するミシャさんにイラっとする事になるのだが、それはまた別のお話。
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これにて『ロコさんとミシャさんの来訪』は完結です。
これからも不定期に空白の2年間のエピソードを公開していきますので、今後とも本作をよろしくお願い致します( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )
それともし、空白の2年間で詳しく知りたい所や読んでみたい話などがありましたら、是非コメント欄に書いて頂ければ幸いです♪
必ずエピソード化するとはお約束出来ませんが、書けそうな内容であれば是非書かせて頂きますので是非是非ご遠慮なく٩(๑>∀<๑)۶
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