29. 1章 エピローグ

「……黒い大きな犬が突然現れて、その後ゾンビが4体現れた、か」

「そうなんです。あまりの急展開にビックリしました! でも、レキと一緒に頑張って倒せたんですよ。ね、レキ♪」

「ワフッ♪」


 翌日、ロコさんに昨日のことを話した私は、大きな苦難を乗り越えた喜びから少し自慢げに私とレキとの頑張りを話していた。未だにレキと一緒に苦難を乗り越えたという喜びで、心がふわふわしているのだ。

 けれどその話を聞いたロコさんは額にシワを寄せ難しい顔をしている。テイマーとして私の対応は何かまずかったのだろうか。


「えっと……ロコさん?」

「ナツ、恐らくそれはMPKじゃ」

「MPK?」

「故意にモンスターを引き連れて襲わせ、プレイヤーをキルする悪質行為のことじゃ。しかもペットを使ってとなると……」


 そう言ってまたロコさんは難しい顔をして考え事を始めた。

 ロコさんはいつも明るく常にこちらを気遣いながら接してくれる人なので、こんなに深刻そうな顔のロコさんは初めて見た気がする。


「そういえば、ゾンビと戦ってるときのことなんですが、サモンリング状態だったレキが私の指示なしに突然具現化したんです。そんなことってあるんですか?」

「ん? あぁ、ペットとの友好度が高いとテイマーの危機に対して自己意志で出てくることが偶にあるのぅ。じゃが緊急時に表に出られると危ないんで、事前に言い聞かせておくと出んようにもなる」

「そうなんですね。テイマーの指示でリングになったり具現化したりするものだと思っていたのでビックリしちゃいました」

「まぁ、この現象は時間を掛けてペットと信頼関係を築いていくと出てくるものじゃから、普通はこんなにすぐ出るもんでも無いんじゃがのぅ?」


 元々レキのような色違いのレアモンスターが向こうからテイムされに来るなんてことはほぼありえないと言われていたので、もしかしたら新規プレイヤーへの隠し特典イベントで最初から友好度が高めに設定されていたのかもしれない。


「ちなみにナツよ、現在のスキルレベルはどんな感じじゃ? まだ白黒魔法と調教は30に届いておらんのかの?」

「調教と白魔法は30を超えました。……ただ、黒魔法はまだ27ですね」

「う~ん、そうか。……じゃが、少し予定を変更して今の状態でも次の狩場に移した方が良さそうじゃ」

「えっ、いいんですか?」

「ペットの安全性を考えると黒魔法スキル30の弱体化魔法まで使えた方が安心なんじゃが、またMPKが行われる可能性もある。じゃから周りに人がいる狩場の方が安全だと思うのじゃ」


 今私がメインで使っている湿地帯はレベル20までの低レベルペット用の育成場所であり、尚且つ薄気味悪い雰囲気がある場所なので人の少ない不人気育成ポイントなのだ。けれど薄気味悪さなど気にしないテイマーにとっては、育成に適したモンスターの多い狩場でもある。

 

「それと使える技能も増えて来たことじゃし、ぼちぼちテイマーとしての立ち回りについても本格的な指導をしていこうかのぅ」


 狩場の変更だけでなく、ロコさんから立ち回りについての指導もしてもらえるらしい。私は1つの壁を乗り越えて次のステップへと足を踏み入れたのだと実感し、また心がふわふわしだした。


「レキ、どんどん強くなって沢山冒険しようね♪」

「ワフッ♪」



------------------------------------------------------------------------------------------------

これにて無事、第一章の完結です。

ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました!


ここまでモチベーションを保って毎日投稿出来たのも、ハートや星やフォロー、そしてコメントにより励まされてきたからです。

特に毎話頂ける感想にはとても励まされております!

何時も読んで頂いている読者の皆様、改めてお礼申し上げます!!


これからも沢山の読者様からのコメントをお待ちしておりますので、気軽にコメント頂けると嬉しいです♪


この後はこぼれ話を2話程投稿後、第二章へと入っていきますので、今後ともお付き合いの程よろしくお願い致します^^


ここまで読んでもし面白いと思って頂けましたら、★やフォロー等で応援して頂けますと大変励みになりますので、何卒応援の程よろしくお願い致します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る