11. ロコさんからの課題

 今日は朝から冒険者組合へと来ていた。というのも昨日の戦闘指導の後に今後の課題をいくつか貰っていたからだ。

 その課題というのが以下の通り。


 1.初心者用のお使いクエストを全て熟す

 2.初期装備からの卒業

 3.レキのレベルを10まで上げる


 と、いうことでまずは冒険者組合でお使いクエストの受注だ。受けた最初のクエストは『荷物を商業組合の受付に渡す』というもので、本当にただのお使いだった。

 私は冒険者組合を出てすぐにマップを開き、商業組合の場所を確認してスタスタと目的地へと向かう。最初こそ苦戦したマップだけど、この街の中に限ってはかなり馴れてきた。その内、リアルでも普通に地図が読めるようになるかもしれない。

 

 辿り着いた商業組合の外観は冒険者組合の物と違い、『お金掛けてます!』と言わんばかりの白くて大きな建物だった。木造の冒険者組合とはえらい違いだ。

 建物の中も綺麗にしてあり、不思議と空気が澄んでいる気さえする。私はすぐに受付に向かい冒険者組合から預かっていた荷物を渡した。


「はい、確かに受け取りました。では、こちらの受取証明書を冒険者組合の受付に渡し、クエストの完了をご報告下さい」


 受付の女性から受取証明書という1枚の紙を受け取り、そそくさと来た道を戻って本日2回目の冒険者組合へと向かう。そしてこの受取証明書を渡してクエスト完了だ。


「お疲れ様です、クエストの完了を確認致しました。こちらは報酬の200Gになります。次のクエストを受注なさいますか?」

 

 私はその後もさくさくと残りのお使いクエストを熟していった。

 

 『訓練場にいる教官から戦闘訓練を受ける』『森から木の実を採取』『森にいるレッサーラットというモンスターを討伐しドロップ品である歯を納品』。木の実と歯に関しては既に持っている物だったので、受注してすぐに渡してクエストを終えることが出来た。


「お疲れ様です、クエストの完了を確認致しました。こちらは報酬の300Gになります。これで初心者用お使いクエストは全て完了致しましたが、次の通常クエストを受注なさいますか?」

「はい、お願いします。えっと、森の浅い場所で出てくるモンスター関連のクエストはありますか?」

「はい、ドロップ品の納品クエストございます。こちらがご希望に沿うクエストの一覧となります」

「……よし、じゃあ、これとこれをお願いします。あと、納品対象以外のドロップ品ってどうすればいいんでしょう? 私、納品対象以外のドロップ品とかもいくつか持ってて」

「不要なドロップ品に関しましては、値の付く物に限りこちらで買い取りも出来ます。他には肉類などはご自身で料理する方もいらっしゃいますね。調理済みの物は買い取ることが出来ませんが、食料としての利用であれば元の状態で食べるより効果が高いです」


 それはいいかもしれない。実の所、今は金欠過ぎてレキも私も森で採取した木の実しか食べてなくて、ちょっとその味に飽きて来た所だった。私は料理について詳しく聞き、冒険者組合をあとにした。

 次に向かったのは昨日ロコさんに連れてきてもらった中央市場だ。ここではプレイヤーが作った装備も売られていて、それらはNPCが販売している装備より種類が豊富で、価格も安くて効果も高い。

 私は今の所持金1,200Gで買える装備を求めて色んな露店を見て回り、初心者用の服を売っている良さそうな露店を発見した。

 置かれている服は革製の茶色の短パンに、布製のシャツ。上は布製だけど今着ているシャツより明らかに上質な物だと分かる。


「あの、この服って上下揃って800G何ですか? 凄い安いですね」

「あー、そこの服は初心者用に作った物で、ご新規さんへのボランティア的な位置付けで販売してるの。ほら、このゲームって金策が結構シビアでしょ? だから効果の高い装備品とは別にこういうのも置いてるのよ」

「そうなんですね! それ、すごく有難いです……露店を見て回りながらリアルもゲームも世知辛いなと身に染みていたところだったので」

「あはは、最初はみんなそうだよ。まぁ、あとは私から買ったお客さんが常連になってくれて、将来もっといい装備を私から買ってくれたらなって打算もあるんだけどね♪」


 そういって店主のお姉さんはウインクした。

 店主は赤い綺麗な色をした短髪にスラっとしたスポーティーな体形をしていて、所謂ボーイッシュ系お姉さんだ。置かれている商品は初心者向けな物だけでなく、強そうな防具やアクセサリーまで売っていて、色んな意味で常連さんが多そうな店だった。


 ――これは男性ならイチコロだろうな……女の私でもイチコロだもん。

 

「えっと、じゃあこの服を上下一式買わせて下さい」

「はい、まいど! 私はルビィ、服飾と彫金をメインにやってる生産者だから、もし良かったらまたいつか服とかアクセサリーとか買いに来てよ」

「私はナツっていいます。はい、もう少し強くなってお金が出来たら、また買いにきますね」


 私はルビィさんとフレンド交換して、またいつか買いに来る約束をすると、その場をあとにした。

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