4. Welcome to the New World

「プログレス・オンラインでは、プレイヤーの個性ややりたい事によって様々なプレイが可能です。ですがそういった自由度が高すぎる為に、最初は何をやればいいのか迷ってしまうかもしれません。ですので、初回ログイン時には適性検査を行っております」


 詳しい話を聞いてみると、プログレス・オンラインはRPGゲームでよくあるキャラクターのレベルを上げていくレベル制のゲームではなく、刀剣や釣りなど数多くある項目のスキル値を上げて強くなっていくスキル制のゲームとの事だ。

 そして上げていくスキルによって様々な事が出来るようになるが、その幅が広すぎて初心者さんには困惑する事必至なので、最初に適性検査をして「こういった事が得意そうなので、このスキルがお勧めですよ」と教えてくれるらしい。

 更には、その適性スキルを初回ログインボーナスとして+10にして、そのスキルで使える初期技能を1つプレゼントとしてくれるそうだ。

 私はナビゲーターからの質問に答えたり、いくつか指示された動作をしたりと適性検査を進めていく。まだ続くのかと少し面倒になってきた頃、やっと私の適性が判明した。


「お疲れ様です。今現在、貴女に一番適性のある職業は『テイマー』です。その為、関連スキルである調教スキルを+10にして、調教スキルの初期技能『テイム』をお贈り致します」


 私の適性職業は『テイマー』だった。

 

 ――……どうしよう、涙が抑えられない。


 プログレス・オンラインでは感情の動きを正確に読み取る為、リアルよりも感情の起伏を隠す事が出来ない。私の目からぽろぽろと涙が流れて、それを止める事が出来なかった。

 レキが死んで、それを私の所為だと責められた事は今でも心に突き刺さっている。だけれど、だけれどだ。今私はやっと認めて貰えた気がした。私はレキの家族だと、親友だったのだと認めて貰えた気がした。

 涙が止まらずそれからしばらく時間が経った頃、私の涙腺は満足したのかやっと涙を止めてくれた。周りに誰もいなくて良かった、こんな姿を見られてたら恥ずか死ぬ事必至だっただろう。


「落ち着きましたでしょうか? 問題が無ければプログレス・オンラインをプレイする為のチュートリアルに進みたいと思います」


 こちらを気遣う様子の一切無いナビゲーターさんの態度が本当にありがたい。ここで辺に気を使われると本気で居た堪れなくなってしまう。

 それからは技能の使い方やアイテムの取り出し方など、基本的な動作のレクチャーを受けてチュートリアルを終えた。


「お疲れ様です。では最後に貴女のゲーム内での名前をお教え下さい」

「ナツです」


 これがネットゲーム初体験であり、リアルバレの危険性とかを何も考えておらず、単純に名前を聞かれたのでそれに答えたぐらいのノリだった。

 ちなみに後に私は「見た目が殆ど同じな上に、名前までリアルと一緒というのがどれだけ非常識で危険な事なのか分かっておらぬのか!!」という事をこんこんと説教される事になる。


「それでは、これで準備が整いました。ナツ様、是非プログレス・オンラインの世界を心行くまでお楽しみ下さい」


 さぁ、ゲームの始まりだ!

 

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