第4話 雪解けを知る私に、雪を知らないあなたは。

 まーくんと秋乃との三人で帰ってはいる。が、彼の方にしか目が行かないのは、もはや必然だ。


 やっぱり好き。


 抑えきれない心拍音を隠しても、ふわりと花開いた想いだけは隠せない。

 好きな人が居る。それだけなのに、高揚感で地に足がつかない。私がそうしようとしているんじゃない。勝手にそうなってしまうのだ。


 汗をスカートに擦りつけた手で前髪をささっと整えた。大丈夫かな。私、可愛いかな。臭くない? 誰にへとも言えぬ焦りを一人抱え込んだ。きっと私の双子も同じ様なものだろうか。


 いや、違う。秋乃は付き合っている。鏡写りのようにそっくりでも、秋乃は選ばれた側なんだ。私みたく泥臭く恋い焦がれるわけがない。まーくんだって外面のいい秋乃から私なんかに彼女を変更する筈がない。


 なんだか冷水を被った気分だ。


 二人を目に入れたくなくて俯いてしまう。案の定、二人が怪訝そうにするのが自分の目で見なくとも分かる。


「どうかしたの? 」

「なんでもない。」


 今、一番声をかけてほしくない人に心配された。そのことに顔を赤くしていると、何かを察したような双子の姉妹はすっと下に目線を置いた。

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