第16話【第3章完結】裏庭ダンジョンへの帰還
東京で活動している間に加えた配下は約30名。彼らを裏庭ダンジョンの地下22階で全員レベル29以上にするのが当面の目的だ。4WDの自動車8台ほどに分乗して俺の家の近くの集落まで進んだ。
この近辺には魔物が多いので、
俺はその間に隠密行動で「裏庭ダンジョン」のポータル付近の様子を探る。俺の家は焼け跡すらも撤去され、更地にされた上にプレハブの建築物がいくつか立っていた。どうやら相模原の連中が詰め所にしているようだ。
守備している兵隊の数は約30名でこちらとほぼ同数。守備隊長の顔には見覚えがある。小太郎の配下にいたやつだ。彼のレベルは26まで上がっていた。この近隣でレベルアップし続けたのだろう。
「田舎の屋外にいたほうが、都内のダンジョンに潜っているよりもよほどレベル上げでしやすいな。20匹以上狩れたぞ」
一旦集落まで戻ると稲味が笑顔で出迎えた。
「ダンジョンポータルの守りは意外と硬い。交渉しても無駄だろうから奇襲する」
俺は皆を集めると作戦を説明した。
家の近所なので土地勘はばっちりだ。俺は敵に気取られるのように山林側に回り込む。そしてタイミングを合わせて、敵を挟んで反対側にいる稲味と
結界魔法を一応張っていたようだが、圧倒的な物理的破壊力の前に結界は脆くも崩れ落ちる。俺たちは4発すべてを発射すると、重機関銃に持ち替えて敵陣地を乱射した。
敵は散発的に反撃を試みていたが、1分もすると沈黙した。奇襲による圧倒的勝利だ。俺は軽機関銃に持ち替えて、敵の陣地跡へと侵入する。
中にいた連中はほとんど死んでいたが、隊長格の男はまだ息をしていた。
「風間さんが殺すって言ってただろ。なんど忠告を無視すれば気が済むんだ?」
俺はそう言いつつも、隊長格の男をロープで縛り上げた上でマックスポーションを使用して、原型をとどめていなかった奴の肉体を復元してやった。
「せっかく治してやったんだから、無駄にさせないでくれよ。
「し、知らねぇよ。そろそろ地下33階にたどり着くという連絡を3日前に受けてから音沙汰が
「ここが襲撃されたのは【念話】で伝えたのか?」
「ああ。だけど返事がないから伝わっているのかどうかは分からん」
どうやら嘘では無いようだ。とりあえず、この男は縛り上げたままにしておいて、武器弾薬や食料などを一通り強奪してから俺たちはダンジョンに侵入した。そしてそのまま地下4階まで一気に駆け抜ける。
途中で遭遇した魔物を倒した際に俺は硬貨状態のマカを【溶解】して自分のレベルを30に上げた。本体はすでにレベル60になっているのだが、戦闘をしていないのにレベルが上がると怪しいのでタイミングを見計らっていたのだ。
休憩室は使わずに目立たない行き止まりで夜は過ごした。この階層ならば敵が弱いので、俺の結界魔法でも十分に機能する。
仮に襲撃を知った中足がエレベーターを使って地下1階まで出たとしても、ここまでやってくるのに1日掛かる。追いつかれる恐れはもうあまりない筈だ。
翌日も一気に移動して地下7階のラクスティーケ像の前までやってきた。10名程度の兵士が守りを固めていたので、忍び寄って睡眠魔法を掛ける。が、残念ながら3名は眠らなかったので、同時に襲いかかった稲田たちの手によって倒された。もう少し実力差があれば殺さないで済んだのだが、敵の兵士は全員レベル20を超えていたので、躊躇すると味方に死者が出てしまう。
3名の兵士たちは巻物やアイテムなどを多くドロップした。恐らくこの場所に常駐して毎日宝箱を開けているからだろう。
「いいアイテムをドロップするみたいだから、眠ってる奴らも全員殺しちまいましょう」
東京でスカウトしてきた
像の乳首を弄って隠し部屋に入り、中にいた巨人スケルトン達を倒す。そして部屋の中にある隠し扉を開いて『ミノタウロスの王』という絵画をずらして魔石を置いた。懐かしい。あれから4ヶ月ほどしか経っていないが、もう何年も昔のことのように感じる。
まずは俺が単独で降下する。パラシュートの使い方は娑婆にいる間に講習を受けてきたので分かっているし、風もあまりない。そのまま真下にゆっくりと降りながら土魔法で槍の罠を埋め立てた。そして
残りのメンバーが降下し始めると俺はアイテムボックスから水上バイクを取り出した。スキルレベルが育っているので、こんな大きな物でも普通に入ってしまう。水上バイクに2人ずつ乗り込み運転担当と解毒担当に分かれる。あるていど毒耐性があれば解毒は必要ないのだが、耐性が低いものは飛沫だけで死ぬ可能性がある。
南側の街の方に行ってみたいのはやまやまだが自重した。中足は地下33階付近にいるのだから、エレベーターを使って上がってきた奴と鉢合わせになってしまう可能性がある。あるいは中足の部下の部隊が常駐している可能性もあるだろう。この階層に常駐しているとすればレベルは29以上になっているだろうから、ちょっと手強い。
北岸でオークやワニを狩って鍛えてから、本体が55階のエレベーターを開放したタイミングで合流するほうが良いだろう。
予想通り南岸には他の人間の気配がなかった。初日は全員で狩りをしてから、2日目からは隊を3つの班に分けた。1つの班は俺が直接率いて、残りを凛子と稲味が率いる。
そして全員のレベルが25を超えた頃に本体が遂に地下55階に到着した。ようやく合流する時がきた。
**** 第3章了 ****
ただいま第4章を執筆中です。15話ほどストックがありますが、章全体を書き終えてから加筆修正しているので、次のアップロードまで少し間隔が空いてしまいます。なにとぞご寛恕のほどよろしくお願いいたします m(_ _)m
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