第2話 フクロウ組との合流
「いただきます」
詩織はそう言うと『進化の種』を3つ食べて『進化のコクーン』の中に入った。これから3日間は地下36階でレベル上げをしながら詩織の進化が完了するのを待つ。
しばらくの間は単調な狩りルーチンが続くので、戦闘のときだけ意識を化身から戻すことにした。流石に休憩室で介護されているだけでは他の皆に申し訳ない。
レベル46の巨人兵長が率いいる巨人兵の集団が近場で湧いていた。彼らは【雷耐性】が+2しかないので【天魔断罪】を使って簡単に倒せる。3連発で巨人兵20体が全滅し、4発目で巨人兵長も溶ける。たった10秒で9万マカだ。
最後に残った巨人兵長は単体攻撃の【雷束撃】で倒したほうがMP効率が良いのだが、面倒くさいので脳死状態で【天魔断罪】連打だ。本体の戦闘に意識が取られすぎると化身の操作が怪しくなるので仕方がない。
俺はお気に入りの鬼侍女と一緒にここに常駐することにした。名前をつけてあげたいのだが、一部のボス格以外は名前を持つ権利がないらしい。
だがダンジョンクリア後には、普通の生物として地上に存在できるようになるらしい。命名はその時までお預けだ。
30分に一度だけ10秒間ほどこちらに意識を戻して、倒し終わったらまた化身に意識を飛ばす。鬼侍女がドロップ品を回収し、巨人兵達が再びリスポーンすると俺を呼び戻す。
マカの【鋳造】と【溶解】はもう数え切れないほど繰り返しているので、無意識で行うことができた。
残りのメンバーは別ルートで狩りをしたので効率はなかなか良い。
翌日にはフクロウ組が地下26階に到達したので、みんなで螺旋階段を上って出迎えた。そういえば魔人に進化して、この格好になってから会うのは初めてだ。晶には【念話】で事情はすでに伝えてある。
フクロウ組の皆もそれなりにレベルが上っていたが、地下36階で戦うには心もとない。ワンパンで死なないように、フクロウ組の4人に200万マカずつを渡す。これで一番レベルが低いメグ姉もレベル41だ。
「このあいだ15万マカ貰ったばかりなのに、またこんなに貰っちゃって良いのかな?」
メグ姉が呟いた。今晩お返ししてもらうからご心配なく。ぐふふ。
地下36階の休憩室付近は一日に600万マカほど稼げるので悪くない狩り場なのだが、大所帯になったのでマカが分散する。早く次の階層に進みたいところだ。
その日の狩りを終えると、晶が俺のところに小走りに駆けてきた。
「あの、お屋形さまがその鎧で苦しんでいるのに、こんなお願いするのはどうかな……って思うんですが」
晶はもじもじとしながら切り出した。
「<遠慮なく言ってみろ>」
「その鎧の戦技で性転換ができると聞いたのですが……」
ああ、なるほど。男の娘をやめて女の子になることにしたのか。
「<確かに可能だけど、副作用で俺の性奴隷になっちゃうよ?>」
「はい……そうしてください。お、お屋形さまの子供を産みたいですっ!」
真っ赤になりながら晶が言った。俺は思わず胸がキュンとなって彼女を強く抱きしめる。
「<実はまだこの鎧を使いこなせていないんだ。だけど【性転換】が使えるようになったら必ず晶を女にするよ>」
晶の頭を愛撫しながら俺はソフィアの声で言った。自分の声で伝えられないのがもどかしい。
魔人はレベル60になると上位魔人となり亜神扱いになるので、そのタイミングで【性転換】は使えるようになるようだ。
大魔王ガーマの全身鎧(※能力を発揮するために必要な要件を満たしていません)
種類 防具
クラス 神宝(Ⅰ)
物理防御力 54,000/108,000
魔法防御力 52,500/105,000
アビリティ 全ステータス100%/200%向上
闇無効
大上昇耐性(+3):物理、火、雷、弱体
中上昇耐性(+2):土、水、氷、弱体
戦技 【操邪眼】【誘惰眠】【与魔快】(【性転換】)
そうやって3日ほど経過したところで、遂に進化した詩織の姿を拝む日がやってきた。
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