第11話 神楽と星屋
ダンジョンをクリアした時は男4名のパーティだったようだが、反動が出て新メンバーは全員女性にしたようだ。かく言う俺も今は女の中に1人だけいるので、あまり人のことはとやかく言えない。男の
新メンバー達はレベル15〜25程度の女性が20名だった。それぞれが5名ずつの女を囲っているようだ。概ね彼らの趣味は共通しており、巨乳美女の比率が高い。特に星屋は詩織のファンだけあって、胸が大きい娘を好むらしい。そういった意味では俺とも気が合うのかもしれない。
「お嬢ちゃん、こんな冴えないオッサンのパーティはやめて俺のパーティに入れよ」
神楽が
「私はパパと一緒が良いので、お断りします!」
「へぇ、家族でパーティとはめずらしいな」
神楽はそう言うとニヤニヤ笑って、パーティの女性陣を舐め回すように見た。
「神楽さま、どうか私を入れてください! こんな変態エロオヤジのパーティはもう嫌なんです」
「こっちの娘のほうが好みだけど、まぁ入れてやってもいいぞ」
神楽はそう言って歌を見やってから、ニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「そうか……、お前の人生だからな。好きにしていいぞ」
俺はそう言って、麗奈の頭を撫でる。
「ちょっと汚い手で触らないでくれる!」
麗奈はそう叫ぶと、俺の手を逃れて神楽の背中に隠れた。あまりにも見事な掌返しに、もはや呆れるというよりも感心してしまう。彼女はこれからもより強い存在を見つけては、取り入って生きていくのだろう。
正直言ってすこし情が移りかけていたので、俺としてはむしろ良いタイミングで厄介払いができた。こういう形で別れてくれれば、たとえ神楽のパーティで活動中に死亡しても責任は感じないで済む。
その上、これからはスパイとして情報を提供してくれるのだから言うことがない。麗奈の髪の毛になすりつけた「盗視聴ミミズ」が彼女の耳の中に侵入するのを横目でちらりと確認しながら、俺は内心でほくそ笑んだ。
「あんたたちすぐに11階のボスを攻略するのかい?」
俺は星屋に尋ねた。なんだかんだと言って、この中ではコイツが一番マトモそうだ。
「俺は新メンバーをもう少し鍛えてからにしたほうがいいと思ってる。レベル15じゃすぐに死んじまうからな。あんたたちも混ざりたいのか?」
「そうだな。俺1人ならば混ざってもいいが……」
地下6階以下ではそれなりに戦う機会があったとは言え、凛子達はそれほどレベルが上がっていない。凛子がレベル18、歌と舞がレベル16だ。神楽達と一緒に戦えば負けることは無いだろうが、ちょっとしたハプニングで死んでしまうかもしれない。
一方、俺は化身なので死んでも死なないが、できることならば死にたくない。両方ともまだ+2だが、【鑑定】と【分析】を自分自身のスキルとして身につけたのだ。必要は発明の母というやつだろう。やはりこういうスキルはタイムラグなしで使いたい。
が、この化身が死んでしまうと獲得したスキルもロストしてしまう。化身が獲得したスキルを本体でも習得するためには、額と額を直接くっつける必要があるのだ。
俺の狙いは時間稼ぎだ。世間話をしながら時間を稼いで、本体が装着している『叡智のヘッドギアPRO』によるレベル8の【鑑定】と【分析】を完了させておきたい。神楽たちと敵対関係になったときには情報が役立つはずだ。
「ボス戦をするときには声を掛けるよ。なんなら俺たちのチームに入らないか? 新メンバーが女ばかりなのはいかがなものか、と流石に俺も思ってるんだよね。このチームは若いんでついつい無謀な行為をしがちだ。俺がブレーキ役になってるが、最近ちょっと疲れてきてね」
「考えておくよ」
「そんなオッサン俺は嫌だね」
神楽が横槍を入れてきた。
「どうしても入りたいっていうんだったら、雑用係にしてやってもいいが、女は1人も渡さないからな!」
後で本体を使ってこのダンジョンをクリアするつもりなので、できれば階層ボスを直接確認しておきたかった。が、星屋はともかく神楽と一緒に戦うのは無理だろう。
麗奈の脳内には「盗視聴ミミズ」を寄生させたので、彼女の
「わかった。無理に入れてもらわないでもいい。俺たちはまだ力不足だろうからしばらくこの階層でレベル上げでもしているよ」
ソフィアが【鑑定】と【分析】を終了したので、俺たちは広場を後にした。不思議なことに、自宅で
この階層より下のPKゾーンに凛子たちを連れて行くのはまだ危険過ぎる。が、このダンジョンのオープンフィールドにもエレベーター塔が設置されているので、エレベーター塔のクリアだけはしておきたい。
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