第12話 相模原男爵
「おい、お前ら誰の許可取ってエレベーターを使ってんだ!?」
地下11階でエレベーターを降りると、いきなり見ず知らずの粗野な男たちに絡まれた。
「誰のって? ここにいる担当天使だけど」
俺は男たちを観察した。数は30人ほど。レベル10~15程度の男たちで全員武装している。リーダー格の奴はレベル18だが、まぁ雑魚だ。今の物理耐性ならば銃火器で撃たれてもそれほど痛くはない。
「おい、俺たちは下に降りれねぇのになんでコイツラは使えるんだよ!」
人相の悪い男がミルチェルに言いがかりをつける。
「コイツラが自力で下の階層のエレベーター塔を攻略したからなのだ。てかお前たち態度ワルすぎ! はっきり言って超ウザいんだよね!!」
ミルチェルはキレ気味にそう返すと、俺の方を向き直って言った。
「おいレオナイト」
ラクスティーケ同様にミルチェルも俺のことをこう呼ぶ。どうも天使たちの間ではこの名前で通っているようだ。
「個人的に討伐クエスト依頼を出したいんだよね!」
「討伐クエスト?」
「討伐クエスト『地下11階に巣食うごろつき共を討伐せよ!』――報酬はお好みのレリックアイテムなのだ!」
「自分でやればいいじゃん。こんな雑魚ども簡単に始末できるでしょ?」
「許可されていないのだ!」
でも、人に頼むのはいいんだ。
うーん……。別にわざわざクエストとかしなくても、放っておけば勝手にアヤさんにプレゼントするしな~。
「ごろつきとは言え人を殺すのは、ちょっと……ねぇ」
「今更ななのだー」
「知ってるんだ……」
まぁ、天使に恩を売っておくというのもありか。
「詩織、とりあえず魅了しといて」
真っ赤なボディコンの革ツナギを着ていた詩織が、ジッパーを下げて胸元を露出しながら【チャーム】を掛ける。弱体魔法スキルが7まで育った爆乳美女の詩織が胸元を顕にするとほぼ全員が魅了された。
が、魅了されないものが3名残っている。恐らくヒンヌー教徒とゲイだろう。胸元を露出したのが却って逆効果だったようだ。
「ふふふ、アニャイの出番だにゃ」
アヤさんはそう言うと、四つん這いになって残った3名に向けて尻と尻尾をふった。……が、なにも起こらない。
「にゃんで、魅了されにゃいんだ。このカスどみょぎゃぁ!」
そう叫びながらアヤさんが軽く【咆哮】すると魅了された連中も含めて全員気絶してしまった。最初からこうしておけばよかったか……。
全員を裸にひん剥いてロープで縛り上げる。実力差を理解して恭順の意を示すのであれば良し、そうでないのならミルチェルのご希望に添うために消えてもらう必要がある。「態度が悪い」という理由だけで殺したくはないので、賢明な選択をして欲しいものだ。
ちなみにロープは地下22階の道具屋で買ったもので、サイクロプスあたりを縛り上げるのにも使えそうなぐらい丈夫な逸品である。リスポーン防止のために一体だけ縛り上げる時に重宝しそうだ。
水魔法を使って彼らを気絶状態から起こし、魅了されている男のひとりを詩織が尋問する。
「あなたたち自衛軍じゃないわね。自衛軍はどこに行ったのか知ってるかな?」
「軍の連中はここから撤退したよ。東京近郊を重点的に攻略するようだ」
「で、あなたちは何者なの?」
「俺たちは……
「は??? ……
「
相模原男爵??? なんじゃそりゃっ!?
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