第4話 効率厨ですが何か?
その後1週間は地下26階と25階を行き来してレベル上げする生活をした。
これまでの経験から言って探索とレベル上げはハッキリと分けたほうが良いことがわかっている。ぎりぎりのレベルや装備で難敵を相手に探索しても危険だし、効率が悪い。
ここはレベル上げとトレハンに最適な場所だ。毎日5つ宝箱を開けることができるし、マカはパーティ全体で「70万マカ/日」ほど獲得できた。効率を最大限追求すればもう少し稼げるのだが、飽きっぽいアヤさんの性格を考慮して、たまに違う場所まで狩りに行った。
昼休みや就寝時に休憩室を使えるのがなによりもありがたい。ダンジョンの中ではリラックスできる環境が貴重だ。
俺のレベルは1週間で40まで上がった。レベル38で額の紋章の四角形はすべて丸に置き換わり、39からは線で繋がり始めた。どうやら中央の●とすべての丸が繋がるレベル46が次の壁になりそうだ。
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【召喚】スキルも+5まで育ったので、モンタロスの配下を8人呼び出せるようになった。そろそろこの階層ではオーバーキルだろう。余裕を持ってレベル上げをするのはもちろん大事なのだが、あまりにも楽勝過ぎると
パーティの指揮を取る上では俺のレベルが一番高いのが好ましい。なんだかんだと言ってレベル差がないと自分の意見を通すのが難しくなる。魔物の群れの場合でも少しレベルが高めのリーダー格がいるのが普通だ。
完全な平等主義では集団をまとめ上げることはできない。
レベル39になったタイミングで、『天魔のハルバード』が以前よりも使いこなせるようになったので、戦闘がかなり楽になった。
天魔のハルバード(※能力を発揮するために必要な要件を満たしていません)
種類 武具
クラス 神器
属性 物理、雷
物理攻撃力 4175/16700(670上昇)
魔法攻撃力 3725/14900(490上昇)
固有戦技 【雷束撃】(【天魔断罪】)
アビリティ 各種ステータス15/60%向上(6%上昇)
その他 【自動装備】
移動時などに鋳造と溶解を繰り返した結果、俺の【鋳造】スキルはレベル4にまで上がっている。レベル4になると変換ロスが0.01%になり、1万マカの鋳造/溶解でロスが1マカになったが、それ以外の変化も確認できた。同じ魔物を倒した時の獲得マカが微増しているのだ。
単体のサイクロプスを倒した際に得られるマカはスキル+1の段階で2230。スキル+2では2232。2上がっている。しっかりとログを確認しないとわからない誤差のような数値だ。スキル+3になると2234になり、スキル+4で2241になった。約0.5%の増加だ。
俺は興奮してこの発見をみんなに報告したが、反応は冷ややかだった。
「たったそれだけにゃのきゃ?」
とアヤさんが言うと詩織も便乗する。
「移動中や休憩中はいつも鋳造してましたよね? その割には……」
「0.1%、0.2%、0.5%というパターンでマカ獲得効率が上昇している。このパターンが続くのであれば1%、2%、5%、10%、20%と上がっていき、カンストすると50%の効率上昇になるんだ。最初は旨味が無いけど極めるとめちゃくちゃでかいんだよ」
「うーん。それっていつになるんでしょうか?」
詩織は地道な作業が好きではないようだ。
「たとえ10年掛かるとしてもやる価値はある」
俺だって別に単純労働が好きなわけじゃないが、将来的に大きな差を生む以上はやるべきだ。
「オヤカタサマの言う通り長期的に見れば有用なスキルだが、時間がかかるだけに全力疾走し続けるのは困難だ。そこで提案なのだが、食事の前に11回鋳造と溶解を繰り返しながら、ラクスティーケ様へ祈りを捧げようではないか。変換で消失するマカはお賽銭だと思えばよいだろう」
少し場の空気が悪くなったのを察して、モンタロスが折衷案のようなものを出す。ちゃっかり自分の信仰を押しつけているだけのような気がするが、俺としては効率が上がればそれで良い。
ラクスティーケに会ったことがない詩織は納得行かない様子だが、アヤさんが賛成したのを見て引き下がった。
「ではそうしよう」
俺がここまでマカの獲得効率に拘るのは理由がある。
地下26階の池にあった宝箱から『水龍の
『水龍の
だが逆に考えればたった5%でもレリックになるということは、それだけマカが重要だということだろう。このあたりを最大限効率化した者が覇者となるのではないかと睨んでいる。
運良く先行者になれたが、今後は俺以上の効率厨たちが現れるだろう。今のうちに引き離せるだけ引き離しておかないとならない。
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