第53話 夜の森
闇騎士は馬に乗っているので、基本的に街道でしか遭遇しないそうだ。また闇騎士の弱点属性は光、水、氷だとモンタロスが教えてくれたので、手すきの時間に矢などに予め属性付与をしておいた。
帰りのルートは2つある。1つは直線的に街道を通って宮殿の外壁に出て壁沿いに東にある大扉へと向かうルート。もう1つは森の中を通って街道の砦付近に出て、砦を通って帰るルートだ。
距離自体は1つ目のルートのほうが短いが、闇騎士と遭遇する可能性はより高い。2つ目のルートは、トータルの距離は長くなるものの、街道を歩く距離はずっと短くなるので闇騎士にエンカウントする可能性は低くなる。
万が一闇騎士に遭遇した場合でも砦のミノタウロスたちと一緒に撃退できる可能性もある。
もうこの階層には闇騎士以外には脅威となる敵がいないのだから、少々時間がかかっても良いのでよりリスクが低いルートを選ぶべきだろう。俺たちは2つ目のルートを選択した。
森の中には魔物も多く、ヘッドライトや松明をつけて移動すると存在がばれてしまう。夜と言っても真っ暗ではない。月明かりは無いが、この階層に存在する万物が薄っすらと輝いているので、なんとか歩けないことはない。
森の中は足場が悪く歩きづらい上、ダークスライムやヒルがたくさんいた。レベルは18~20ぐらいで地下7階で見たものよりもちょっと強い程度だが、ダークスライムは闇に溶け込んでいるので発見するのが難いし、ヒルは枝から落下攻撃してくる。注意していたのだが何度か不意打ちを受けてしまった。
銀狼の小さな群れにも何度か遭遇した。奴らは木々の間を器用に動き回るので、街道で戦ったときよりもやりづらい。
ようやく森を抜けて街道に出たときには貴重なマジックポーション(効果中)を5本も消費していた。俺のレベルが32に上がったのがせめてもの救いだ。
伊東玲於奈
種族 人
レベル 32
HP 1390/1390(+212)
MP 1562/1562(+131)
膂力 1123(+92)
体力 1218(+185)
知力 1546(+127)
素早さ 925(+76)
器用さ 972(+80)
直感 1314(+108)
運 1446(+119)
スキル 【戦独楽+6】【回転斬り+3】【五月雨突き+5】【乱打+2】
【無詠唱+7】【念話+3】
魔法 【火+6】【風+4】【水+3】【氷+3】【土+4】【雷+6】
【光+2】【回復+4】【補助+3】
耐性 【物理+5】【精神+8】【毒+5】【麻痺+4】【石化+1】
【火+6】【風+3】【水+4】【氷+3】【土+4】【雷+6】
武技 【雷束撃】
詩織が加入してから回復や補助は基本的に彼女に任せているため、知力やMPはあまり伸びていない。逆にパーティの人数が増えたので、適切な判断に必要な直感と運が伸びた。
いささか器用貧乏と言ったきらいはあるが、モンタロスがタンク、アヤさんがアタッカー、俺が中衛、詩織が後衛という配置が基本になってきたので、どうしても器用貧乏になりがちだ。
最前列にモンタロス、最後列にミノタウロス・コマンダーを配置して街道を進み、無事に砦に到着する。宮殿まではあと少しだ。
宝箱を開けると『密蔵の篭手』というレリックの防具が入っていた。拳の部分がむき出しになっていて、素手攻撃における属性付与効率を2倍増幅する効果があるという非常に攻撃的な防具だ。
「もう深夜を過ぎているし、夜明けまでこの砦で野営するという手もあるな」
俺がそう言うと詩織が反対した。
「それはちょっと弱気すぎませんか? 15分も歩けば宮殿にたどり着きます。今日は汗だくになったので早くシャワーを浴びたいです」
屋外でも水魔法を使えばシャワーっぽい効果は得られるのだが、好きな女に「弱気」と煽られるとちょっと堪える。やはり男らしく自信たっぷりのところを見せておくべきか。詩織め……、宮殿に戻ったらベッドの上でお仕置きしてやるぞ。ぐふふ。
「詩織の意見ももっともだな。俺たちのレベルも上がったから、闇騎士が出てきてもそれほど怖くはないだろう」
鷹揚に頷いて俺はそう言った。
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