第45話 22階、ふたたび
翌朝は朝食を取ってすぐに地下22階にもどった。モンタロスはすでに仲間になっているので、当然ながらボス部屋には敵はいない。
「次の挑戦者がこのボス部屋に来たらどうするんだ?」
「新たなミノタウロス王が『
ダンジョンに出てくるモンスター達はすべて「原型」と呼ばれる物からコピーされた存在で、種族名やステータスなどは固定で個性がないのだという。
この無個性の状態から抜け出すには名前をつけて貰う必要があるが、わざと負けるという発想はそもそも思いつくことができない。そして名前を得るとユニークな個体となり、成長することができるようになる、とのことだ。
ミノタウロス王としての権能は有効なままらしい。ボス部屋の前にある光る球の間にいたミノタウロス・メイジがこちらに気づいて、モンタロスに土下座した。
モンタロスの権能により、通路の落とし穴には足場が掛けられ、罠も動作しない。次のホールに行くと、ミノタウロス・ジェネラル以下が隊列を組んで出迎え、全員が敬礼をする。
「これは陛下。名持ちになったそうですな。おめでとうございます」
ミノタウロス・ジェネラルはそう言ってうやうやしく頭を下げた。
「つまりパーティ内にモンタロスがいる限り、ミノタウロスたちと戦うことはもう無いのということなのか?」
俺はソフィアに尋ねた。
<モンタロスを召喚していなくても、召喚主であるお屋形さまがいる限りミノタウロス達は襲ってきません>
マカ獲得という観点で見れば若干効率が落ちるかもしれないが、完全な安全地帯があるというのは気が楽だ。ホールから左右に伸びる廊下はまだチェックしていないので、そのうち探索してみよう。
宮殿内にある宝箱は普通に開くことができるようなので、通路横の部屋に置いてある宝箱を2つ開く。
1つ目は光魔法のスクロール。これは詩織に与える。俺はスクロール無しですでに光魔法+1を獲得している。ソフィアによると光属性の戦技である【
もう1つは『聖者のズボン』でレア・クラス。「セイクリッド・アレニアイ」という大型の蜘蛛の糸で作られていて、防御力が高く闇耐性もある。
加えて、体力およびHPを10%増加する効果もあるようだ。ちなみに『体力』は素の物理防御力や『HP』に直結するステータスだ。
実はまだ家から持ってきたカーゴパンツを履いたままだったので、流石にそろそろアップグレードしたいと思っていた。
ミノタウロスは狩れなくなったが、キラー・アリゲーターやオークは普通に狩れるので、まずはキラー・アリゲーターの群れの掃討に向かう。【ウォータービーム】にだけ気をつけていればほぼリスクフリーで狩れる敵だ。
やたらと数が多いので獲得マカが美味しい。詩織には一応『ホブゴブリンの盾』を渡しておく。コモン・クラスの装備だが水属性ダメージカット率は35%あるので、事故防止にはなるだろう。
もちろん俺が身体を張って護るつもりなので、攻撃は主にアヤさんとモンタロスに任せる。
安全度を上げるためにいつもよりも高めに絶縁体のステージを土魔法で作って準備完了だ。
「さて、まずはボスから……ん?」
見慣れない種類のワニが1匹混じっている。間髪入れずにソフィアが俺の疑問に答える。
<クローム・アリゲーター(LV31)です。大量のマカを保有しており、動きが素早く、土魔法と物理攻撃以外に強い耐性を持っています>
いつもならばボスから行くが、今回はクローム・アリゲーターを確実に撃破することに重点を置こう。【
クローム・アリゲーターがすごいスピードでこちら側に向かってくるところを、予め練り込んでおいたもう一本の【ストーンランス】を水平に飛ばしてカウンターで当てる。
クローム・アリゲーターはHPの割に防御力が高い。しぶとくこちらに向かって突進してくるので、同じ攻撃を2度繰り返してようやく倒した。
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