第15話 狩り放題!
アイアンボアは上質な食材をドロップした。状態異常回復のスクロールがもう一個ほしいし、肉もここで調達したほうが良さそうだ。
そう思ってご一行がリスポーンするのを待ったが、5分以上経過しても一向に現れる気配がない。
「ひょっとしたらボスだった?」
そんな考えも浮かんだが多分違うような気がする。ヒル(正式名称はヴェノム・リーチのようだ)の落下攻撃さえ食らわなければ楽勝の相手だった。
辺りを見渡してみると、部屋の入口が開いたままだということに気づく。つまり閉じ込め防止策として一旦退出しないと壁が塞がらない仕様に変更したのではないだろうか?
外に出ると、ものの10秒ほどで壁がもとに戻る。そして女神像の乳首をつねると壁はすぐに消え、中ではすでにアイアンボア御一行様がリスポーンしていた。
こんどは余裕だった。最初にヴェノムリーチとブロンズボアを範囲攻撃で倒してから一頭だけ残ったアイアンボアを倒すだけ。アイアンボアは宝箱付近の床に描かれた魔法陣の上でしか自動回復しないようだ。だから、基本的にそこで待機して、チャンスのときだけ打って出る。だが、1頭だけ残された状態ではチャンスなどやってこない。
今回はアヤさんが【
一方で俺は唯一装甲がないとある部分を後ろから槍の穂先で突き刺すという鬼畜な真似をしてアイアンボアにダメージを与えていた。敵ながらちょっと哀れだ。次からは普通に倒そう。
宝箱の中身はポーション詰め合わせだが、ハイポーション、状態異常万能薬、マジック・ポーション(効果中)と中身がグレードアップしている。ちなみに今まで使ってきたマジック・ポーションは(効果小)だ。
外に出てから女神像を使って壁を消すと、すでに敵が出現が出現している。
つまり待ち時間無しで倒し放題。たぶん次のアップデートで修正されるだろうから、いまのうちに荒稼ぎさせてもらう。
馴れてくると30秒ほどで敵を殲滅できるようになった。ドロップアイテムを拾って、宝箱を開けて、外に出てマジック・ポーション(効果小)を飲む。
すごい勢いでマジック・ポーション(小)を消費するが、これは閉じ込められた『ゴブリン部屋』で大量に入手済みなので80本ほど在庫がある。上位互換のマジック・ポーション(中)もここの宝箱から入手できるのでさして問題はない。
このルーチンを50回ほど繰り返してから休憩した。レベルは2つ上がって26になった。1時間ちょっとしか掛かっていないのだから効率が良い。
外に出ない限り敵がリスポーンしないので、食事もリラックスして取ることができる。かなり美味しい狩り場だ。
調理する量が増えすぎたため、自宅から持ってきた調理用具は使わないで魔法だけで料理する。
まずは土魔法で大きな石の台を作る。続いて1kgの肉塊を3つ取り出し、火魔法で表面を焦がし、【ウィンド・カッター】という風魔法で一片2~3センチほどのサイコロ状に切る。
それを調理台において【ファイア・フィールド】という魔法を使って中弱火で焼く。弱めの火を面で出し続けるのは全力でぶっ放すよりも難しい。魔力制御の練習にもなる。
続いてゴブリンが落とした棍棒でかき混ぜる。ある程度、火が通ったら自分の分を取り出して、こちらには塩コショウをまぶして更にもうちょい焼く。
アヤさんは氷魔法と風魔法を使ってちょっと冷ましてからガツガツと食べた。米は残り少なくなってきたので、夜だけ炊く。こんな料理法でも素材の良さのお陰でなかなか上手い。沖縄のアグー豚に近い感じだろうか。
アイアンボアの肉は10kg、ブロンズボアの肉は50kgほど入手できた。すぐに食べない分は全部カチカチに凍らせておく。暫くは餓死の心配はないだろう。
アイアンボアは一回り大きいサイズの灰色の魔石も出した。実のところダンジョンに入ってからもちょくちょく魔石は入手しているが、未だに使い方がわからないので、あまり気にしていなかった。レベル15あたりが魔石のサイズの分水嶺になっているのかもしれない。
宝箱からは若干質が高めの防具や武器が出た。革ジャンを脱いで『緋色のサーコート』を着る。こちらの方が防御力が高そうだし、結構デザインが良い。加えて、ポーションセット(効果中)が数個と補助魔法のスクロールが2つ出た。ありがたいことにバフ系の魔法だ。
ついでに「ハズレ券」も2枚増え8枚になった。
****** 【付録:額のレベル表示】 ******
レベル25
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レベル26
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実際には線がもっと太くて破線(— —)の空白が短い感じです。
付属資料:
https://kakuyomu.jp/users/transhiro/news/16817330663614567853
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