第10話 出口はどこでしたっけ?
翌日、俺たちは地下3階で戦っていた。地下2階で戦ったゴブリン、コボルト、ダークボアのレベルが3になっている。敵もレベル3になると急に強くなるようだ。
レベル5のホブゴブリンにもたまに遭遇したが、群れの数は昨日の隠し部屋とくらべると少なかったので、それほどはキツくない。敵が弱すぎるとレベルが上がらないのでちょうど良い感じだ。
ジャイアント・ルースターという体高1メートルほどの魔獣も現れるようになった。たまに鶏肉がゲットできるのはありがたい。地下3階でしばらく戦っていると、アヤさんがレベル8に上がった。
レベルが上がるごとにレベルアップに要求される経験値が増えるのでそのうち並びそうだ。
朝起きてから4時間ほど探索したところでふたたび隠し部屋を発見した。2階の隠し部屋と同様に豪華な宝箱をホブゴブリンを筆頭としたゴブリン達が守っている。合計で7匹。
レベル7のホブゴブリンは槍の代わりにメイスを持っていた。その他のゴブリンはレベル4でコボルトはいない。2階のときよりもレベルは高いが数は少ない。行けるだろう。
そう思って戦い始めたが、正直言ってちょっと甘く見ていた。ホブゴブリンを狙って一撃を放った際にゴブリンの攻撃を受ける。
その様子をちらりと確認したアヤさんがすかさず回復魔法をかけてくれた。さっそく使いこなしているようだ。とはいえまだまだ余裕があるので、回復はもうちょっとダメージを受けた後でもよかった。
などと考えているところにホブゴブリンの一撃がもろに入った。とびかける意識を必死で引き戻す。
「アヤさんもう一度――」
そう言いかけたがアヤさんは【
思ったよりも手こずったが致命傷を受けることなく敵の殲滅は完了した。
宝箱の中身は各種ポーションの詰め合わせだった。3本ずつ入っているので悪いものではないのだが、魔法が欲しかったので少しがっかりだ。
ちょっと腹が減ってきたので軽く食事を取ることにする。昨日作ったおにぎりをまだ食べてなかったので、ぱくぱくと頬張る。緑茶のティーバッグも持ってきたのだが、お湯を沸かすのが面倒なのでペットボトルの麦茶で代用。アヤさんはカリカリのキャットフードを食べた。ふたりとも早食いである。
「さて……そろそろ次行くか」
食後に軽く柔軟体操をした後でそう呟いたところでふと疑問が浮かんだ。前回のアップデートで魔物のリスポーン地点がばらつくようになったが、この部屋の場合はどうなのだろう? 宝箱を護るように配置されているのだから違う場所に湧いても意味がないはずだ。
少し待つと宝箱が一旦消えて再出現した。そして全く同じ場所にゴブリンたちが現れる。敵が出現すると同時に俺とアヤさんが同時に戦闘スキルを放つ。背後からの確定クリティカルほどハメ殺し感はないが、確実に先手を取れるのは大きい。結果、前回よりもだいぶ楽に倒すことができた。
アヤさんがレベル9になって俺と並ぶ。レベルアップに伴い体が大きくなっているので、もはやオオヤマネコとかサーバルキャットぐらいのサイズ感だ。
宝箱の中身は回復魔法のスクロールだった。ホブゴブリンはメイスをドロップした。しばらくここに籠もってレベルアップとトレハンに励んでみよう。
その後3回ほど敵殲滅を繰り返し、俺のレベルが遂に10になる。額のマークは八卦で言うところの「坤」のようになった。
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レベル2から3へのときと同様に強烈なステータス上昇を感じる。もしかしたら3列が同じパターンになった時に大きな能力向上があるのかもしれない。レベル9から10に上がるにはこれまでよりも要求される経験値がかなり多かった。
なかなか美味しいレベル上げポイントなので、そのままアヤさんのレベルも10になるまで粘ってみた。
これまでにこの部屋で出た宝箱の中身は以下の通り。
・スクロールx4(火魔法、風魔法、水魔法、回復魔法)
・ポーション詰め合わせx2
・革製の足甲x1
・ショート・ボウと矢10本のセットx1
それに加え、ホブゴブリンが槍と盾と大剣をドロップした。品質は今までに入手したものよりは良いが家から持ってきた斧ほどではない。マジックポーチの容量にはまだ余裕があるようなのですべて収納しておく。
入手できるアイテムにけっこうバリエーションがあるのでもう少し留まっても良いのだが、繰り返し作業にアヤさんが飽きてきた。
とりあえず速攻でホブゴブリンを倒すと、残りの敵は放置して毛づくろいをしている。無印ゴブリンはもはや敵だと認識するほどではないのだろう。仕方がないので残りの敵は俺が独りで殲滅した。
ここでのレベル上げももう十分だろう。午後になったので、そろそろ退出して地下4階を目指すことにする。
「ていっ!」
隠し扉の部分を斧で攻撃する。が、「ガチン」という金属音がなって斧が弾き返されてしまう。
「あれっ? ここじゃなかったっけ?」
内心すこし動揺しつつ、周囲の壁をたたき続ける。だが、いくら叩き続けても出口は出現しない。
狂ったように壁をたたき続けたが、無駄なあがきだった。そうこうしているうちにゴブリンたちがふたたび出現した。
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