オマケ3 散逸した資料・30年の空白について、改めて情報をまとめる

 ヒロイックファンタジーについて、排除された!三十年前のライトノベル宣言は資料がどっかいったんだ!と喧伝している。

 という情報を知りました。

 今もまだ証拠なく言ってるんだなぁ……。

 というのはともかく。

 論拠にしている元ポスト等を、もう誰も辿れなくなっていると思うので、再度このページに収集しておきます。





 ■安田先生が発信したという「ヒロイックファンタジーは要らない」について。


 まず、安田先生について。



 引用はじめ――――――


 安田 均(やすだ ひとし、1950年7月25日[1] - )は、日本の小説家、翻訳家、ゲームライター。グループSNE代表。


 引用おわり――――――ウィキペディアの該当人物ページより

 https://ja.wikipedia.org/wiki/安田均#小説・ゲーム書籍



 グループSNEとは、クリエイター集団であり、株式会社も設立していらっしゃいます。

 TRPGを日本に広めた立役者、といったところでしょうか?


 その安田氏について、再度こういった発言がなされたようです。



 引用はじめ――――――


 堅洲 斗支夜/Toshiya Kadas@名興文庫相談役/総帥


 @kadas_blue

 ちなみに某公募に関して『ヒロイックファンタジーは要らない』って話になってたのは、ちゃんと安田先生もポストされておられたのでそっちはもう言うまでもないね。


 私も歴史を見て来たけど、数の暴力とご都合主義で真実から目を背けるのはちょっとなぁと思う。

 午後9:13 · 2024年3月4日


 引用おわり―――――― 堅洲斗支夜名興文庫相談役 Xより

 https://twitter.com/kadas_blue/status/1764625265890848781



 安田氏のポスト、というのはこちらの事です。



 引用はじめ――――――


 安田均

 @yasudahitoshi2

 フォロー

 おいおい、SNEは被害者側であって、加害者側じゃないよ。某文芸のS社がファンタジーノベル大賞にヒロイックファンタジーのようなものは含みませんとあって、悲しい思いをしたもんだ。そのS社が20年後には、nexを作ってうちの作家をメインに立てたくらいだから、ラノベの流れも時代も変わるもんだよね。

 引用


 泉信行

 @izumino

 ·

 2023年9月2日

 当時のSNE作家のコラムなどを読んでいても、トールキンを頂点にしてその下にペーパーバックの洋ファンタジーを置きつつ、日本ではその亜流のライトファンタジーが書かれているという「歴史観」は語られてた気がしますね。

 ゲテモノ呼びは卑下込みだと思いますが、洋FTを理想化していたのも確かなので x.com/koshian/status…

 午前11:05 · 2023年9月3日


 引用おわり――――――安田均 Xより

 https://twitter.com/yasudahitoshi2/status/1698155179848421596



 確かに、氏は悲しい思いをしたようです。

 ただ、二点ほど堅洲氏の主張とは違う点があります。


 まず一点目は、「ヒロイックファンタジーは要らない」ではなく「ヒロイックファンタジーのようなものは含みません」です。


 言葉尻が違うだけで、だいぶ意味合いが変わります。

 要らないと言っていないのは、先だっての話で扱った選評での苦悩でも明らかです。

 「たくさん世に出ているから、自分の関わるこの賞では、基準をこうしよう」であって「日本の出版界からヒロイックファンタジーを排除しよう」ではない。


 そして二点目は、「三十年の本格ファンタジーもしくはヒロイックファンタジーの空白」があった、というのが違うのではないかという点。


 上記ポストでは現に「そのS社が20年後には、nexを作ってうちの作家をメインに立てたくらいだから、ラノベの流れも時代も変わるもんだよね。」との言葉があります。


 nexとは、おそらく新潮社のレーベルのことだと思われます。

 その文庫で、ヒロイックファンタジーだと除外されるだろうSNEの作家がメインになっている。

 そうとれる文言です。


 十年前から、その時流は変わっていた。


 安田氏は、そう感じているようです。


 ちなみにレーベルは2014年に誕生しています。

 現存もしています。


「数の暴力とご都合主義で真実から」ではなくて。

 私や、少なくとも複数人からの証言を元に「事実を組み立てていく」方からすれば、当時中心人物ではないただ一人の消費者証言を信じるには、例えばその実際の雑誌、書籍を、国立国会図書館やそれに準じた場所にて、探し、コピーをあげていただけない限り、陰謀論のようなものに加担してしまうことになります。


 現在、三十年前、それもキチンとした企業のデータベースはおおよそ保存してあると思います。

 納本、というシステムもあります。

 雑誌や書籍なら、辿る手立てはあります。


 実際、ネットでのSNS拡散での情報で、当時情報がポツポツと出てきたくらいです。

 賞の選評ですら、



 引用はじめ――――――


 カスガ

 @kasuga391

 フォロー

「そんなことは選評に書いてない」と主張する方がいたので、『後宮小説』の付録にある荒俣宏氏の選評から該当部分を添付しておきます。

 荒俣氏以外に高橋源一郎氏も、ファンタジーのイデオロギー化への不満や『後宮小説』の「軽さ」に魅せられた旨を述べておられます。

 画像

 午後9:30 · 2023年9月9日


 引用おわり―――――― カスガ@kasuga391 Xより

https://twitter.com/kasuga391/status/1700486903680954623



 こうして、ポストとしてあげてくださった方がいらっしゃいました。

 意外とファンの方は大事に持っていらっしゃる。

 なので、情報を追うことができました。


 選評の内容については、件の賞について書いた話にて引用させていただいた通りとなります。


 情報過多の時代です。

 嘘やホラ、そうでなくても拡散によって捻じ曲がる事実があります。

 できるだけ一次情報や複数人証言のある、またはご本人の言葉を採用する。

 数の暴力ではないのです。

 情報の正確性の問題です。

 私はそう考えますし、そう考える人が増えると詐欺などの犯罪件数も少しは減るかなと、そうだと良いなと思っています。





 ■三十年前、ネット以前に雑誌ないし書籍に載った『ライトノベル宣言』は資料が散逸したかどうか



 引用はじめ――――――


 堅洲 斗支夜/Toshiya Kadas@名興文庫相談役/総帥


 @kadas_blue

 フォロー

【答えはこちら】


 春なので変な人が騒いでますが、『ラノベ宣言』またはこれに準じたようなソースなんですが、残念ながら資料が散逸してて辿れないというのが公式な見解であり、某博物館の文書の初出年も良く分からないのだとか。


 真実なんて『証拠は?』とか簡単にやれるものではないって事ね。

 午後8:44 · 2024年3月4日


 引用おわり――――――



 これはおそらく、堅洲氏がパパ活呼びしてしまった方からの情報を、曲解したのかなと思われますが、正確な文言はこちらになります。



 引用はじめ――――――


 そして、ライトノベル宣言についてですが。


 社内端末で調査していただきましたが、総帥の仰る三十年前のものは記録になかったとのこと。


 ミュージアムに掲示されている宣言については、このミュージアムが完成した際に書き起こされたオリジナルであり、何かを引用したものではないだろうとの回答でした。


 もっとも、当然のことながら、角川歴彦氏本人にお話をうかがえたわけでもありませんので、真実はわかりません。


 ただ、職員さんが言うには、三十年前のロードス島戦記刊行時、ライトノベルという言葉が公言されていたとは考えにくいらしい。


 引用おわり―――――― 駿河防人@タキオン・ソード(連載再開)@tachyonsword Xより

 https://twitter.com/tachyonsword/status/1703284378582081909



 引用はじめ――――――


 某SNSで、三分の二が似通った原典が三十年前に出されているということを主張している人がいるので、気になっていると。


 社内端末まで使って、調査してくれました。


 結論は、そんなものはない、です。


 引用おわり―――――― 駿河防人@タキオン・ソード(連載再開)@tachyonsword Xより https://twitter.com/tachyonsword/status/1703803009086755266



 お分かりでしょうか?

 公式見解的には「ミュージアムが完成した際に書き起こされたオリジナル」「社内端末まで使用し探したが無い」この文言に尽きます。

 角川武蔵野ミュージアムのグランドオープンは二〇二〇年十一月。


 また、ライトノベルという言葉自体成り立ちがネット隆盛と合わさった、超個人的な命名が急速に広まって定着した例であり。

 近代に起こったことでもあるので、振り返りが容易です。

 ご本人もご存命。

 それによると、世間に定着したと感じたのは21世紀との事。

 参考:https://togetter.com/li/331517


「『ライトノベル宣言』って、もともとネットが普及する前に出たものですよ?」という氏の言説が、命名者の説明にそぐわないのが分かります。


 調べたので、氏がこの文言じゃなくロードスという単語が入っていると言って蹴った文面が『電撃文庫創刊に際して』の文章ということを知っています。


「ライトノベルの起源はイギリスの〜」に、これです、と言ったその文章が二〇二〇年初出のライトノベル宣言である事を私は知っています。


 ライトノベルという単語は一九九〇年代の、ネット普及のある種申し子であり、ネットのない時代にはなかった言葉です。


 よしんばそのラノベ宣言が三十年前にあったのだとしても、時流を変えるだけの力ある文言ではなかったのは、普及してないという事実を鑑みても妥当だと考えます。


 真実とはなんでしょうか?

 事実は、以上です。




 勿論、私が掘り返せていない情報があるという可能性は、有ります。

 というわけで、気軽にコメントにて、知ってる方がいらっしゃれば情報お待ちしております☆




 余談:しばしばweb小説について、大規模プラットフォームである小説家になろう等がある前は存在しなかったんでしょ?という言説も出ますが、プラットフォーム無くとも、掲示板やBBS、個人サイトやブログなどに掲載していた時代もあります。

 私は詳しいわけではないので、その辺りの話は、岡田勘一氏のnote記事を参考資料として貼り付けさせていただきます。

 https://note.com/kanichi0203/n/n6eb5d6571105

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本格ファンタジーその密林の真相 三屋城衣智子 @katsuji-ichiko

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