第3話 本格ファンタジー=ヒロイックファンタジーだった

 さて。

 二話ほど過去作を上げさせていただきましたが。


 何故こうしてエッセイに書いているのか、という動機部分が気になる方もいるでしょうか。

 本格ファンタジーが嫌いなのか?

 いいえ、本格はともかくとしてファンタジーは大好きです。

 文章自体が大好きです。

 児童文学だろうと、ライトノベルだろうと、一般文芸だろうと、雑誌に載ったコラムだろうと、大好きです。


 人の思いのこもった言葉が、大好きです。




 好きに名乗ればいいとも思ってます、本格ファンタジー。


 ただ、それを名乗らんとする名興文庫相談役の方が、他のファンタジーを排そうとする発言をしている、しかもノーソースで。

 さらに自分の作品以外本格ファンタジーはない、とほぼ断言している。

 カクヨム甲子園の一件にもからみ、私にも思うところが出てきたのです。


 なので、いっちょ反証……とまではいかないと思いますが考えの多様性の面、また思い込みすぎるという危険性、共に考える人が増えるといいなとこうしてエッセイを書いたり、今回まとめることにして書いてます。


 そうして様々人が発言することによって、正誤がわかったりすることもあるのです。

 集合知ってやつ、ですかね?


 そしてその結果、ご本人からの正確にして端的な定義が出ましたので、最後に引用させていただき、また私にとっての本格ファンタジーの作例を載せると共に三話のしめに入ろうかなと思います。


 引用はじめ――――――


「ライトノベル宣言」がラノベ図書館に貼りだされたものが初出ではないとおっしゃられていましたが、「ライトノベル宣言」は何年にどのような形で発表されたものなのでしょうか? それから「ファンタジー・レコンキスタ」の中で「ファンタジーは海外では優れたものが多数あるが日本ではライトノベルのレーベル以外で書かれていない」と取れる内容があったように思いました。「獣の奏者」、「アルスラーン戦記」、「ブレイブ・ストーリー」、「アークノア」などのラノベではないものを主に取り扱う出版社から出されたこれらの優れた和製ファンタジーに対する見解をお聞きしたいです。また「ファンタジー・レコンキスタ」の中で西洋風だけを抜き出して中華風・和風のファンタジーに触れていないことには何か理由があるのでしょうか?

 堅洲 斗支夜/Toshiya Kadas 

 堅洲 斗支夜/Toshiya Kadas 

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 正確な年月はいつだったか、『ロードス島戦記』の大ヒットの頃ですよ。


 私が求めているのは西洋風の、剣と魔法的なファンタジーだからです。


 しかし、ライトノベル宣言によってラノベメインとなり、ファンタジーノベル大賞では『ヒロイックファンタジーのようなものは含めない』と下に見られ、結果として大人も読める一般小説としての『西洋風の、剣と魔法的なファンタジー』はその発刊される下地も無くなり、海外のものを指をくわえて見ているしかなくなりました。


 これが良くないし、是正すべきだという考えです。


 引用終わり――――堅洲斗支夜氏SNS内質問箱にて ※下記URL

 https://peing.net/ja/q/ca1ef212-c7fb-4504-ab13-a2be0b2f660e


 この発言によってとてもご本人の求めるものがわかりやすくなった、と個人的には感じています。


 要は『西洋風、剣と魔法のヒロイックファンタジー』が彼のいうところの「本格ファンタジー」なので。


 もちろんこれは、=ではなく≒と私は考えます。

 人の数ほど、本格、という言葉に感じることは多様なのですから。

 ヒロイックファンタジーじゃない、という一点だけで本格という言葉から弾かれる作品が多くなることに私は反対の立場を表しておきたいな、と思います。




 最後にはなりますが、私が触れてきた中で本格――この場合は雰囲気に没入できる、という感じですかね? の作品一覧です。

 タイトル覚えておこう、みたいな気概で本を読んできてなくて、覚えていない児童文学その他ももちろん沢山あります。

 書いて足りなければ、ネットの選書ページや広く読者だった方々の言葉等からも参考にさせていただく所存

(ちゃんと別に書きます)

 ※国産の、という枕詞がつくようですので準じます。また、重複記載もあり。敬称略。


 ○読んだことのある本格ファンタジー(私定義物)


 十二国記

 ちょー美女と魔獣 ※とそれに連なるシリーズ

 創竜伝

 光の帝国 ※常野物語他作は多分……未読

 ユルン・サーガ

 銀の海金の大地

 アルトゥール星伝

 スレイヤーズ

 かいけつゾロリ


 ○本格ファンタジーとネットにて紹介のある作品


 夜の写本師

 空色勾玉

 十二国記

 ブレイブ・ストーリー

 だれも知らない小さな国

 光車よ、回れ!

 オーリエラントの魔道師たち

 青の読み手

 獣の奏者

 新世界より

 魔女と傭兵

 後宮に星は宿る 金椛国春秋

 ロードス島戦記

 鋼殻のレギオス

 オーラバトラー戦記

 レーエンデ国物語

 RDG レッドデータガール

 魔弾の王と戦姫

 棺のチャイカ

 扉守

 銀の犬

 フォーチュン・クエスト

 雨ふる本屋

 猫のダヤン ダヤン、わちふぃーるどへ

 魔導の系譜

 ブレイブ・ストーリー

 烏に単は似合わない

 プラネタリウムのふたご

 サジュエと魔法の本

 滅びの鐘

 送り人の娘

 アルスラーン戦記

 死神の日曜日

 月白青船山

 Arknoah

 アラビアの夜の種族

 天鏡のアルデラミン

 世界の終わりの世界録

 覇剣の皇姫アルティーナ

 はじまりの骨の物語

 英雄の書

 童話物語


 ○おそらくヒロイック系であろうネット検索で出てきたり、SNSで広く募集して名前の上がった作品(各個人の感じたところを主軸にしています)


 南総里見八犬伝(1814年) 曲亭馬琴

 素戔嗚尊(1920年) 芥川龍之介

 人外魔境(1939年) 小栗虫太郎

 エル・ドラドオ(『ダイヤ』1948年2月号) 香山滋 ※ 人見十吉シリーズ

 ヤマトタケル(1971年) 豊田有恒 ※シリーズもの

 亜空間要塞(1974年) 半村良

 エデンの戦士(1976年) 田中光二

 ビッグウォーズ(1978年) 荒巻義雄

 グイン・サーガ(1979年) 栗本薫

 銀河の聖戦士(1979年) 田中光二

 アッシュサーガ(1980年)田中光二

 太陽の世界(1980年) 半村良

 宝石泥棒(1980年) 山田正紀

 異世界の勇士(1981年) 高千穂遙

 涅槃の王(1981年) 夢枕獏

 魔界の剣闘士(1981年) 清水義範

 惑星の剣闘士(1982年) 清水義範

 黒い炎の戦士(1982年) 白石一郎

 飛び去りしものの伝説(1983年) 都筑道夫

 カローンの蜘蛛(1983年) 栗本薫

 カナンの試練(1984年) 栗本薫

 魔海戦記 ダゴンの復讐(1984年) 田中文雄

 宇宙皇子(1984年) 藤川桂介

 幻夢戦記レダ(1985年) 菊地秀行

 アドナ妖戦記(1985年) 嵩峰龍二

 アルスラーン戦記(1986年) 田中芳樹

 逆宇宙ハンターシリーズ(1986年) 朝松健

 旅のラゴス(1986年) 筒井康隆

 巨人の国へ(1987年) 吉橋通夫

 美獣 -神々の戦士-(1988年) 高千穂遙

 ロードス島戦記(1988年) 水野良

 魔獣戦士ルナ・ヴァルガー(1988年) 秋津透

 隣り合わせの灰と青春(1988年) ベニー松山

 蒼い人の伝説(1988年) 安彦良和

 パロスの剣(1989年) 栗本薫

 雷の娘シェクティ(1989年) 嵩峰龍二

 上弦の月を喰べる獅子(1989年) 夢枕獏

 宇宙のみなもとの滝(1989年) 山口泉


 ――――1989年に日本ファンタジーノベル大賞始まる

 ――――1990年初め頃に「ライトノベル」という単語が爆誕、2〜3年のち書店スニーカー文庫等の棚へも波及し始める


 英雄ラファシ伝(1990年) 岡崎弘明

 ジーク(1992年) 斉藤洋

 デルフィニア戦記(1993年) 茅田砂胡

 テングリ大戦(1993年) 安彦良和

 聖王子ククルカン(1993年) 安彦良和

 精霊の守り人(1996年) 上橋菜穂子

 傭兵ピエール(1996年) 佐藤賢一

 青の聖騎士伝説(2002年) 深沢美潮

 シルクロード少年 ユート(2006年) 戸梶圭太

 猫旅物語(2008年) 若月としこ

 忘れ村のイェンと深海の犬(2013年)

冴崎伸

 図書館の魔女(2013年) 高田大介

 鹿の王(2014年) 上橋菜穂子

 スタープレイヤー(2014年) 恒川光太郎

 ヘブンメーカー(2015年) 恒川光太郎

 ビーストウォリアー(2022年) 米田友哉




 多分まだまだ探せばあるかなって感じがしました。

 ただ、ライトノベルと海外翻訳作品に比べると確かに90年代と比べて後年は少ないかも?

 けれど「ヒロイックファンタジー」という括りで合わせると、今回調べる中でいろんな媒体に広がっていることを知りました。

 webでも作品を書いてらしての方を発見!


 ということは……実際はとてつもない作品量なのでは?

 これは多分海外作品ファン、小説ファン、アニメファン、ゲームファン、TRPGファン集めると東京ビッグサイト埋まるかも。

 ヒロイックファンタジー単語のグーグル検索で、スニーカー文庫がサイト検索欄ごとたくさん作品名上がってきたりもしましたから。


 感じ方やジャンルの特徴を挙げるならこれ! というのは個々人あっていいじゃない、って思います。

 けれど自分にもある思いってものは、相手にだってあるのです。

 お互いそう思ってるんだねぇこういう雰囲気のも素敵だね、って言えるといいなと個人的には思いました。


 因みに長ったらしくなりますのでどう日本ファンタジーノベル大賞が受賞作の傾向を決めたかは、オマケで考察したいと思います。




 さて、ヒロイックファンタジーについてはこうも言ってらしたようで。


 引用始め――――――


 ロードス島ラノベ宣言以前には本格ファンタジーがあったんですよね。

 カダス氏が若かった頃の日本の名著本格ファンタジーを教えてください。

(1970~

 堅洲 斗支夜/Toshiya Kadas 

 堅洲 斗支夜/Toshiya Kadas 

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 あんまりなかったってば。


 ロードス島戦記の人気の元になったゲーム群の原点足る作品群について深く紹介して、そっからしっかりファンタジーをやっていくのかと思ったら、ラノベの範囲でしかほとんど展開しなくて、何やっとんじゃって感じです。


 引用終わり――――――堅洲斗支夜氏SNS内質問箱にて ※下記URL

 https://peing.net/ja/q/fe049389-b67e-4583-bc2c-d296b33ee265



 絶対に有名でなければならない、という意志を感じます。

 が、それってこれらを読んできて教養とし、更なる広い世界を生き広げてきた、作品を世に生み続けていらっしゃる方々に対しての目線がなさすぎやしないかな、と。


 昔の広告媒体事情はどうだったのでしょうかね?

 そのあたりとか、時代性、他のアニメ、ゲーム、映画、漫画等々の娯楽の時流なども色々加味しないと結論は出ないのではないかなぁとか。

 文化は地続きだと思いますので。

 私としては、そういったものを吸収してきた方々が、今日のコンテンツの第一線を走ってらっしゃると思っていますが、お読みになった方はどう思われますかね?

 そんな疑問を投げかけたところで、この話は終わりにしたいと思います。


 さて、次の話では「んん? 当時を知ってる身としてはなんか変だぞ?」と思った方に向けての調査報告を載せようと思います。

 「ライトノベル宣言」のくだりですね。

 もう少し、お付き合いただけたら幸いです。



 ――――――――――


 後書き


 この話を書くにあたり、SNS(旧Twitter)にて、呼びかけに沢山の反応をいただきました。

 きちんとした声かけさえすれば、沢山のお知恵を拝借することができ、また世界も広がるのだと実感した出来事でした。

 文末、また後書きにはなりますが、拡散に協力いただいたり作品名を教えたいただいた方々には厚くお礼を申し上げたいと思います。

 有難うございました!


 ヒロイックファンタジーの作品については、その多様さ、奥深さに驚いたので、ご紹介したりする作品にしたいなと思います。

 だって勿体無い、この作品に入れ込むのはとっても勿体無い!! と思ったので。



 参考元


 ツイートを引用して批評した書籍における適法引用の成否に関する「#KuToo」事件東京地裁・知財高裁判決について

 https://innoventier.com/archives/2022/05/14017


 弁護士が解説! 「ツイッターの引用」って合法? 違法?

 https://sirabee.com/2017/01/19/20161058132/


 Twitterのスクショ投稿が引用として認められる【知的財産高等裁判所判決】

 https://togetter.com/li/2130054


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