第6話

検討に検討を重ね検討を加速した結果、妹ちゃんの名前は雪乃ちゃんになりました。ご意見くださった方々、ありがとうございました。ちなみに今回は雪乃ちゃんは登場しません。雪乃ちゃんが楽しみな方は次回登場しますのでどうかご期待ください。


◇◇◇◇


六花が家に帰るため、中層の中間ほどまで戻っていたとき、それは突然起こった。



ドーン!



「ん?爆発音?上の方でなんかあったんですかね?」


”誰かが”トラップでも踏んだんかね?

”さっき玲瓏がいたときも爆発するモンスターなんていなかったしな”

”ちょっと心配だが”

”何もないといいな...”

”大丈夫か?万が一にも瓦礫とかで道が塞がってないといいが”

”ダンジョンの壁なんて今まで誰も壊せてないから流石にないやろ”


「少しスピード上げますか」


「《アイスカーペット》」


六花がそう唱えると上の階まで続く一本道の地面が氷で覆われた。六花はその上をアイススケートの要領で滑る。


”はえぇぇぇ!”

”玲瓏スケートもできんのか...”

”探索者ってみんな体幹よさそうだしな”

”ん?俺探索者だができんが?”

”なんかごめん”


上の階へ行き少し探索すると、爆発が起きたであろう瓦礫があった。


「なにがあったん―――モンスタートラップ?」


瓦礫の近くには原因と思われる魔法陣があった。


「...少しまずいかもしれないな」


”どうしたんだ?”

”その魔法陣になんかあんの?”

”モンスタートラップらしいがこんな術式見たことないな”

”玲瓏はなにか知ってるらしいが”

”なにがまずいん?”

”アクシデント?”


「...この術式はリッチの上位種、エルダーリッチのモンスタートラップです」


”エルダーリッチ?”

”少しどころかめちゃくちゃまずくないか?”

”リッチの上位種なんて中層の上らへんで探索してるやつには重すぎやろ”

”もしかしてトラップ踏んだ探索者はもう...?”

”やめろよそういうこと言うの”

”不謹慎だぞ”


「いえ、このトラップを踏んだと思われる探索者はまだ生きてます...けど心拍が少しずつ弱くなってますね...少し急がないとヤバいです」


”助けてください!”

”ルナちゃんがピンチなんです!”

”なんだなんだ?”

”もしかしてトラップ踏んだのってあのルナか?”

”ルナって?”

”登録者が150万人越えてる配信者で女子では珍しいAAA級探索者”

”ルナちゃんがトラップ踏んじゃって、見たことないモンスターに襲われてるんです!”


「今向かいます。あと3秒で行けます」


”おいおいこんな状況で何言ってんだ!?”

”お前今走るどころか歩いてすらいないだろ!!”

”ルナちゃんのの命の危機だぞ!?冗談言ってないで早く向かってくれよ!!”


「掴めた、《氷霧》」



瞬間移動したとき真っ先に目に映ったのはいくつかの四肢が損傷して到底戦闘できない様子のルナと、そのルナに今まさにとどめを刺さんとしているエルダーリッチだった。


「ふぅ...間に合った。」


「《氷壁》」


カンッ


「!?!?!?」


リッチとは違い、一度防いだだけで壊れてしまったが、エルダーリッチは突然自分の攻撃が何者かに阻まれ、驚きを隠せずにいる。その隙にルナのもとに走り抜けた六花はルナの状態を確認した。


「(右足と左腕の欠損、エルダーリッチの固有毒に侵されてる状態ってとこか...)」


”瞬間移動した!?”

”一瞬でここまで移動したのか!?”

”間に合った!間に合ったぞ!”

”でも酷い怪我だな”

”これは酷いな...”

”もう探索者なんてできないだろ...”

”できたとしても絶対トラウマだぞ”

”でも生きててよかった...”

”でもなんか顔が青くないか?”

”あきらかに出血が多いからのそれじゃないぞ”

”まさか毒!?”

”だとしたらヤバいぞ、ここを乗り切れたとしてもダンジョンを出て治療が間に合うかわからん”


「時間がないんだ...取れ高どうのこうの言ってる暇もないし、オーバーキルでも文句はねぇよな?」


六花は銀華の魔法陣を展開する...が、そこでエルダーリッチはニヤリと笑い、六花...ではなく


「くっそ!そういうことか!―――っ...あぶねぇ!!」


六花はルナを避難させることには成功したものの...


「ぐっ!?...《氷壁・堅氷》!」


ギリギリ逃げることができなかったのか

だが六花は冷静に強化した氷壁を使い自分とルナを覆う防御壁を作った。


”おい大丈夫なのか!?”

”玲瓏も右腕無くなっちまったぞ!?”

”二人ともここで死んだりしないよな!?”


「いえ...大丈夫です。ですがこのままでは俺が攻撃しようとする度にルナさんを狙われ続けていつまでも攻撃できません。なので今治療してしまってルナさんを逃がしてから倒します。」


”治療なんてできんのか!?”

”でもお前エリクサーも何も持ってきてないだろ!?”

”どうやって治すって言うんだ!?”


「《複氷・再生》」


六花の言葉と同時、氷でできた両腕、右足が構築された。それを失われた各部位にくっつけると...


ピキピキピキピキ...


氷は徐々に人の腕や足となり、数秒すると完全に元通りになっていた。


「よし、問題なく治せましたね」


”ファッ!?”

”氷が人の腕になった!?”

”え?”

”流石におかしいって!?”

”高火力だし防御力も高いし瞬間移動もできてその上欠損部位の修復って...”

”これが世界1位の所以か?”

”まぁこれなら世界1位とか言われても納得できるな...”


「ん...んんぅ...っ...あれ...私あのモンスターに...って腕と足が治ってる!?」


「説明は後でするので逃げてください、時間は稼ぎます」


「でも...っ!!...わかりました」


六花から尋常ではない量の殺気が放たれていることに気づいたルナは自分はここにいていい人間ではないと思い、素直に六花の指示に従った。


「《氷壁・堅氷》」


「ケケケケケッ!」


モンスターはルナを逃がすまいと上位斬撃魔法を放つが全て六花の氷壁で防がれてしまいあっけなく逃げられてしまう。


「よし、逃げれたな?」


六花はそれを見届けるとエルダーリッチを睨みつけて一言



「貴様、楽に死ねると思うなよ?」



◇◇◇◇


そこからはただの一方的な蹂躙だった。死なない程度に加減された氷槍がいくつも刺され、エルダーリッチの戦意は喪失されていく。遂にこれ以上刺すと死んでしまうラインまできたとき、六花は氷槍ではない別の技名を言った。


「《氷牢》」


氷牢と呼ばれた技はエルダーリッチを覆うように展開されエルダーリッチは身動きが取れなくなる。そして六花は先ほど黒龍にやった様にダンジョンの天井部まで行き、

エルダーリッチの命の灯火を消す技名を紡ぐ。



「銀華・氷笋」


「(銀華・氷瀑を、お前に果たして耐える術はあるか?)」


雪の結晶はひらひらとダンジョンの地面に落ちた――――瞬間





キ――――――――――――――――ン




爆発音は、しなかった。否、人間の耳には聞くことができない超音波の域に達していた。それほどまでに圧縮された一撃、勿論これに対抗する手段などエルダーリッチには存在せず、この世に塵芥一つ残すことなく消滅した。



「ふぅ...さて、みなさん。帰りますか!」


”.........”

”.........”

”.........”

”えぇ?”

”何今の...”

”もうこいつ一人で十分だろ”

”だからこいつSSSなんだよ”

”綺麗だったけどすげぇ怖い”

”わかる”

”絶対に敵に回してはいけない人物”

”SS級全員敵に回したとしてもワンチャンこいつ勝つんじゃね?”

”本当にありそうで怖い”


改めて帰路についた六花はどこかスッキリした表情をしていた。



◇◇◇◇


ダンジョンから出て、配信を切ったところで六花は再びルナに会った。


「あぁ...大丈夫でしたか?腕とか治した時についでに毒も治しておいたんですが」


「はい!その節はとてもお世話になりました。」


「あーでは、妹が心配してるのでこれで...」


「あっちょっと!待って―――」


六花はルナの静止を聞かず、そのまま消えてしまった。








「.........かっこよかったな...





◇◇◇◇

ちなみに六花のスキルのポテンシャルはまだまだこんなものじゃないです。

次回、雑談配信、妹ちゃんの再来、デュ〇ルスタンバイ!


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