第5話

「さて、今回湧いたのは黒龍ですね、ドラゴンと呼ばれる種類の中ではトップクラスに物理攻撃に優れていますが、かといって魔法攻撃が他に比べ弱いわけでもありません」


”滑らかに無視すんな”

”泣くぞ?”

”子供部屋おぢさん泣かないで”

”唐突な偏見”

”泣いた”

”キッショ”

”酷すぎんか?”


そんなコメント欄を横目に六花は話を続ける。


「なので相手が物理攻撃しかしてこないと高を括りこのように離れると――



キュイーーーーーーン......




ドゴーーーーーーーーン!!



――とこのように魔法攻撃が飛んでくるので注意が必要です」


”えこわぁ”

”地面抉れてる!?”

”威力バカだろ...”

”えじゃあどうすんの?”

”近づいたら相手の間合いだし離れたら魔法ぶっぱ”

”対処のしようがなくないか?”


「結局のところどっちの攻撃の方が防御しやすいかの問題になるので」


六花は黒龍に一気に近づき拳を振るった。


パァァンッ


瞬間、黒龍は壁に打ち付けられた。


「俺の場合は物理ぶん殴る一択ですね」


”いや魔法じゃないんかい”

”魔法どこいった()”

”お前どっちかというと後衛だろ”

”残念インファイト”

”相手の魔法に氷槍ぶつけて終わりだと思ってた”

”俺も”


いきなりぶっ飛ばされた黒龍は思いもよらぬ出来事に動揺し少し混乱していた。


「グ...グルゥ...?」


”いやかわいいかよ”

”ちょっと可哀そうに見えてきた”

”飼い主に叱られた大型犬みたいになっとるww”

”これはかわいい”

”これが黒龍ってマ?”

”威厳も尊厳もなくて草”


「《氷槍》」


そんな黒龍に対し六花は容赦なく氷槍を突き刺し、黒龍は瀕死になる。


「グ...ガァ...ァ...」


”人の心とかないんか?”

”最低だな”

”見損なったわ”

”クズが”

”サイテー”

”愛護協会に訴えます”


「えなんで急にそんなボロクソ言うん?」


”可哀そうだろ!”

”こいつらがおかしいのに数の暴力で玲瓏の方がおかしいみたいになってんの草”

”これが数的有利ってやつかぁ...”

”末恐ろしいこのネットの力”


「まぁいいや...あと30秒しかないからさっさと倒そ」


”やめてあげて!”

”殺さないたげて!”

”頑張れ!黒龍!”

”この攻撃を耐えたらお前の勝ちだ!”

”もう勝ち目ないと思われてタイムオーバー狙われてるやん”

”なおあくまで目標なので特にペナルティはない模様”

”終わった...”

”負けるな―!黒龍ー!”

”誰も玲瓏応援しないやん”

”※皆さん忘れていますがここは下層のボス部屋です”

”心配されてるのがボスの方という異常事態”

”心の中では黒龍がこいつに勝てないのわかってるからな”

”玲瓏がんばれー)ボソ”

”応援してもしなくてもどうせ勝つんだろうなぁ”


六花は氷壁をいくつか階段状に出し、ボス部屋の天井付近まで行った。六花は黒龍に向けて手をかざし、黒龍にとどめを刺す技名を紡ぐ。


「《銀華・氷爆》」


言い切ると同時、ボス部屋中に雪の結晶のような魔法陣が無数に展開され、。それはさながら銀色の華、その華が満開になった時、既に黒龍はこの世にいなかった。


”ふわぁぁぁ...”

”キレー...”

”美しすぎんか?”

”見た目に反して火力はエグイけどな”

”高火力で綺麗って最高かよ”

”ああああああ黒龍ちゃぁぁぁぁん!!”

”これが黒龍ちゃんの手向けか”

”その手向けで黒龍死んでるけどな”


「―――はい、討伐完了しました。タイムは1分54秒、結構ギリギリでしたね」


六花の周りには爆発した後の無数の氷の粒と黒龍のドロップ品が落ちていた。六花はドロップ品を回収するとダンジョンから引き上げる準備をする。


”黒龍勝負に負けて戦いにも負けちゃった...”

”お前のことは忘れないよ...”

”俺は自然に空に向かって敬礼していた”

”ワ〇ウ殺した時のジョ〇フかよ”

”悲しいけど忘れないよ...”

”短い間しか会えなかったが黒龍お前は俺の心で生き続けるよ”


「今日はここまでにしてそろそろ引き上げますね。この調子なら深層でも配信ができそうなので今度配信するときは深層まで行こうと思います。」


”あーもう終わりか...”

”クッソ短けぇ”

”攻略速すぎなw”

”ちなみに今深層に行かない理由あるん?”

”それ”

”今度行けるなら今でも行けるくね?”

”次ホントにやるんか?”

”実はあんま余裕ないんじゃねぇの?”

”なんやこいつら”

”深層怖くてビビッて行けねぇんじゃねぇの?”

”はーうざ”

”もうアンチ湧いてるのか...”


「今行かない理由を簡単に言うとですね――――


そこで六花は数秒ためてその理由を告げる。


―――。」


”へ?”

”へ?”

”へ?”

”へ?”

”お前妹いるん?”

”いも...うと?”

”は?嘘言ってんじゃねぇぞお前”

”適当に言って誤魔化してるんやろ?”

”証拠出せよ証拠”

”ちなみにおいくつ?”


「はいはいちょっと待ってくださいねー?」


心なしかウッキウキな様子で六花は妹に電話を掛ける。


プルルルル...プルルルル...プルルルル...


『もしもし、おにぃ?』


「あー我が妹よ、配信で妹いるって言っちゃってさぁ...写真見せていい?」


『え!?配信!?おにぃ家にいないって思ったら配信してたの!?』


「うん、それで妹いるなら見せてーって言われちゃってさぁ...見せていい?」


『えー...写真...写真かぁ...今度配信に出るとかじゃダメなの?』


「んー...一回確認してみるわ―――ってことなんだがそれでいい?」


”ええよ”

”全然いいよ”

”むしろそこまでアンチにしてやんの優しすぎやろ”

”いやこいつさっきの様子からしてただのシスコンだぞ”

”なんだ...ただの妹自慢したいシスコンか...”

”ぜってー逃げんなよ”

”てか今の電話でほとんど証明できてね?”

”それはそう”

”まぁまぁ、ええやろええやろ”


「視聴者も良いって言ってるからその方向で行くよ」


『おっけー、もう予定とか決めてるの?決まってるなら空けるよ?』


「いや、今ダンジョンにいるし早く会いたいから家に着いてから決めるよ」


『え!?ダンジョン!?ダンジョン配信してるの!?今までしなかったからそういうの興味ないと...っていうかダンジョンで電話なんて危ないから早く帰ってきて!』


「あ...はーい...」


そこで電話は切れ、あたりには静寂とした空気が残った。


”wwww”

”妹に弱いお兄ちゃんじゃんww”

”てぇてぇ”

”てぇてぇ”

”妹の方が強いの草”

”おにぃ呼びいいなぁ”

”わかりみが深い”

”かわいい”


「妹に怒られたしもう帰るつもりだったのでとっとと帰りまーす...」


愛しの妹に会うために、六花は帰路についた。




◇◇◇◇

妹ちゃんの名前が決まらないでござる


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