第28話

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「ミネルアー いくわよ !!」


 アルパカを、チラッと見るミテオナー。


「わかってるわ姉さん

ちゃんと手加減してよね」


 アルパカが、前足で2回地面を叩くと魔法陣が出現し、ミテオナーが光り輝きだす。


「喰らえ

ビームアローッ」


 凄まじい、光りの渦が一直線にマーブルめがけて飛んでいく。


「あーあ

ミンチだな あれは」


 ガクッと、うなだれるアルパカ。

 しかし、


ズバーーン


「フン !!」


 攻撃は、軽くいなされて山肌に激突し大爆発する。


「よけただって !?」


 グレゴリウスが、驚きの声を出す。


「ウソぉー

よろこんでイイのか わかんないけどウチの体は無事だわぁ」


 アルパカが、自分の感情をどっちに向ける

か迷う。


「フッ

その程度で あたちのこと倒せると思ったの ??」


 左肩のホコリを、手ではらうように動かして余裕の表情を見せるマーブル。


「なッ………

キズ1つ付いてないなんて そんな………」


 がく然とする、ミテオナーとアルパカ。

 少なくとも、ダメージは与えられると思っていたのだがもくろみが外れてしまう。


「次は あたちの番だな~

ダークライズ!」


 マーブルが、右手を前に出し掌から真っ黒い渦の玉が出て徐々に大きくなっていく。


「あぶない !!」


その頃


「なんとか 這ってでも出ないと」


 暗闇を、慎重に歩き出す。

 その時、ふとポケットを見ると、


「なんか 淡く光ってる………」


 取り出すと、ジュレルだ。

 風でも、吹いているかのように光り方がイビツで水平に動かしてみると一方向を指し示すように、ゆらゆらと揺れる。


「方位磁石みたい

もしかしたら ジュレルを使ってこのダンジョンから出られるかもしれないよ」


 ふと、そんなことが頭に浮かんで来て、


「よし 行ってみよう」


 導かれるように、歩き出すボク。


「イテッ

狭いなぁ」


 うーん、なんだかおかしい。

 洞窟の、天井から伸びた石に頭を打ち付けてしまう。

 そうこうしていると、小さな部屋のようなところに行き着く。


「なんだ

足下になにかいっぱい当たるぞ」


 ジュレルから、出る光量ではなにか全くわからないがそこらじゅう、いっぱい転がっている。


「あそこ

ボクの持ってる黄色じゃあなくてなにかあるぞ」


 部屋の、奥に赤っぽい光が淡く見えている。

 かきわけながら、ゆっくりと進む。


「ウッ

すごい異臭だ」


 ものすごい、腐敗臭だね。

 その中を、手探りで光っているモノを手にとるとそれは、


「あっ

赤い色の ジュレル !!」


 こんなところに、ジュレルが落ちているなんてけっこうあり得ることなんだろうか。

 でも、8個しかない珍しいモノって言っていたような。


「すごい

近いと お互い引かれ合う性質でもあるのかな」


 左の、手のひらに乗せた黄色のジュレルと右手のジュレルが交流するように光の帯を出している。


「とりあえず 赤いジュレル

ゲットだぜ」


 そう言った瞬間に、


「わっ! ビックリした」


 マーブルが、出したような火の玉がゆらゆらと出現する。


「なんだか ボクも魔法使いになった気分だよ」


 火の玉を、少しの間見ていたがふと足下に目線を移すと、


「ヒッ !!!!」


 おびただしい数々の、骨が散らばっている。


「うぅうう」


 体の、震えが止まらないよ。


「………ぇ

ねぇ 助けて」


 骨の山から、声がする。


「うわっ !!」


 思わず、大声を出してしまった。


「お願い」


 瓦礫の、中から少女が出て来る。


「わっ

まだ生きてるんだね」


 どうやら、ちゃんと人間っぽい。

 でも、まだマーブルみたく魔物の可能性もあるから油断できないね。


「モンスターに 食べられかけた直前に もう1体 人型の魔物がやって来てそれでなぜか食べられずに ここにいたの」


 どうやら、めっちゃピンチだったけど助かったみたいだね。

 よかった、こんなかわいい子が食べられなくて。


「そうなんだ 大変だったよね

ここは モンスターの食料庫なんだね」


 生前に、身に付けていたであろう装備もそのまま転がっている。


「わからないけど」


 首を、振る少女。


「よし 一緒にここを出よう」


 手を、握って立たせる。


「うん」


 首を、縦に振る少女。


「シャーーッ」


 部屋の、出口に大きなコブラっぽいヘビがいる。


「うわ

ヘビのモンスター

あいつがキミをここに ??」


 とうとう、出くわしてしまった。


「違う

もっと大きなクチをしたモンスターだよ」


 どうやら、もっとモンスターがいるダンジョンらしい。

 終わったかも知れない。


「まいったな」


その頃


ズババババーン


 森に、深くえぐれたような道のような爪痕が伸びる。


「ひぇぇ

あんなの喰らったら 跡形もなく消し飛ぶぞ」


 グレゴリウスが、ギリギリでマーブルが放ったダークライズをかわして、つぶやく。


「みんな 無事 ??」


 ミテオナーが、周りに散らばったパーティーメンバーに確認すると、


「オレは 無事だ」


 グレゴリウスは、そう言うとミテオナーに駆け寄る。


「ウチも 大丈夫」


 砂の、中からアルパカが顔を出す。


「私も 問題ないですわ」


 グレゴリウスの、連れている女も無事だと言っているが服がボロボロになっていておっぱいが露出しそうだ。


「わっちも大丈夫だわ」


 ウサギの華美も、いつの間にか合流している。


「ワタシも なんとか………

ありがとうございます華美さん」


 ケイコは、華美が体を抱えて軌道からそらせてくれたから助かった。


「イイのよ

ムッ………」


 にこやかな表情から、一変して腰を低くして周囲を見回す華美。


「どうしたんですか ??」


 首を、かしげるケイコ。


「シーッ

魔物の気配が 他にあるわ」


 そう言って、耳をピクピクンする華美。


ガサガサッ


 茂みが、細かく揺れる。


「あそこよ !!」


 駆け出す華美。


「グワーーッ」


 アルパカを、食べようと大口を開ける赤い大玉モンスター。


「こいつッ」


 華美が、モンスターの横面に飛び蹴りを喰らわすとコロコロと転がる。


「なんだこいつ」


 グレゴリウスが、転がって来た大玉モンスターをまた蹴る。


「霧のようなガスを出すモンスターだよ

霧には 幻覚作用がある」


 アルパカが、簡単な説明をする。


「なるほど

こいつが この森に巣くうモンスターか」


 グレゴリウスが、弓矢を構える。


「おい

指示があるまで 出て来るなと言っておいたろうが」


 大玉モンスターを、叱責するマーブル。


「グフ」


 よだれを、垂れ流してマーブルを見ている大玉モンスター。


「なんだ使役か」


 マーブルに、おびえている大玉モンスター。


「なにかしらの条件で 手なずけているみたいね」


 もとからの、主従関係ではないみたいに見てとれる。


「とりあえず あのモンスターは先に倒さないと厄介だ」


 霧で、目眩ましするとか弓矢使いに相性がすこぶる悪い。


「そうね やりましょ」


 狙いを、大玉モンスターにまず絞ることにする。


「させっかよ」


 大玉モンスターを、かばうように立ち塞がるマーブル。


「もう 面倒だね」


その頃


「わーっ

どうしよう」


 見るからに、毒ヘビであろうモンスターに完全に我を失ってしまうボク。


「魔法使いじゃあないの ??」


 女が、そうつっこみを入れてくるけど、


「いや ジュレルの力のおかげで火が出せたんだよー」


 そう、言い訳っぽく言うと女が、


「それじゃあ そのジュレルって石を使って攻撃すればイイじゃないの」


 そう言ってくれたので、ふと我にかえって、


「あっそうだね

ここで 赤いドラゴンを出せば」


 そう言って、赤いジュレルを突き出して呼ぼうとすると、


「待って !!」


 大声で、止める少女。


「へっ ??」


 固まるボク。

 なんだ、切羽詰まっているっていうのにさぁ。


「こんな狭い部屋にレッドドラゴンなんて出すの ??」


 そう、訴える女。

 レッドドラゴン………

 たしかに、まだ大きさは見てないけれどライデンと同じ大きさなら確実に圧死してしまう。


「あっ それもそうか」

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