第24話
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「どうした なにがあった ??」
グレゴリウスが、道端で呆然としている村人に聞く。
炎上しているのは、1軒だけなのだが周りの建物も破壊されている。
「顔に 包帯をグルグル巻きにした男が 村の建物を次々と壊して………
食料庫が燃えてしまったんだ !!」
嘆き、悲しむ村人たち。
かわいそうだね。
「顔に 包帯の男………? もしや」
アゴを、右手でさわりその手がピタリと止まるグレゴリウス。
「「ジョーカー」」
声を、そろえる一同。
「でも なんであいつが」
ジョーカーは、こんな奇っ怪なことをやるようなヤツではない。
「そうよね
これから試合があるっていうのに こんなことをする意味がわからないわ」
不合理なことを、嫌う性分だから整合性がとれない。
「意味なんて どうだっていい
ジョーカーを ヤツを絞めあげればイイんだ」
村人が、怒号をあげて拳をつき上げる。
そうすると、呼応するように、
「そうだそうだ」
次々と、拳を天高く突き出す村人たち。
「あん? オレサマがなんだって ??」
ぬっと、集団の輪の中へ顔を出す包帯の男。
「いや ジョーカーが村に………
ってお前 ジョーカー!!」
思わず、二度見するグレゴリウス。
「大人しくしろ!!」
グレゴリウスが、ジョーカーの腕を掴む。
「へんッ
このオレサマが 大人しくなんてするわけねえだろ」
腕を、グリンと回転させてグレゴリウスの手を外し側から跳躍して距離をとる。
「ちょっとあんた
村に火をつけといてその態度は」
ふてぶてしい態度を、とるジョーカーに対して怒りをあらわにする村人たち。
「なんのことだぁ?」
頭を、掻きながら首をかしげる。
「フザけるなぁ !!」
棒を、持った村人2~3人が構える。
「こいつだ
こいつにやられたんだ」
足を、負傷した村人がおぶわれて建物から出て来てジョーカーを指差す。
「なんか ヤベェな
ずらかるか」
空気が悪いのを察して、ピョンピョン跳ねて去っていくジョーカー。
「待てぇーッ」
逃げて行く、ジョーカーを追う村人。
「あー
逃げ足の速いヤツだな」
あきれ顔のグレゴリウス。
「ジョーカーの 次の対戦相手は誰だったっけ ??」
アルパカが、前足で地面を掘りながらミテオナーに聞くと、
「たしか 鑑定士の男だったか
名前までは 覚えてないけれど」
腕組みするミテオナー。
「なんとしてでも鑑定士にはジョーカーに勝ってもらってこの村に引き渡してくれないとな」
村長が、そう言っているけど、
「あの~」
ボクが、クチを挟むことじゃあないかも知れないけど気になって、
「どうしたい少年 ??」
ボクの、顔をのぞきこむように見る村長。
「試合会場が わかっているなら どうして村人が直接ジョーカーを捕まえに行かないのですか??」
なんだか、回りくどいんだよね。
「ヒッ
コワいことを言うね坊っちゃん」
村人が、声をあげる。
「えっ ??」
なんだろう。
一気に、空気が張りつめたなぁ。
「試合会場に行くには 迷いの森を突っ切らないといけないだろ」
別の、村人が苦笑いして答える。
「迷いの森 ??」
あれ、モンスターが出るとは聞いたけどもしかして樹海的ななにかなのかな ??
「あんたら試合会場に行くってここの村まで来なすったんだろ
だったら 多少は耳に入ってるだろ」
顔を、見合せる村人達。
「ボクは………」
なんだか、ヤバいところなんだね。
一気に、嫌気がさす。
「ケンイチロウには 説明してなかったわね」
ミテオナーが、仕方なさそうにクチを開く。
「またですか
もうイイです」
とにかく、全部秘密主義なんだね。
チャンスを見て、逃げないとな。
「まー そう言わずに
ワタシたちが ちゃんと守るから安心してよ」
ニコッと、笑いかけて来るミテオナー。
「うーん
いっつも言うのが遅いんだからなぁ」
最初から、そうだよね。
なにか、重要なことを隠蔽するよ。
「アハッ
ごめんごめん」
手を、合わせて半笑いであやまるミテオナー。
本当に、あやまる気があるのかな。
「ここで 補給して ジャングルに突入する予定だったが だいぶ狂うな」
メンバーに、あせりの色が出る。
「だったら 試合会場に行くのを断念するって言うのは ??」
ボクが、そう提案すると、
「ダメよ
ケンイチロウには なにがなんでも 勝ってもらわないと」
そう、アルパカがすり寄りながら言う。
「えーーっ」
アルパカの、頭部をなでながら言うと、
「えーっじゃあなくて」
上目遣いする、アルパカ。
「補給なら わずかに残った食料を持って行きなさい」
村長が、そう言うと、
「そんな 悪いですよ」
ミテオナーが、遠慮して言う。
「イヤ いいんじゃ
あの憎っくきジョーカーを倒してくれるならな安いもんじゃ」
だいぶ、恨みを買ったジョーカー。
「そうですか
ケンイチロウが必ず成敗いたします」
グレゴリウスが、ボクの肩を叩いてそう言う。
「そんな勝手にぃ」
そうでなくても、早く負けようと思っているのに迷惑事が増えてしまった。
「おお 頼みましたぞ」
ボクの手を、ガッチリとつかむ村長。
「ん………
わっかりました」
なんだか、そう言うしかない空気感に負けてしまう。
「おお 勇者様
ありがとうございます」
涙を、流しながらよろこぶ村人達。
「えっ
なんだ勇者ってボクのことかな ??」
持ち上げられて、気分的に高ぶる。
「もちろんそうですじゃ」
ウンウンと、頭をたれる村長。
「やめてよ
まぁ 悪い気はしないけど」
なんだか、ウホウホだなぁ。
「よし 話は決まったな」
腰に、手を置きニコッとするグレゴリウス。
「それでは 今日はもう遅いのでワシの家で一泊されてはどうかな ??」
村長が、ボクたちパーティーメンバーに言う。
山の、日暮れは早くあたりは暗くなりつつある。
「もう そんな時間なんだね」
ビックリするぐらい時間が経過していたんだよね。
「そうよねぇ
今からこの森に入るのは自殺行為だわ」
鬱蒼と、広がる森を見つめるミテオナー。
「めずらしいなー」
ボクが、そう言うと、
「えっ 何が ??」
目を、丸くするミテオナー。
「だって 全然止まらずイケイケだったじゃん」
そう、ボクがつっこむと、
「ワタシだって 冷静な判断くらい出来るわよ」
腕組みして、鼻を鳴らすミテオナー。
「えーっそうなんだ」
「えっ
どんな風にワタシを見ているの ??」
顔を、近付けて来る。
「うーん
ブレーキの壊れている人?」
「ブレーキ? へぇーそんな風にワタシを見てたんだね~」
頭を、かしげるミテオナー。
「うわ 冗談ですよ」
あわてて、否定するボクだけど、
「あとで じっくり聞かせてもらうわね」
いや、目が笑ってないですよミテオナーさん。
「あっ
いえ すいませんでした」
とりあえず、あやまってみる。
「もう遅いからね
体を キレイに洗って待ってなさいよ」
意味深なことを、言うミテオナー。
「は………はぃ」
力無く答える。
「よろしーい
さて村長 今日の晩御飯はなんでしょう ??」
話題を、変えるミテオナー。
「今日はの ちょうどイノシシが今朝獲れたのでな それを煮込んだスープですじゃ」
「それは うまそうですなぁ」
「そりゃあもう絶品ですので
存分に召し上がってくだされ」
そういう話を、しながら村長の家に入って広い部屋に通される。
「さあ 好きなところへ座ってくだされ」
長いテーブルの席へ着席するパーティメンバー。
「さあ たんと召し上がれ」
村長の合図で、料理が運ばれて来る。
「うわぁ ウマそう~
いただきまーす」
「どうぞどうぞ」
「うわぁ めっちゃうまいー」
「そうじゃろうそうじゃろう」
「あー ウマかったなぁ」
「それでは 少年はもう寝なさい
大人は これから特別なサービスがありますよ」
「えーっ」
なんか、こんな時だけのけ者にされて気分がよくないな。
「それは 楽しみだな
悪いなケンイチロウおやすみ」
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