第3章

第21話

ーー21ーーーーーーーーーーーーーーーー


「キャーーー」


すごいスピードで、飛んで来る桶。

ここの、露天風呂も 混浴みたいで

ケイコと、ミテオナーと アルパカが

先に入っている。

ケイコが、思い切り桶を投げて


「ふぅ あぶない

イテッ・・・」


1つ目の、桶は かわしたけど

2個目は、顔面に 思い切り当たったよ。


「ケンイチロウに 聞いたけど

あっちじゃあ お風呂を

分けているそうね」


ニヤニヤしながら、ボクを

見てくる。


「この世界は 分けてないんですか!」


アゴまで、お湯に浸かりながら

ジトーッと、ミテオナーを見る ケイコ


「うん 不貞なヤカラは

魔法で 吹っ飛ばすから」


細い腕で、チカラこぶを作る

ミテオナー


「あっ なる~」


納得して、ボクの方を見る ケイコ


「ちょっと

タンコブ出来てない?

めっちゃ痛いんだけどぉ ??」


オデコが、ズキズキするよ。

ボコッって、出っ張ったような

気がする。


「おっきいわね」


ミテオナーと、ケイコの視線が

下の方を、見ている。


「ちょっと どこを見て言ってるんです ??」


その頃


「この世に 8個あるという ジュレル」


露天風呂を、茂みから 見ている者たちが

なにやら、コソコソ話し合っている。

1人は 女。3人は 男だ。


「へぇ 8個ですか」


話し半分で、露天風呂を見ている

男たち。


「火・水・雷・風のエレメントと

陰陽の 土・氷・光・闇の 計8種類

それぞれに 司るドラゴンがいる」


説明を、続けている 女。

マーブルだ。


「コロシアムで見たのが 8匹も

いるんで ??」


このメンツは、コロシアムで

ドラゴンを見ている。


「そういうことだ

あんな 少年が 持っている

今が 奪う 最大の チャンス !!」


力説する マーブル

試合会場に、着く前に なんとか

奪い取りたい。


「でも ドラゴンを 出されたら

おっかねえだよ」


男の1人が、完全にビビっている。


「ドラゴンが 出たら あたちが

引き付ける

そのあいだに ケンイチロウをやって

そうすれば あたちの勝ちよ」


悪い笑顔になる マーブル


「・・・はいな

そういう手筈で たのんます」


しぶしぶ納得する 男たち。


「ああ・・・

しかし だいたい アルパカも

一緒に 温泉に 入っているなんて

あり得ないでしょ」


常識はずれな アルパカに

プリプリ怒る マーブル


「はい・・・」


そこかよと、クチを突いて出そうに

なるのを、押さえる 男たち。


「さあ 今すぐ ジュレルを

奪い取るのよ」


しゃがんだままで、腕を前に振る

マーブル


「えっ

でも 温泉に入っているのを

襲うのですか ??」


いくら、襲いやすいとはいえ

入浴中に、襲撃するのは

さすがに、気がひける 男たち。


「そうよ

無防備な時に 倒さないと

奪えないでしょ」


1回、失敗しただけに とことん

卑怯な手段に出る マーブル


「ですよね・・・」


もしかすると、ジュレルが

手元にない可能性に賭ける 男たち。


「わかったら さっさと行く !!」


男の、お尻を押し 無理やり出させる

マーブル


「わっ

おいケンイチロウ !!」


いきなり、男に名前を呼ばれたけど。

やっと、ゆっくりお風呂に 浸かって

いるのに、邪魔しないでよ。


「キャーーー」


ものすごい速さで、桶を投げつける

ケイコ


ポコーン


「ウゲーッ」


男の、顔面に ヒットする。

すごく、コントロールが イイね。

そういう競技が あったら

金メダル取れそう。


「おのれーッ」


逆上する 男ども 3人。

気持ちわかるわ。


「あんたたち

温泉に 入りに来たんじゃないわね」


そりゃあ、服をちゃんと着てるからね。


「そうさ

ある お方が ケンイチロウが

持っている ジュレルを ご所望なのだ」


ホントに、イヤになる。

妙なモノを、スライムから

奪ったばっかりに。


「おとなしく 渡せば 危害は

くわえない」


なんとなく、男たちは

ビビっているようだ。


「ある お方って 誰なのよ ??」


やっぱり、そこが 気になるよね。


「マーブルさまだとは

言えないな」


腰に、手を置き 堂々と言う 男。


「おい 言うなって」


あわててるけど、もう遅いよ。


「あぁ しまった」


クチを、押さえる 男。


「・・・ケンイチロウ

今 持ってるわよね」


小声で、聞いてくる ミテオナー


「うん・・・」


小さく、返事する。


「ワタシに あずけて」


後ろに、手を出し 見えないように

さわって来る ミテオナー


「う うん」


ボクから、ジュレルを受け取ると

股にはさみ入れる ミテオナー


「なーに ゴチャゴチャやってる

もう 待てないぞ

いくぜ」


3人が、1列にならんで 突進して来る。


「姉さん !!」


ミテオナーの、目を見る アルパカ


「うん !!」


足元に、魔法陣が あらわれ

ミテオナーが、光っている。


「ビームアロー」


光の矢が、放たれる。


「うぎゃあ」


3人の、先頭にいる 男に

当たったが、2人は 左右に

展開して、かわし

両サイドから、狙って来る。


「しまったッ」


ビームアローは、高出力だが

数秒間、チャージの インターバルが

必要なのだ。


「グヘヘ」


このままだと、ヤバい。


「ライトニングブラスト!」


まばゆい光が、フラッシュのように

焚かれ、オーブが 男に向かって

飛んで行く。


ピシュ


「ウゴッ」


1人の、男の背中に 命中して

前のめりに、倒れる。


「1人そっち行ったわ」


遠回りしていた男が、グッと

近付いてくる。


「もらったァ」


ダガーというナイフが、ボクに

振り下ろされている時に


「させないわぁっっ」


ズバーン


ボクの、右にいた ケイコが

突然立ち上がり、右ストレートを

男の顔面に、ぶち当てる。


「ウギャハーーッ」


ケイコに、殴られた男の首が

あらぬ方向へと、向いている。


「うわーっ」


パンチを出した、ケイコの方が

ビックリする。

男は、頭の向きを 戻そうとするが

なかなか戻らない。


「ヤバい・・・

大丈夫 ??」


ものすごく、心配する ケイコ


「そいつは 敵なのよ

同情しなくても イイのよ」


男を、前足で 蹴りあげる アルパカ。


「でっ

でもぉー」


心の、やさしい ケイコ

襲って来たヤツに、気をつかっている。


「こいつも バケモノか」


ケイコのことを、バケモノ扱いする

男たち。

実に、失礼な話しだよ。


「ワタシ バケモノじゃあないわ」


両手を、上下に 勢いよく振る

ケイコ


「チッ

ドラゴンが 厄介かと思いきや

こいつら ヤバい パーティーだな」


苦悶の、表情を見せる 男ども。


「どう?

もう 懲りたら 襲って来ないことね」


ドヤ顔の ミテオナー


「クソッ

一旦 引くぞ」


首の、戻らない 男の肩を掴んで

逃げて行く 男。


「おぼえてやがれッ」


捨てぜりふを、吐いて 逃げて行く

男ども。


「ようやく 去って行ったわね」


腕組みする ミテオナー


「ふぅ

ミテオナーさん また 助けて

もらいました

ケイコも ありがとうね」


ふがいない自分を、とりあえず置いて

礼を言う。


「ひゃっ

恥ずかしい」


胸を、隠して お湯に浸る ケイコ

顔色が、真っ赤だ。


「ミテオナーさん」


やっぱり、ジュレルを 仲間に あずけて

万が一の事態があれば、後悔しそうだ。


「うん どうしたの ケンイチロウ ??」


首を、かしげる ミテオナー


「あの

ジュレルを 渡して欲しいんですが ??」


すぐ返して欲しくなっちゃった。


「ああ そうね

ちょっと 今は 渡せないの

ごめんね」


おっ?なんだろう。

トラブルが、発生したのかな。


「えっ

どうしたんですか ??」


なんだか、心配に なってしまうよ。


「多少 奥に 入りすぎちゃって

ゴメンね

すぐ 取り出して 返すから 少々

待ってほしいの」


苦笑いする ミテオナー


「エッ

それなら 仕方ないですよね」


とりあえず、納得する。


「そうなのよ

すぐ返したいのだけれど」


困り顔で、笑う ミテオナー


「あの ワタシでよければ

お手伝いしますけど」


やりとりの、様子を 見ていた ケイコが

解決に、一肌ぬぐらしい。


「わっ 助かるわ

あとで お願いね」


ちょっと、自信が なかった ミテオナー

申し出を、ありがたく思う。


「はい」


ニッコリする ケイコ

たぶん、恩を売っておきたいみたいだ。


「やさしくしてね」


ケイコに、ウインクする ミテオナー

ビクッと、なるケイコ


「あー

がんばってみます」

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