第19話
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「ケンイチロウ
どうだ ウマそうだろ」
ジューーーッ
目の前で、店主が豪快に焼く
肉厚な、ステーキを前に
自慢気な、表情の グレゴリウス
「わぁ すごいですね
グレゴリウスさん」
高そうな肉を見て、テンションが
上がりっぱなしの ボクだけど
「ケンイチロウは ステーキを食べて
ワタシは 安いの食べるよ」
ミテオナーから、そんなことを
聞かされて、ハッと我に返り
「えぇ そんな 悪いよ」
ケイコも、安いのを
注文しちゃってるし、困ったな。
「イイの
ワタシ達を 決勝戦まで
連れて行って 優勝する
その為に ケンイチロウには がんばって
もらわないと」
本心から、そう思っているみたい。
「そうなんだね」
なんだか、責任重大だなぁ。
「よし
しっかり喰え」
話しは、ついたと言わんばかりに
ドーンと、置かれる ステーキ。
「はい グレゴリウスさん」
我慢の限界を、むかえて
肉に、ガッついてしまう。
そうして、食事を 済ませると
ボクと、グレゴリウスさんが
同時に、お店を出る。
「あれ グレゴリウスさん ??」
お金は どうしたの グレゴリウス?
「ん?
どうしたんだ ??」
首を、かしげる グレゴリウス
「一緒にいた 女の人が
払うんですね」
振り返って見ると、女の人が
グレゴリウスの分まで 払っている。
「おう
まぁ いろいろあんだよ
大人の世界にはよ」
ニヤリと笑う グレゴリウス
「ねぇ どうして おごってるの ??」
会計を、済ませた 女に 聞いてみると
「おい ボウズ
聞いてイイことと 悪いことが
あるだろうが」
ちょっと、ピリッとする グレゴリウス
「えぇっ
聞いたら マズかったの ??」
いきなり、ビックリするよ。
「イイのよ
数年前にね」
ニッコリして、話し始める 女。
「おいっ
話すのか ??」
手を広げ、制止する グレゴリウス
「ええ 大丈夫
5人の パーティーで
とある草原を 徒歩で移動していた時
偶然 オークの群れに 遭遇しちゃって
私たちは なす術もなく敗北して
10発ほど ヤられた頃
グレゴリウスさまに 助けていただいた
から 命の 恩人なの」
簡単に、説明する 女。
「へー
そんなことが あったんだね」
草原を、歩いていただけで
モンスターに、襲撃されるなんて
コワいね。
「だから ガキが 聞くことじゃ
ねえっての」
モンスターの、恐ろしさを
知るのも、大切でしょうが。
「はい
でも グレゴリウスさんに
助けてもらえて ラッキーでしたね」
パーティーが、全滅したら
もう、新たに助けが来ないと
確実に、復活は出来ない。
「はい めちゃくちゃ ラッキーでした」
満面の笑みの 女。
「そんなに 褒めんな
テレるじゃあねぇか」
頭を、掻く グレゴリウス
「いや
グレゴリウスさんは すごく
イイ人なんですよ」
すごく、グレゴリウスに
あこがれてしまうよ。
「なんだよ 一体
この話しは もうやめだ
オレは こっちのバーで 呑む」
機嫌が、イイのか悪いのか
よくわからないけど
呑みたいらしい。
「そうですか」
もう少し、話しがしたかったな。
「ケンイチロウは 予定が無いなら
付き合えよ」
雰囲気を、察してか 誘ってくれる
グレゴリウス
「えっ でも」
振り返り、ミテオナーを見ると
「行ってきなよ
グレゴリウスは
悪い人じゃあなさそうだし」
ウインクする ミテオナー
「うん」
思わず、笑顔になってしまう。
「ワタシ達は 宿屋を探して
それから 迎えに来るから」
あとで、来てくれるらしい。
「うん そうするよ」
とりあえず、安心する。
「それじゃあ また」
右手を、上げる ミテオナー
「うん」
2人と、1匹を 見送って
バーに入る。
「それじゃあ まずは
乾杯といこうじゃあないか
なにを 注文するか ??」
聞いてくる グレゴリウス
「ボクは まだ お酒が」
異世界なら、みんな呑めるのか
そこは、わからないから
遠慮していると
「んなことは わかってるよ
ミルクにするか ??」
なんだか、響きが バカにされて
いるような気がして
「フルーツのジュースが
欲しいな」
と、言ってみると
「それじゃあ グレープか アップ」
「すいません お客さん」
グレゴリウスが、言いかけると
店員が、声をかけてくる。
「ん?
どうしたんだ ??」
聞いてみる グレゴリウス
「グレープは 切らしちゃってて」
どうやら、売り切れみたい。
「ああ そうなんだ じゃあそっち
イイよな それで ??」
ボクに、聞いてくる グレゴリウス
「はい 大丈夫ですよ
どっちも 好きなので」
悩む手間が、はぶけて よかった。
「じゃあ 1杯たのむよ
オレは エールを おめぇは??」
一緒にいる 女に聞く グレゴリウス
「私も エールを」
明るく答える 女。
「かしこまりました」
ペコッと、する 店員。
「ケンイチロウに
聞きたいことがあって」
グレゴリウスが、改まって
聞いて来る。
「はい なんでしょう ??」
なにか、相談がありそうな 雰囲気。
「こっちの生活って
やっぱり 不便だなって思うか ??」
どうやら、転生者に 興味が
あるみたい。
「そうですね
やっぱり 不便ですね」
正直に、言ってみる。
「やっぱり そうか」
グレゴリウスと 女の前に ビール。
ボクの前には、ジュース。
「乾杯」
カチン
木製の器が、ニブい音を たてる。
「どうして そう思ったんですか ??」
そう、聞いてみると
「以前 モンスターから 救った
少女がな そんなことを
言っていたからな」
そう言うと、ゴクゴク 呑む
グレゴリウス
「えー その人
会ってみたいな」
なにか、無性に 会ってみたい。
「なんで ??」
ニコッと笑う グレゴリウス
「ボクの 他に 転生者がいるなんて
考えてなかったから
会って 情報交換したいな」
お互いの、苦労話しでもしたい。
「それなら 今度 会わせてやるよ」
軽い、ノリの グレゴリウス
「えっ うれしいな」
案外、あっさりと オーケーになり
少々、肩透かし気味になる。
「もうそろそろで
1年くらいたつか」
そう言うと、女の顔を見る。
「はい」
ニコニコする 女。
「1年前に 出会ったんですね
その 少女と」
どんな人だろうと、思いを
めぐらせる。
「そう そろそろ 子が
生まれる頃だろうから
落ち着いたら 会いに行こう
おかわり」
1杯目を、呑み 終える グレゴリウス
「出産ですか」
赤ちゃんが、出来たのかな。
「そう 出産」
うなずく グレゴリウス
「うーん なるほど・・・」
納得する。
「隠し子ですわよね」
静かに、呑んでいた 女が
クチを、開く。
「バカ 隠し子って 聞こえが悪い
隠してなんか ないだろ」
「はぁ」
やっぱり、グレゴリウスの子??
いや、モンスターの方か。
「それより
相談が あって」
急に、真顔になる グレゴリウス
「はい なんでしょう ??」
なにか、変なこと 言わないでよ。
身構えてしまうよ。
「決勝戦まで 生き残ってくれ
2位で トーナメントを
終えたいんだ オレは」
なにかと思えば、決勝戦で
負けてくれるらしい。
「あっ
そういう 裏取引ですか・・・」
2位の、賞金と 賭け金を
ゲットしたいんでしょうね。
「平たく言えば そうなる」
特に、悪びれることもなく
平然としている グレゴリウス
「でも ボクが 決勝戦まで
行くように 見えます ??」
次の試合で、リタイヤするかも
知れないのに、期待しすぎ。
「見えないから 都合がイイんだよ」
フッと、鼻を鳴らす グレゴリウス
「えっ」
なにを、言っているんだろうか。
「得体の知れない 少年が
決勝戦まで行くんだから
当然 オレが勝つってなる」
持論を、展開する グレゴリウス
「・・・はぁ」
やんわり、バカにしてないかな。
「オレは 試合前に ケンイチロウに
賭ける」
簡単に、カラクリを 話してくれるけど
「それって やお」
「イイこと 聞いちゃった~」
ボクが、言いかけると
後ろから、声がして来る。
「ヤバっ
聞かれちゃった」
ペロッと、舌を出す グレゴリウス
「試合直前に そういう話しを
するのは わかるけど
こんなに 早くする人は
初めてよ」
声は、ミテオナーだ。
心配で、すぐ見に来たみたい。
「オレは おたくらと違って
なんとしても 賞金が
欲しいの」
人のことを、お遊びみたく言う
グレゴリウス
「あなたほどの 腕前が ありながら
なぜ 魔王討伐に参加しないの ??」
あんな、一撃必殺のワザを
持っていながら、女性を
助けてばかりの グレゴリウス
「あんな 戻らぬ矢みたいなパーティー
参加するのが どうかしてるぜ」
また、聞いてないことを
聞いたぞ。
毎年、リーダーを 決めて
討伐隊を、編成するって
「・・・たしかに
以前 白骨化したのが
菓子折りに 入って 返却された
らしいけど」
苦虫を、噛み潰した顔になる
ミテオナー
「え・・・」
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