第15話

ーー15ーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・ん

朝になったか・・・」


まぶしいほどの、日差しが

ベッドまで届き、目をさます

ボクだけど、ゆうべのことを

思い出す。


「なーんだ

気難しい双子だなって思っていたら

ボクとおんなじだ」


生々しい、やりとりを見て

めちゃくちゃ興奮した。

でも、横を見ても 二人は

ベッドから起きて、部屋にも

いない。


「どうしたら スキンシップを

増やせるだろう」


ボーッと、ながめているだけなのが

無性に、くやしいと感じて

どうすれば、ナチュラルな形で

一緒に、出来るか 一生懸命に

考えていると


「あっ 起きた?

なかなか起きなくて」


昨夜、なんにもなかったかの

ような、雰囲気の スッキリした

笑顔の ミテオナーが

ベッド上に、腰掛ける。


「うん おはよう」


双子が、イチャイチャしていたのは

全部、見たんだと 妙な笑いが出る。


「おはよう

ゆうべは よく眠れた ??」


少々、白々しく 聞いて来る ミテオナー


「うーん

まぁまぁかなー」


軽く、思わせ振りに言ってみる。


「そう?」


ちょっと、苦笑いする ミテオナー


「ねぇ」


ミテオナーに、近寄って顔を見る。


「なーに どうしたの?

真剣な顔して」


少し、顔を 伏せる ミテオナー


「お願いが あるんだけど」


ミテオナーの、耳元で ささやく。


「アハッ

えー

なんだろなー」


雰囲気を、変えようと

笑う ミテオナー


「腕を 見せてよ」


詳しく言わないで、ニオわせる。


「え・・・

イイけど なんで ??」


明らかに、動揺している ミテオナー


「見たいんだ・・・」


純粋に、見たいと言う。


「・・・イイよ

特別に 見せてあげる」


ヒジまである、ソデを 捲り上げる

ミテオナー


「うん」


つなぎ目が、ないか 真剣に

なめるように、見る。


「どう?

なにか わかったかな ??」


見てわかるところには、アルパカの

痕跡は、見当たらない。


「さわっても イイかな ??」


腕を、さわってみたら 違和感が

あるかも知れない。


「うん イイよ」


どうやら、完全に観念したみたいだ。


「すごいね・・・」


全然、つなぎ目とか 見分けられない。

ゆっくりと、上下に 撫でる。


「えーっと なにがすごいのかな~??」


どうにか、誤魔化そうとする ミテオナー


「じゃあ こっちは ??」


胸を揉む。


「えーっそこ

揉んじゃうの ??」


「うん だって ボク

もう子供じゃあないし」


「あっ ホントだ」


確認する ミテオナー


「ね

もう 大人でしょ」


まじまじと、ミテオナーの顔を

見てみると


「うん そうだねっ」


やさしく、ほほえむ ミテオナー


「姉さーん

ケンイチロウは 起きたのー」


部屋の、出入り口で アルパカが

呼んでいる。


「あっ

うん 立派に起きているわよーッ」


手で、確認しながら言う ミテオナー


「もう 14試合目

はじまってるよー」


アルパカは、ドアノブを回したいが

回せない。


「うん 先に行ってて」


コロシアムに、行くように言う

ミテオナー


「はーい」


蹄の音が、遠ざかってゆく。


「・・・ねぇ

続きは 今夜にして

試合を 見に行きましょ」


頬を、赤くして ウズウズする

ミテオナー


「うん 今夜 絶対ね」


胸を、揉む手を止める。


「うん もちろん」


止まらない、ミテオナー


「もう 来るの遅いよー」


アルパカが、観客席の床を 前足で

カツカツするので、抱きしめて

落ち着かせる。


「あー」


気持ちよさそうな声を出す

アルパカ。

背中を、たっぷり 撫でる。


「試合は、どうなってるの ??」


対戦者の、情報を 知りたい ミテオナー


「アヒィ

ホワイトタイガーが 優勢ね

でも、スケルトンも 粘ってるかあんあん」


気持ちよくなる アルパカ。


「なるほろ」


舞台上では、死闘が 繰り広げられる。

スケルトンは、一旦 死んではいるが


「グァアーーーッ」


吼える ホワイトタイガー


「コツコツーッ

社畜には 前進あるのみー

全身ないんですけどォ」


自虐的な、笑いのスケルトン。


「ガーアー」


吼える。


「さあ 来なさい」


挑発する スケルトン


「ガフィ」


一気に、間をつめて 首を狙う

ホワイトタイガー


「サッと

同じ手は くいませんよ ??」


と、見せかけ ボディーに 一撃

あびせる ホワイトタイガー


ガコーン!


骨が、バラバラになる。


「わー またバラバラだぁーっ」


骨の、1本が 場外へと落ちる。


「ガウ゛?」


審判兼司会者を、見る ホワイトタイガー


『ダメです

体の 半分以上が 場外に落ちないと

勝ちでは ないです』


ホワイトタイガーに、説明する

審判兼司会者。


「ぐゥウ」


悲しそうな顔をする ホワイトタイガー


『そんな 声を出しても ダメ』


腕で、バツを出す 審判兼司会者。


「戻れッ」


カラカラカラッ


スケルトンの、号令で ゆっくりと

集まって来る骨。


「はい 元通り

元々は スケルトンじゃあ ないのですが」


「・・・グぅ」


一進一退の、試合状況の中

ボクは、アルパカの グルーミングをする。


「あー すごい

もう そのへんにして下さい~」


グシャグシャ


「はわわ」


その様子を、ジーッと見つめる

ミテオナー


「・・・イイな」


ヨダレを、ぬぐう ミテオナー


「あー キモチイーーッ」


アルパカは、絶頂をむかえたようだ。


「ねぇ ケンイチロウ

そのへんに してあげて

お願いよ」


懇願する ミテオナー


「姉さん とめないで イイのよ」


どうやら、もっと欲しいようだ。


「うぅ」


ワナワナする ミテオナー

ケンイチロウから、目線を 試合に

移す。


「おや 体力の 限界かぃ?

それなら 場外へ落ちなよ」


また、あおる スケルトン。


「グァギグ」


なにか、しゃべる ホワイトタイガー


「よく わからんな

審判さんよ」


審判兼司会者が、会話出来ているので

聞く スケルトン。


『なんでしょう ??』


首を、かしげる 審判兼司会者。


「ヤツは なんて言ってるんだ ??」


対戦相手の、通訳を頼む スケルトン。


『場外には なにがあっても

絶対に落ちない

落ちるのは お前の方だ

覚悟しておけって 言ってます』


訳す 審判兼司会者。


「それ 尺合ってるの ??」


いぶかしがる スケルトン。


「グアガグ」


「よく わかんねぇ」


腕組みする スケルトン。


『合ってるそうだよ』


ニコッとする 審判兼司会者。


「ガガガ」


なにか、思いついた ホワイトタイガー


「今度は なんだ」


審判兼司会者を見る スケルトン。


『お前の 弱点を見つけたから

攻略してやる

覚悟しておけって』


と、審判兼司会者。


「絶対 そんなこと言ってないでしょ

って また首狙いか」


スケルトンが、振り返ると

さっきよりも、高く跳躍している

ホワイトタイガー


「ガふ」


狙いは、首ではなく 頭部。


「あっ

やめい」


カンっ

カンカラ


勢いよく、場外へと 転がる 頭蓋骨。


「うあ イカン

これじゃあ 再生した時点で

場外だ まいったな」


頭の、あるところに 全身の骨が

集結する。

つまり、頭部が 場外にある時は

再生出来ない。


「ゥあお」


勝ち誇ったような顔をする

ホワイトタイガー


『かかったな

そこで 骨を集めれば

即 場外で終了

モタモタしている間に

骨の半分以上を落としても

終了だと 言ってます 』


通訳する、審判兼司会者。


「わかってる!

そんなこと 訳さなかったって」


イライラして、クチをカチカチ

させる スケルトン。


『解決法が ないなら

降参してくださいね~』


イジワルを言う 審判兼司会者。


「やかましい

少し だまっててよ」


左右に、転がる 頭蓋骨。


「ゥガ」


次々と、骨を咥えて ポトッと

落とす ホワイトタイガー


「このままでは 骨を落とされ場外だ

・・・まてよ」


コロコロ~


ホワイトタイガーが、向こうの骨を

咥えて、視線が 外れた瞬間。


「・・・よし

腕の骨ゲット

こいつを 咥えて」


クチで、落ちていた 骨を咥えて

気付かれないように、

ステージの、すぐ脇を

半周し、チャンスを うかがう

スケルトン。


「ガギュ?」


急に、頭蓋骨の 姿が見えなくなって

キョロキョロする ホワイトタイガー


『おや 姿が 消えました』


審判兼司会者も、見失う。


「・・・」


息を、ひそめる スケルトン。


「ゥ ??」


急いで、骨を捨てる ホワイトタイガー


「・・・こっちまで来れば

復元の タイムラグが あるからな

戻れッ !!」


ちょうど、ホワイトタイガーが

大きな骨を、咥えたタイミングで

戻る号令を出す スケルトン。


カラカラッ


ズズズーーッ


骨を、離すまいと 食い縛る

ホワイトタイガー

徐々に、頭蓋骨の方へ

引っ張られる。


「よーし でぃやー

そーーりゃっ」


ともえ投げのように、スケルトンが

体を、修復させると同時に

ホワイトタイガーの、腹の下に

潜って、投げ飛ばす。


『勝負あり !!

勝者 スケルトン』


ワー


『さぁ 次の試合会場は

峡谷の 特設ステージですが

風の影響を 受けそうですよね』


スケルトンに、インタビューする

審判兼司会者。


「まぁ・・・」


頭を、掻く スケルトン。


「あれ コロシアムで

最終決勝戦まで やるんじゃないの ??」


なんだか、聞いてない話しが

多いよ。


「違うわよ

国境の 渓谷まで行くわ」


当然の、ことのように言う ミテオナー


「そういうの

なんで言ってくれないの ??」


つい、憤慨してしまう。


「言ってなかったっけ

アハハ」

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