第14話

ーー14ーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・なんだよ

眠いのに 眠れないよ」


ベッドで、ボクを中心に

左手に、ミテオナー

右手に、アルパカが 横になっている。


「うぅ」


数時間前


「よかったー

野宿を 回避できて ラッキーだね !」


簡単な、食事をすませ

しばらく、宿屋探しをしたら

ちょうど、1部屋 空きがあり

野宿を、回避できた。


「お部屋は こちらになります」


美人の、受付の女性が

部屋まで、案内してくれる。


「うん けっこうキレイな

部屋だねー」


広さは、そんなにないが

清潔な、雰囲気の部屋だ。


「ごゆっくりー」


部屋の内部を、説明したあと

出ていく、受付の女性。


「あー ベッドが ちゃんとあるー」


快適そうな、ベッドだが


「あっ あれ

ベッド 1つだけ・・・??」


大きめな、ベッドが 1つ。


「とりあえず アルパカは

床に 寝るとして」


チラッと、アルパカを見る

ミテオナー


「姉さん !!」


前足を、床に コツコツする

ミネルアー


「冗談よ

とりあえず お風呂に入って

今日の つかれを 落とさなきゃ」


ウインクする、ミテオナー


「そうですよね

ですけど・・・」


あらためて、部屋を 見回すが


「どうしたの ??」


首を、かしげる ミテオナー


「この部屋

お風呂付いてないよね ??」


入った時から、違和感があった。


「あなた どこの貴族なの?

部屋に、お風呂なんか

あるわけないじゃない」


これが、この世界のスタンダード

らしい。


「えっ」


「宿屋の 共同浴場よ」


アルパカが、教えてくれる。


「なんだ

そうだよね

なんか 期待ハズレっていう・・・」


やすらぎは、得られないみたい。


「ん?

なにか言った??」


ニヤニヤしながら、聞いてくる

ミテオナー


「いえ なにも言ってませんっ」


ふーっ、あぶない。


「そう?

先に行ってるわね」


急いで、ついて行く。


「ちょっと 待って」


入り口が、2つ。


「ああ セパレートね

ケンイチロウは そっちから

中に出てよー」


どうやら、指差す方が 男湯らしいな。


「こっちですか

銭湯に 入った時 以来だなぁ」


中に、入ると 見慣れた光景

じゃない。


「なに ここ

脱衣場に ロッカーがない

かごに 入れるタイプじゃん」


ポツンと、かごだけ 重ねて

置いてある。


「セキュリティが 全く無いね」


こんなの、取り放題。


「そうだ ジュレルだけでも

肌身離さず 持ってないと」


この、ジュレルだけは

取られないようにしないと。

ああでもない、こうでもないで

5分ほど、かかってしまったが

ドアを開けると、露天風呂に

なっていて、かけ湯をして

広い、岩風呂に 入る。


「ふぅぅ

おっ 先客が 入っているようだ」


湯けむりの向こうに、人影がある。


「えっ 近いな」


だんだん、近くなっている。

でも、脱衣場には ボク以外の服

なかったけど・・・


「ミテオナー

なんで??」


近付いて来たのは、ミテオナーだ。


「なんでって なによ

一緒だと 都合が悪いの ??」


どうやら、脱衣場が 別の

混浴みたい。

すごいサービスだね。


「いや 全然 イイんだけど・・・」


自分でも、赤くなったのが

わかる。


「あー そういうこと?

ケンイチロウなら イイよ」


腕で、隠していた 胸を

見せる ミテオナー


「あわわ」


「姉さん ケンイチロウが 困ってる

じゃないの !!」


ワニのように、お湯から出て来る

アルパカ。


「うわーーっ

いたんだ」


また、ビックリ。


「なに

アルパカは 入っちゃダメな

ルールでも あるの ??」


(注 : 入っちゃあダメです)


「多少 ビックリしたっていうか」


こんなに、心臓に悪い入浴も

あるんだね。


「お邪魔だった ??」


気をつかう アルパカ


「いや とんでもない」


アルパカは、自分の姉とボクが

そういう関係に、なった時に

どう思うのだろうと

一瞬、よぎる。


「やったー

今日は ウチと ケンイチロウが

ベッドねー」


アルパカが、喜びの声をあげる。


「あーあ

ケンイチロウと 寝たかったなぁ」


どうやら、姉妹で 賭けを

していたようだ。


「いや ボクが 床で 寝るから」


と、言いかけると


「「それは 絶対ダメ」」


声を、そろえる 姉妹。


「はひ」


鼻のところまで、お湯に浸かる。

アルパカが、お風呂から出て

犬のように、しぶきを飛ばす。


「ふぅ・・・

なんだか 逆に つかれちゃったよ」


しばらくして、お風呂から出る。

薄暗い、廊下で 一瞬 立ち止まる。


「なんとなく このまま

部屋に 入りたくないな」


あとは、ベッドで寝るだけだが

なんとなく、外に出たい衝動に

かられる。

そして、しばらく歩き


「大きいな」


改めて、コロシアムを見ると

松明に、照らされて 余計に

大きく見える。


「ケンイチロウくん ??」


コロシアムの下で、人影が

動いたと、思ったら

知っている顔だ。


「わっ

ケイコちゃん どうして ??」


ビックリしたな。


「うん バイト終わって

一休みしてたの」


ほほえむ ケイコ


「そうなんだ」


イイ香りが、鼻腔をくすぐる。


「新国立みたいだよね

コロシアム」


見上げる ケイコ


「うん なんだか 異世界に来たなんて

信じられないくらい」


不思議だ。


「うん それ」


どうやら、ケイコも 同じらしい。


「知らない人たちばかりの中で

ケイコちゃんに 会えて

ちょっと ホッとしたよ」


地獄に、舞い降りた天使のようだ。


「なんか あっちにいた時より

長く 話せてるね」


頬を、赤らめる ケイコ


「うん そうだね」


ケイコにどころか、周囲と まともに

会話することを、してなかった。


「ケンイチロウくん

スマホばっかり見てて・・・

まぁ ワタシも 自分に自信がなくて」


こっちに来て、まだ1日しか

たっていないけど、ケイコは

ずいぶん、大人になったように

見える。


「うん もっと話そうよ」


こんなに、話しやすい友達が

いたのに、気が付いてなかった。


「うん あのね」


「あー いたよ 姉さん」


ケイコが、言いかけた時に

アルパカが、話しかけて来る。


「ホントだ

ケンイチロウ 探したよ」


なかなか戻って来ないので

心配して、探しに来てくれた。

愛されてるな。


「ああっ ゴメン」


一言、声をかけて出れば

よかった。


「あっ スイーツ店の」


「はい」


ケイコの姿を見て、思い出す

ミテオナー


「お邪魔だったかな??」


アルパカが、たぶん気を使う。


「いや 全然そんな感じじゃあ」


友達と、一緒にいただけなのに

気まずくなっちゃうよ。


「あはは・・・

・・・」


苦笑いする ケイコ


「そう

夜は あぶないモンスターが

うじゃうじゃいるから

気をつけて」


スッと、去ろうとする

姉妹。


「あっ もう帰るよ

じゃあね ケイコちゃん」


手を振って、姉妹を追う。


「あっ・・・っ

うん 」


「あっ 待って

ケイコちゃんを 送らなきゃ」


姉妹を、引き止める。


「それもそうね」


ケイコは、スイーツ店に 住み込みで

働くことに、なったみたいで

送りとどけて、姉妹と宿屋へ帰る。


「それじゃあ

まず ケンイチロウが ベッドの

真ん中に入るでしょ」


指示を出す ミテオナー


「うん・・・」


言われたとおり、横になる。


「それで ワタシが こっち」


「ウチが こっちだね」


川の字で、寝ることとなり


「よし 決まり」


横になるが、少々窮屈だ。


「それじゃあ 寝ようか」


そう言うと、目を閉じる ミテオナー


「今日は アレなし ??」


アルパカが、さみしそうに言う。


「まぁ あとで」


切り上げるように言う ミテオナー


「うん」


姉妹が、なにか話している。


「えっ

アレって なんですか ??」


気になって、聞くが


「イイの 寝よう

おやすみ」


あまり、話したくないのかな。


「おやすみなさい」


それから、寝ようとしても

寝付けなくて


数時間後


「ケンイチロウ 寝たかな ??」


ベッドが、きしみ ミテオナーの

顔が、近付く。


「・・・」


薄目を、開けていたのを閉じる。


「寝ているようね」


「それじゃあ」


「うん」


「あっ・・・」


「んんっ」


薄目を、開けて そっと見てみる。


「・・・ぅ」


寝ているミテオナーに、跨がる

アルパカの、両手が 人間に

なっている。

逆に、ミテオナーの両手が

アルパカになっている。


「・・・ッ」

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