第13話

ーー13ーーーーーーーーーーーーーーーー


「あー そうだよね~」


フルーツパフェを、注文したら

あんみつだった。

異世界あるあるですよね。


「おいしかったでしょ ??」


満足げな、ミテオナー


「うん おいしかった・・・」


おいしかったけど、クレープの

クチから、フルーツパフェに

持って行ったのに、あんみつ・・・。


「早く コロシアムに 戻りましょ」


ちょっと、難しい顔を

していたみたい。


「そうだよねー」


トボトボ歩きながら、観客席へと

戻ると、元勇者と 召喚者の

試合は、終わっていて

リザード族の、植物鑑定士と

ドラゴンスレイヤーの

第13試合が、始まっていた。


「ねぇ ちょっと」


観客席にいる 男に、声をかける

ミテオナー


「あん ??」


面倒くさそうに、返事する 男。


「聞きたいんだけど

元勇者と 召喚者って どっちが勝ったの ??」


それは、ボクも知りたい。


「ああ 召喚者が勝ったぜ」


半笑いで、答える 男。


「そうなの ? ありがとう」


礼を言う ミテオナー


「いや イイよ」


「召喚者か・・・どんなワザで

勝ったのかなぁ」


こっち側は、決勝戦まで当たらないと

油断していたが、どんなことをして

元勇者に、勝ったのか 気がかりだ。


ドゴーーン


超重武装した、ドラゴンスレイヤーの

一撃で、リングが 真っ二つに割れる。


「ちょこまかと 動きよるなぁ

足を 使えなくしてやる !!」


腰を、低く落とし 剣を横に構える

ドラゴンスレイヤー


「さぁ 出来るかな」


鼻を、フフッと鳴らし

右手の、親指で シュッと擦る

植物鑑定士。


「バーニングスラスト !!」


ドラゴンスレイヤーの、持つ剣が

光を、放つ。


「よっと」


足を狙い、水平に放たれた

バーニングスラストだが

跳躍力の増した 植物鑑定士に

効果がない。


「かかったな !!

バーニングスラスト !!」


それを見越して、空中で身動きが

取れない 植物鑑定士に

バーニングスラストの、連続打ちで

体を、真っ二つにする ドラゴンスレイヤー


「やったか !!」


空中で、胴が 上半身と下半身に

別れているように・・・

見えたのだが


「おい どこ見てんだよ」


ドラゴンスレイヤーの、真後ろから声。

そして、植物鑑定士に アーマーの 襟を

掴まれ、軽々と 浮き上がる

超重武装の ドラゴンスレイヤー


「うわぁ

今 斬ったはずだーッ」


狼狽する、ドラゴンスレイヤー


「お前は 斬った」


ドラゴンスレイヤーに

同意する 植物鑑定士。


「じゃあ なんで 立っている!

オレを 持ち上げているんだ !!」


至極、ごもっともな意見だが


「簡単なこと

お前が 斬ったのは オレの幻だ」


ただの、幻影を斬ったと言う

植物鑑定士。


「なんだと」


体を、ジタバタさせるが

アーマーで、関節の可動域が

制限されているので

背後の、植物鑑定士に

手も足も、触れることが出来ない。


「この 障気に オレが 幻覚剤を

仕込んでいたのさ」


霧を放つ、植物鑑定士だったが

それにも、意味があった。


「なにっ

下ろせ 離せーッ」


今度は、平泳ぎするような

アクションをして、なんとかのがれようと

する ドラゴンスレイヤー


「あぁ 下ろしてやるよ

ハイジャンプした あとでなッ」


一瞬で、ビル5階ほどの高さに跳躍して

空中で、ドラゴンスレイヤーが下に

なり、その上へ乗るように姿勢を変えて

落下して来る。


「やーめーろーッ」


グシャッ


「グフ」


いくら、硬い 外殻に 覆われていても

中身が、生身である以上 落下の衝撃には

耐えられない。


「さあ 終わりだ」


立ち去ろうとする、植物鑑定士の

足首を、掴む ドラゴンスレイヤー


「しつこいのは

キラわれるぞ」


そう言うと、掴まれてない

右足を、振り抜き ドラゴンスレイヤーの

胴体を、蹴り上げる 植物鑑定士。


「ギハッ」


ズザーーーーッッッ


ドラゴンスレイヤーの、右腕だけ

残り、体は 場外へと 落ちる。


『勝負あり !!

勝者 植物鑑定士 リザード族 ヒットン』


ワーーー


「ぉ・・・

ありがとう」


予想外の反応に、苦笑いしながら

手を振る ヒットーン


『さあ ドラゴンスレイヤーに

リザード族の あなたが勝つなんて

誰も 予想出来ていなかったですが

ドラゴンスレイヤーから

なにを 奪いますか ??』


「そうだな

オレ自身が 驚いているんだ」


腕組みする 植物鑑定士 ヒットーン


『では どうされますか ??』


にこやかに聞く 審判兼司会者。


「それは 後日で」


お約束。


『はい では 感想を いただきたいですが

どうでした ??』


かなり、興奮気味な 審判兼司会者。


「いや みんな 思ったでしょ?

ドラゴンスレイヤーに

勝てるヤツなんて いるのかよって

・・・

この オレだーーーッ」


ワーーーー


観客席を、煽る 植物鑑定士。


『ホントに 番狂わせでしてー

これもまた 幻覚なのではと

思わせる 幕引きでしたので

おめでとうございます』


普段なら、余計な セリフを言わない

審判兼司会者が、珍しく

感想を言っている。


「はい どうもー」


軽く、一礼する 植物鑑定士。


『それでは第・・・と

いきたいところですが

大会運営委員会より

第14試合の スケルトンと

ホワイトタイガーの試合は

日没の為に 明日へと

変更させて いただきたいの

ですが』


太陽が、完全に 沈んでしまって

コロシアム内には、松明が焚かれて

いるのだが、薄暗い。


「やれよ やっちまえーッ」


怒号を、飛ばす 観客。


「明日やれー」


別の、観客も 叫ぶ。


ワーー


『委員会の判断を 尊重し

明日 開催と いたします』


今日は、終了だと宣言する 審判兼司会者。


ワーーー


「あれ 明日に なっちゃったね」


もう 3試合だから、やると思ったけど


「毎年 いっつも 押しちゃうのよ」


毎度のことだと、あきれる ミテオナー


「タイト なんですね」


スケジュールが、ギチギチみたい。


「最初っから 2日やるって

決めておけば 問題ないのよ」


ため息まじりの アルパカ。


「ですよね

あのー??」


やっぱり、この二人と

どこかに、泊まるのだろうか。


「どうしたの ??」


ボクの、不安そうな顔を見て

首を、かしげる ミテオナー


「今日って どこに泊まるとかって

決めてあるのかなって」


やんわり、聞いてみる。


「もちろんよ

毎年のことだし」


堂々と、答える ミテオナー


「それなら 安心しました」


ホッとするよ。


「あっ 今から宿探しすると

思ってた ??」


異世界で、宿屋探しという

地獄の、ミッションは 回避できそう。


「はい」


あと、問題は どんな部屋に

何人泊まるかだけど。


「今から 探すのは 難しいでしょうね」


観客席の、半分以上は

この街の人ではないらしい。


「ですよね」


いろいろありすぎて、早く

宿屋に、行きたい。


「それじゃあ 行きましょう」


コロシアムの、入り口の反対側に

沿うように、宿屋が 何軒かある。


「あー お客さんの部屋ね

ちょうど 試合会場から 馬車くらいの

氷の塊が、飛んで来てね」


宿屋の、中央が パックリと割け

中身が、見える状態だ。


「あっ・・・

はぁ」


「ちょっと よそ探してくれるかな ??」


申し訳なさそうに言う、宿屋の主人。


「えーっ

今からーっ」


驚きの声を、あげる ミテオナー


「ごめんねー」


宿屋の娘らしき女が

あやまる。


「周りどこが 空いてそうですか ??」


周辺の、空室を 確認してみるが


「さぁ どこも 空いてないかもね」


困ったように、笑う 宿屋の主人。


「そんなぁ」


思わず、涙目になる ミテオナー


「まぁ ガンバって」


エールを送る 宿屋の主人。


「はいー」


しぶしぶ、宿屋を出るが


「えっ

野宿とか イヤですよ」


モンスターが、うろつく世界で

寝込みを、襲われたくはない。


「ワタシだって イヤよ

こうなったら しらみ潰しに

探すまでよ」


拳を、握りしめる ミテオナー


「えー」


恐れていた事態に、直面して

しまった。


「さあ 行くわよ」


走り出す ミテオナーと アルパカ。


「・・・」


無言で、ついて走る ボクだけど

どうせ、こうなるなら

クレープを、食べに隣街まで

行けば、よかったと

少し、後悔する。


「あっ

でも フルーツパフェ注文して

あんみつが出るんだよね」


どうも、期待と違うことが

多いなぁと、うつむいて

しまっていると


「ちょうど キャンセルで

1部屋だけ 空いたって !!」


めっちゃ、うれしそうな

ミテオナー


「やったーッ」

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