第2章

第11話 交錯する定め

ーー11ーーーーーーーーーーーーーーーー


「はあっ」


氷で、巨大な ドミノ倒しを 形成して

魔女を、潰そうとする 氷の賢者だが


「させるかーっ」


風化の魔法を使い、逆に ドミノを

賢者の側へと倒す 魔女。


「ぐあーッ」


自分で、作り出した巨大な氷の壁に

押し潰される 氷の賢者。


『勝負あり !!

勝者 魔女 シリーナ』


ワーーー


『さあ 氷の賢者に 勝利しましたが

なにを 奪いますか ??』


魔女に問う、審判兼司会者の 男。


「うーん そうね

氷の壁とか 関連するの

もらえるかしら ??」


氷の賢者の、氷を奪う 魔女。


『はい もちろん』


ゆっくり、うなずく 審判兼司会者。


「よーし くだらない魔法が

また 1つ増えたぞーっ」


さっそく、氷の壁を出して遊ぶ 魔女。


『うれしそうで なによりです

それでは 感想を いただきたいのですが

どうでした ??』


インタビューする 審判兼司会者。


「うん 油断して 一撃 もらっちゃった

けど、それで 目が 覚めたわ」


治癒魔法で、出血を止めた 魔女。


『そうですか

それは よかったですね

おめでとうございます』


ニコニコしている 審判兼司会者。


「はーい ありがと」


右手を、振って 舞台上から 降りる 魔女。


『では 第11試合を はじめたいと

思います

選手 入場 !!』


堂々とした剣聖と、おしとやかな聖女が

入場して来る。


『さあ 第11試合は

聖女と 剣聖の

取り合わせだーっ』


大声を、出す 審判兼司会者。


「剣聖さま」


聖女が、上目遣いで 剣聖を見る。


「おっ

なんだ ??」


剣 ひとすじの剣聖には、不慣れなので

警戒感が、高まる。


「わたしは 剣聖さまに

勝っていただきたいのです」


いきなり、突拍子もないことを言う

聖女。


「お?

悪いが そういう 裏取引みたいなのは

受け付けて おらん」


正々堂々と、敵を倒すのが信条な 剣聖。


「いいえ

わたしは 自分が勝ち残る 姿が

見えておりません

それならば 剣聖さまに

勝ち昇って いただきたいのです」


胸に、手を置いて にこやかに言う 聖女。


「なにを 言っておる

結局 おれが勝った あとで タカる

つもりであろう」


疑うあまり、相手が腹黒い悪人だと

言わんばかりの、物言いをする 剣聖。


「・・・はァ?」


聖女の、顔色が 一気に変わる。


「えっ・・・」


戸惑う 剣聖。

どうやら、一線を越え 地雷を踏んだ

ようだ。


「大人しく 下手に出てりゃあ

聖女の 根性が 腐っとるとでも

言いたいんか ワレ」


少々、クチが悪くなってしまう 聖女。

裏の顔が、出てきてしまっている。


「おい どうした ?

どうして そうなった ??」


首を、かしげる 剣聖。

自分のせいだと、まだ自覚していない。


「絶対 どついたる」


『さあ 激アツですね 二人は

それでは 第11試合

レディーゴーッ』


ドワーーン


「戦闘力 ダウン

クリティカル ダウン

ラック ダウン」


小声で、剣聖の 能力値を

下げ続ける 聖女。


「おい

なに ブツブツ言ってるんだ ??」


めちゃくちゃ気になる 剣聖。


「うるさい

思考力 ダウンも ついでに

入れちゃれ」


能力値が、ダダ下がりの 剣聖。


「やる気ないのなら

こっちから 行くぞ !!」


腰の、剣に 手をそえる 剣聖。


「アハッ

やる気が あるのならね」


ウインクして、クチを尖らせ

そこに、小指を あてる 聖女。


「えっ・・・

なんだ 剣が 重たいッ

グラビデ ストームを 使ったのか ??」


勢いよく、鞘から抜かれた剣が

かなりの重量を感じ、重力魔法を

使ったと、錯覚する。


「いいえ

少々 やる気を 落とさせて もらいましたわ」


ニヤリと、笑う 聖女。

ヒントを、クチにする。


「ふんぬ~

なんだと・・・」


ぎっと奥歯にチカラを込め

剣を、持ち上げようとする 剣聖。


「さあ わたしが 切れるなら

切って みなさい」


余裕の表情を、浮かべ 挑発する 聖女。


「っんぐーッ

剣さえ 持ち上がれば 切れるんだ」


重量挙げの、選手のように

ふんばる 剣聖だが


「って さっきから

腰から胸まで 行ったり来たり

じゃあ ないですか

おもしろいですわね」


なかなか、肩から上に剣が いかない。

両刃なので、肩にも乗せられない。


「っぐ・・・切る

切りきざんでやる」


ほとんど、白目をむき肩より

上に、上がってきた。


「まぁ おそろしい」


クチを、片手で隠して プププと

笑う 聖女。


「フルパワーーーッ」


やっと、高らかに 持ち上げた剣を

フラフラ状態で運び、聖女へと

振り下ろすのだが


シユイーン


ガッシャーン


聖女は、動かずとも

剣の方が、体を避けて 振り下ろされ

地面に、落ちた剣の衝撃で

手を、離してしまった 剣聖。


「ビリビリーッ」


地面を、打った衝撃で 腕に電気が

走る 剣聖。

落とした、剣を 拾い上げようとするが

重くて、持ち上がらない。


「さあ どうします ??」


剣に、右足を乗せる 聖女。


「ふっざけるな !!」


渾身の、右ストレートを 繰り出すが

聖女の、体には 1ミリも かすらないで

よろけて、倒れこむ 剣聖。


「なさけない姿ですねぇ~」


高笑いする 聖女。


「ちっ

チックショーッ」


四つん這いに、なりながら

くやしがる 剣聖。


「さぁ 立って」


右手を、クイッと動かす 聖女。


「お前の せいだろうが

チカラが 入らないのはぁ」


くやしくて、地面を殴る 剣聖。


「あら ご名答

わかったなら サッサと立って」


腕組みする 聖女。


「ぐんにゅぉわーー

立つ 立ってやる」


中腰では、あるのだが 立ち上がる 剣聖。


「さぁ 剣も 持って」


落ちている剣を、軽々と 持ち上げる

聖女。


「わたせーっ」


取られたと、勘違いして 手を伸ばす剣聖。


「はい ちゃんと持ってね」


サッと、剣を 渡そうとする 聖女。


「ぐぬぬ

アア゛ーーッ」


せっかく、聖女が 拾って

持たせてくれた剣だが

やはり、今の彼には 重すぎて

手が滑り、右足の甲に

剣が、突き刺さる。


「抜けないーっ」


完全に、地面まで 刺さって

容易には、抜けそうにない。


「あ゛ーッ」


もう、どうやっても 握力がない 剣聖。

手が、すべりまくる。


「どうしたいのよ ??」


剣の柄を、左右に グリグリする

聖女。


「ギッ・・・ヤーー」


悶絶する 剣聖。


「降参する ??」


ニッコリ笑う 聖女。


「だっ

誰が 降参などと」


まだ、精神力は ギリギリ保つ 剣聖。


「へぇーっ」


グリグリ


イジワルする 聖女。


「ギアーーーッ

するっ !!」


思わず、クチを突いて出る 剣聖。


「え?

ナニしたいって ??」


ワザと、聞こえないフリする 聖女。


「降参!

降参だよ !!」


完全に、心が折れた 剣聖。


「えーっ

もう 降参しちゃうの ??」


でも、グリグリを やめない 聖女。


「するっ

するから 手を どけてくれ」


奇声に、近い声を出す 剣聖。


「どけてください」


ゆっくりと、聞かせる 聖女。


「へっ??」


なにを、言っているのか わからない 剣聖。


「どけてくださいでしょ ??」


剣聖の、顔に顔を寄せる 聖女。


「なにい」


興奮した剣聖のツバが、聖女にかかるが


「さぁ 早く」


全く、気にすることない。


「ギャーー

どけてくださいっ」


足の甲だけでなく、脚ごと切れそう。


「お願いしますは」


さらに、グリグリする 聖女。


「ギイアーー

お願いします」


完全に、落ちた 剣聖。


「はい

さっきのは??」


最初のから、謝らす 聖女。


「はい さっき生 言って

すいませんでしたっ」


すっかり従順な 剣聖。


「よろしい」


『勝負あり !!

勝者 聖女 セシリヤ』


ワー


ほどほど、盛り上がる 観客。


『さあ 剣聖に 勝利しましたが

なにを 奪いますか ??』


と、審判兼司会者。


「それは 後日で」


お約束の、フレーズ。


『それでは 感想を いただきたいですが

どうだったですか ??』


インタビューする 審判兼司会者。


「案外 弱かったですね

変な術も 使わないので

戦いやすかったですね

あと 意外と 打たれ弱い

印象だったかな やたら 剣術に

最初から 秀でていると

実戦で 攻撃を くらうことが

少ないので それでじゃあないでしょうか

あと」


『あっ その辺で 結構です

ありがとうございます』


話しを、ぶった切る 審判兼司会者。


「えっ そーですか ??」


まだ、話し足りない 聖女。


『では 第12試合を はじめたいと

思います

選手 入場 !!』

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