第7話 最強双子姉妹

ーーー7ーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんか 7日後って

言っていたようですけど」


次の試合は、ボクが対戦相手

なのに、7日後は どうしてだ ?


「あっ

うん 十分に 疲労を 回復しないと

16試合目の人が 不利になるでしょ

それで 7日後に また 集結するの」


どうやら、今日は 対戦しないで

イイみたいで、安心する。

スキを見て、逃げればイイし。


「えっ?

今日って 16試合あるのですか??」


どんだけ、選手が いるんだ。


「うん 順調にいけば

今日 16試合まで いけるでしょう

けど 例年 次の日に 持ち越しに

なるからね」


肩を、すくめる ミテオナー


「ふーん

例年って 毎年 こんなことを

やっているのですか??」


こんな、命がけの祭りを

毎年やっているのが、信じられない。


「うん ホントは

毎年 やらなくて イイように

なればなーって」


ちょっと、クチを滑らせる ミテオナー


「それって どういう

ことですか??」


やりたくて、やっているワケじゃあ

ないらしい。


「魔王討伐隊の リーダーを決める

トーナメントなの」


やっと、こんな狂った殺し合いの

理由が、わかったぞ。


「えっ・・・

魔王を やっつける リーダーって

魔王と 戦うってことです ??」


そこが、一番気になる。

魔王を、倒すなんて 勇者にやらせれば

イイんだ。

待てよ。

スライムが、勇者から奪った ジュレル

手に、入れちゃった。


「うん そうなの」


困ったように、笑う ミテオナー


「・・・

それで 去年の人って」


去年も、魔王討伐隊が 結成された

ハズだ。


「次の試合が はじまるみたいよ」


あきらかに、即答を 避けている

ミテオナー


「はい・・・」


恐ろしくて、スルーしてしまう。


『少々 お待たせ致しました

第5試合を はじめたいと

思います

選手 入場 !!』


黒魔導師と ゴブリンが

入場して来る。


『さあ 第5試合は

黒魔導師と ゴブリンの

取り合わせだーっ』


審判兼司会者の男が、叫ぶ。


「お主 ここに来たからには

並の ゴブリンでは ないな」


警戒する 黒魔導師。


「オイラ普通のゴブリンだよ」


おちゃらける ゴブリン


「ウソは よくないな」


ゴブリンからは、ただならぬ

オーラが、放出されている。


「いや ウソでねえだ」


両手を、振る ゴブリン


「では なぜ 討伐隊リーダーに

なりたいのだ ??」


魔王討伐隊の、リーダーが

ゴブリンって、ギャグが過ぎる。


「生まれ故郷を 取り戻したい

みんな それで 戦っているんだべ」


突如、暴れだした魔王によって

故郷を、追われた者たちが

この国に、集まっている。


「まぁ そうだよな

決勝戦で わざと負けて

賞金だけ もらおうとか

そんなこと 考えてないよな」


中には、3位まで 受け取れる

賞金が、目当てのヤツもいる。


「なーんだ

オッチャンも そのクチかぁ」


両手を、後頭部に組み のけぞる

ゴブリン


「ギクッ

なぜ わかった??」


あきらかに、反応する 黒魔導師。


「あーやっぱり

その ローブの下から ニオって

来るんだわ」


目深に、かぶったフードで

顔色は、見えないが

オロオロしている 黒魔導師。


『それでは 第5試合

レディー ゴーッ』


審判兼司会者が、合図を送る。


ドワーーーン


「えっ

なにか ニオってるか ??」


ゴブリンの言うことを

信じる 黒魔導師。


「オイラたち

腐ったものを よく喰ってるから

わかるんすよ

腐敗臭が」


適当なことを言う ゴブリン


「なんだと・・・」


真に受けてしまっている 黒魔導師。


「さぁ すぐに 洗いに行くんだ

今 すぐに」


たたみかける ゴブリン


「・・・は

はひ そふしまふ」


完全に、ガンギマリ。


「あれ 黒魔導師の様子が

おかしいよ??」


となりのアルパカに、話しかける。


「そうね

催眠術に やられているのかも」


こちらには、向かずに

黒魔導師の動きを、観察する

アルパカ。


「それも コワいですよね

ウグッ」


観客席で見ていた、ボクの クチを

背後から、誰かが塞ぎ 後ろへと

強引に、引っ張られる。

となりの、双子は 試合に夢中で

気が付いていない。


「ただ 場外に落とす作戦みたいね」


すごい集中力だけど、気付いてよ。


「あと もう少しで 場外だね

って あれ ケンイチロウ ??」


周囲を、キョロキョロする 双子。


「どこ行った

探さなきゃ !!」


周囲の雑踏の中、犯人の方を

チラッと見る人。


「あっ

あそこに 連れて行かれてる」


ミテオナーが、発見するも

かなり、距離が離れてしまっている。


「待てぇーッ」


ピー

ピー


黒魔導師が、突然 催眠術から

目を覚ます。


「ハッ

境目の 合図を 魔法で仕込んでいて

正解だった」


事前に、リングアウトしそうに

なった時に、アラートの魔法を

仕込んでおいて、警告音が鳴る

ように、セットしていたのだ。


「チッ

もう少しだったのに

ドロップキックすれば よかった」


後悔しても遅い。

ゴブリンの足下に、魔法陣が出現し

黒い手が伸びて、ゴブリンを拘束する。


ボォーッ


黒い炎に、焼かれていく ゴブリン


「あちち

あーーー」


ボォーッ


その頃


「ヴーッ」


ボクは、強いチカラで 暗がりへと

連れられて来た。

恐怖心で、言葉が 出ない。


「大人しくしろ」


咄嗟に、腰の ダガーを抜き

男の腹に向けて、刺すが


「痛てっ!!

この野郎」


カスっただけで、手応えがない。


「そこまでよ」


声の方を見ると、双子が

助けに、来てくれた。


「なんなんだ お前らは」


ボクを、後ろから ガッチリ

捕まえる 男。


「ケンイチロウは 返して

もらうわ」


人質を、取られているのに

強気な、ミテオナー


「出来るもんなら やって・・・

グヒッ」


地面に、魔法陣が あらわれて

そこから、黒い手が無数に 出現し

犯人の男を、拘束する。


「うぎゃあーッ」


魔法陣の中に、沈んで行く 男。

それはそれで、おぞましい。


『勝負あり !!

勝者 黒魔導師 !!』


真っ黒炭に、なったゴブリンが

立ったまま、息絶えた。


『さあ ゴブリンから

なにを 奪いますか ??』


炭を、指差す 審判兼司会者。


「ゴブリンから 奪えるモノなど

なにもないでしょ」


笑っているようだ。

顔は、ローブのフードに隠れている。


『そう 言われると そうですよね』


たじたじな、審判兼司会者。


「それより ゴブリンごときに

催眠術を かけられたのが

くやしいです !!」


格下の、術中に ハマったのが

恥ずかしい 黒魔導師。


『あーはい 情けないですよね』


同情する、審判兼司会者。


「クゥーーッ

一生の 不覚」


見た目クールそうで、地団駄を

踏む 黒魔導師。


『それは 御愁傷様

さあ 第6試合を はじめたいと

思います

選手 入場 !!』


時刻は、昼過ぎになり 選手たちは

早めの、昼食を 済ませている。

斜め下を、見つめて歩く薬師と

両手を振り、満面の笑みの

巨乳エルフ。


『第6試合は

薬師と エルフの

バトルだぁ』


ワーーー



ーーー8ーーーーーーーーーーーーーーーー


「あんたなんか 3分よ

3分で ケリをつけるわ」


3本の指を、見せつけるように立て

高らかに、勝利をクチにする エルフ。


「ほほう

そう うまくいくかのぅ」


白衣姿で、アゴを さわっている

薬師の 男。

不適な笑みを、浮かべる。


「ほざいてなって

アンタ 見るからに 弱そうじゃん」


悪態を、つく エルフ。

完全に、見下している。


「ほー

弱く 見えるのか

そうかそうか」


互いに、マウントを 取り合う。


「なに やたら 自信満々じゃない?

なにか 作戦が ありそうね

言いなさい」


いぶかしげな、顔をする エルフ。


「作戦とな

はて どうだったかな」


思わせ振りに、とぼける 薬師。


「なによ ムズムズするわね

イラッとするわ」


少々、言い方を変える エルフの 女。


『ヒートアップして まいりました

それでは 第6試合

レディーゴーッ』


合図する 審判兼司会者の 男。


ドワーーーン


ドラが、鳴らされるが


「さあ どう来るのよっ」


身構えて、様子見する エルフ。


「ムズムズしてるのか !!」


いきなり、大声を出す 薬師。


「えっ

いきなり なによ ??」


ビクッとなり、目を丸くする エルフ。


「ムズムズしているのか

聞いているんだ !!」


やたら、強調する 薬師。


「なによ それ」


どうやら、重大な意味があると

気付き、はじめる エルフの 女。


「どうなんだ !?」


急に、口調が 優しくなる 薬師。


「えっ

たしかに ムズムズしているわ」


トイレを、我慢するような 脇をしめて

両手の拳を、横に向ける ポーズだが

トイレではなく


「それは どこが ムズムズして

いるんだ ??」


たたみかける 薬師。


「ハァハァ

なに 変なこと 言ってるの?

おかしいわね アンタ」


呼吸が、荒くなり

胸を、押さえつける エルフ。


「おいおい

おかしくなっているのは

お前の方だろう」


呼吸を、整えようと

右手で、胸を 押さえていた エルフだが

指が、わずかに意思と違う動きに

なっているのを、見逃さない 薬師。


「ハァハァ

なにも おかしくなんかないわ」


思いに反して、指が 動く エルフ。


「お前 気がついてないようだが

ムズムズを 抑えるために

胸を 揉んでいるぞ」


「え・・・

ほ・・・ホントだ

なんで 胸を 揉んでるの アタシ」


エルフは、自身の右胸を

勢いよく、揉んでいるが

自分が、そうやろうとして

いるワケではない。


「自分自身でも

気が ついてないだろう」


エルフの、左手を 指差す 薬師。

指が、もう左胸を 求め動いている。


「・・・なんなの

手が 自分のモノじゃないみたい」


咄嗟に、左手で 右手を 引きはがそうと

したが、時 すでに遅く

両胸を、揉む格好に なってしまう。


「なにを 言っておる

それが お主の本質じゃ」


その頃


「めっちゃコワかった・・・」


いきなり、男に拉致され

助かったとはいえ

恐怖心に、かられてしまう。

でも、ミテオナーが ギュッと

抱きしめてくれる。


「ごめんなさいね

ワタシたちが 付いていながら」


耳元で、そう言いながら

頭を、なでてくるけど

もう、子供じゃあないよ。


「なんでも 言うこと聞くから

許してね」


急に、雰囲気が変わってしまって

少し、戸惑いがあるのだが


「ホントに なんでも イイんですか ??」


この際、言うしかない。


「うん なんでも言って」


柔和な、表情を見せる ミテオナー


「もう トーナメントを

辞退したいです」


こんな、殺し合いなんて

もう、やめだ。


「それ以外なら なんでもするわ」


どうやら、そう言うと思っていた

らしく、即答だ。


「・・・なんだよ じゃあ

それは後日で」


さっき使うはずだったフレーズを

持って来る。


「あっ イイわ」


「・・・」


その頃


「ぐっ

も・・・もげる・・・

もげるもげるもげるぅぅぅぅぅー」


舞台上では、エルフが 時々 白目に

なりながら、耐えている。


「あと 8時間だ

その間に 意識が飛ぶか あるいは

胸が もげるか あるいは 指の骨が

粉砕されるか・・・」


真顔で、淡々と離す 薬師。


「・・・ハァハァ

どうして 8時間なぁぁん

なのよ」


正確な時間を、割り出している

ことに、イラ立つ エルフ。


「フフフ

どうしてでしょう ??」


口角が、上がる 薬師。


「普通の魔法じゃあぁん

じゃあ ないわね

毒」


やっと、モヤの かかる頭で

たどり着く エルフ。


「ほほう

早めに食べた 昼食のスープは

おいしかったですかな ??」


確実に、食事したところにいたのだ。

そこで、興奮する作用の 魔法薬を

入れた 薬師。


「おまえ・・・

やりやがったなぁーーむふ」


理由が、わかったところで

勝手に動く手は、止まらない。


「けっして 毒などではないですよ

誤解なきよう」


これは、あくまでも 魔法薬だ。

それから、派生したに過ぎない。


「ひっ

おぼえてろよ 一発殴ってやる」


立っているだけで、やっとで

なかなか、前に 進まない エルフ。


「どうぞ やってみて下さい

胸から 両手を 離すことが

出来ますか??」


吸い付いたように、胸から

離れない。


「やってやる・・・

やるから そこを 動くなよ~」


ヨタヨタと、歩く エルフ。


「はい どうぞ

ただ 動けば動くほど 効果は

アップしますぞ」


パチンと、指を鳴らす 薬師。


「あっあはは

ホントだ 歩くだけで」


意図せず、股に刺激が入る。


「まだ 魔法薬の効果は

これからピークになると言うのに

こんなに 効果が出ているなんて

驚きですよ」


肩を、すくめる 薬師。


「え゛っ

まだ ピークじぉえなひぉぉ ??」


驚く エルフ。


「そうですとも

なにせ 8時間も 効果が持続する

調合にして ございます」


ニッコリする 薬師。


「ぐっ

ぐえどぐざいぐれ」


耐え兼ね 命乞いする エルフ。


「えっ?

なんと??」


ワザと、聞こえないフリをする 薬師。


「ぐっ解毒 しでーー」


どうしても、解毒剤が欲しいと

懇願する エルフ。


「イイですとも

解毒剤も もちろんあります

ただし」


胸ポケットから、解毒剤のビンを

取り出し、もう片方の手は

人差し指を、立てる。


「なんでもするぐぁ

はやくぅーちょうだい」


そろそろ、我慢の限界が来そう。


「はい

負けを 認めて 場外に降りて

くだされば すぐにでも 解毒剤を

お渡し いたします」


やたらと、勝ち誇ったように

丁寧に話す 薬師。


「てめぇ

ホントだろうなぁぁはぁん」


もう、意識を保つのに 精一杯な エルフ。


「信用出来ないなら 仕方ないですね」


ポケットに、ビンを しまおうとする

薬師。


「信用ずる

はやく ちょうだい」


体を、上下に動かし 求める エルフ。


「さあ 場外に出るのが 先です

早くしないと ビンを 割りますよ」


高々と、ビンを 持ち上げる 薬師。


「う゛ぅ」


一歩ずつ、場外へ 歩きだす エルフ。


「さあ もう一歩」


もう少しというところで、歩みを

止める エルフ。


「あぁぁ」


その場で、チカラ尽きるように

倒れる エルフ。


「どうしました ??」


首を、かしげる 薬師。


「・・・」


反応が、なくなる エルフ。


「・・・意識が 飛んだようですね」


そう言って、審判兼司会者の 男を

見る 薬師だが


『いいえ まだ勝負は ついて

おりません』


首を、横に振る 審判兼司会者。


「・・・仕方ないですね」


ゆっくりと、エルフに 近寄る 薬師。

場外に、落とそうとした時


「よいしょっっ

グハ」


エルフは、死んだフリ作戦を

していた。


「おりやーッ」


突然、薬師の 首根っこを 掴み

一瞬にして、場外へと 叩き落として

見せた。


「なんと」


ドスーン


『勝負あり

勝者 エルフの ムアチャコ』


ワーーーーー


審判兼司会者が、大声で言うと

大歓声が、巻き起こる。


「あ゛ーっ」


胸を、揉みながら 場外で

薬師の様子を見る エルフ。


『どうしました ??』


問いかける 審判兼司会者。


「解毒剤のビン・・・

割れちゃってるよぉー」


くやしがる エルフ。


『あーっと 解毒剤がぁーッ

でも あと8時間ですし

他のモノを 奪った方が・・・』


なくなったモノを、要求するより

他の、なにかにするように すすめる

審判兼司会者の 男。


「こいつの 何を 奪えって言うのよ」


薬を、作るスキルを 奪っても

8時間以内に、作れないかも

知れない。

薬師は、死んではいないものの

白目を、むいていて 起きない。


『たしかに・・・

では 第7試合を はじめたいと

思います

選手 入場 !!』

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