第3話 鳴り響くドラ

ーーー3ーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやだ !!

ボクに なんの メリットが

あるんだよ」


控え室に、半ば強制的に

連れて行かれて、出番を

待つ形となったが

もう、テコでも動かないぞ。


「覚悟を 決めなさい」


と、ミテオナーに 一喝され


「こんなことなら

来るんじゃなかったな」


と、悪態を ついていると

外では、ゴーレムが片付けられて

次の試合が、はじまるようだ。


『さぁ 第1試合 すごかった

ですよね~

まさかの 大番狂わせ

ゴーレムが 倒され まさに

ジャイアント キリングだーー』


ワーーー


『それでは 感想を 聞いてみましょう

どうでした??』


メガホンを、手渡す。


「最初 対戦相手が ゴーレムと聞いて

正直 終わったと 思っていたんです

けど 勝てて 良かったですぅ」


とても、うれしそうに話す

ヒーラーの 女。


『そうですよね

おめでとうございます』


にこやかに、ゆっくりと

うなずく、審判兼司会者の 男。


「ありがとう!」


ワーーー


歓声が、こだまする。


『では 第2試合を はじめたいと

思います

選手 入場 !!』


東西から、それぞれ1人ずつ

入って来る。

1人は、小ぶとりな男で 金の

アクセサリーを、ジャラジャラ

鳴らしながら、ゆっくりと歩く。

もう1人は、細身に 短髪

ラフな、前開きシャツ。


『さあ 第2試合は

商人と モンスターテイマーの

取り合わせだーっ』


大声を、張り上げる 審判兼司会者。


「ガハハハハ

お前みたいな ガリガリなんて

紙クズみたいに

ひねり潰してくれるわ」


余裕綽々の 商人。


「さあ どうかな??」


苦笑いする モンスターテイマーの 男。


「ほざいてろ」


キレ気味な 商人の 男。


「フフッ」


『さっそく 火花が散って

ますねー

それでは 第2試合

レディー ゴーッ』


審判兼司会者の 男が

合図を、送る。


ドワーーーン


会場内に、ドラの音が 響きわたる。


「よーし」


モンスターテイマーが

右手を、高く上げ 人差し指を

立てる。


「なに やってんだ

ホレ」


商人は、拳大の黒く丸い球に

火を付け、モンスターテイマーに

投げつける。


ドカーン


テツハウが、大爆発して

地面に、1メートルほどの

くぼみが出来る。


「・・・ッ

あぶねえモノ 持ってるな」


すんでのところで、かわすことが

出来て、冷や汗を拭う

モンスターテイマー。


「一瞬で 片付くと 思ったがな」


不適な笑みを、うかべる

商人の 男。


「お前の モーションは

見切った」


モンスターテイマーは

商人の、体の動きから

爆弾を、投げつける

タイミングを、見極める。


「なぬ??」


「今だ 大鷲 いっけーぇ」


空に、突き出した人差し指を

商人に、向ける モンスターテイマー。


「うわっ」


迫って来る影を、見つけ

しゃがんで、かわす 商人。


「クソッ

避けられたか」


くやしがる モンスターテイマー。

大鷲の、動きが バレると 都合が

悪いので、一発で決めたかった。


「おい 卑怯だぞ !!

そんな 動物を 仕込んでいるなんて」


めちゃくちゃ手振りで、アピール

する 商人の 男。


「お前の 爆弾の方が

卑怯だろうが !!」


爆弾の方が、あきらかに危険だと

主張する モンスターテイマー。


「これは 持ち物だ

お前のとは 違うだろうが」


あくまでも、許容範囲だと

言い張る 商人の 男。


「動物を 使うなとは

規定が ないだろ」


「ぐぬぬ」


ぐうの音も、出ない商人。

その周りを、どこからともなく

スズメの群れが、飛んで来て

竜巻のように、取り囲む。


「さあ これで どうだ」


今度は、気付かれずに技を出せた

モンスターテイマー。


「なんだ こいつらはッ」


ズバッ

ズバッ


腰の、短剣を抜き スズメに

斬りかかるが、手応えがない 商人。


「ちくしょう

キリが ねえぜ」


これでは、いたずらに体力だけ

消耗していく。


「ハハハ

それなら 爆弾も 投げれないよな」


急に、余裕が出て来る

モンスターテイマー。


「それなら

術師を 狙うまでだ」


スズメの、妨害を受けつつ

ゆっくりと、モンスターテイマーに

近付いて行く 商人。


「おっと

来れるもんなら 来てみろよ」


ヒョイヒョイと、移動する

モンスターテイマー。


「うぅ

待ってろ そこを動くな」


顔の周りを、手でガードする

商人だが、だんだん視界が

ボヤけてくる。


「待てと言われて 待つヤツが

いるかよ」


華麗な、ステップを 披露する

モンスターテイマー。


「クソッタレが

前が よく 見えん」


ほとんど、周囲を 見れない 商人。


「こっち こっち」


挑発を、続けて 左右に移動する

モンスターテイマー。


「そうだ

爆弾を 足下に落として 移動すれば」


なにか、ひらめいた 商人。


バチッ


「よし 逃げろ」


ドガーン


足下に、爆弾を落とし

3メートルほど、離れると

爆風で、スズメが 吹き飛ばされる。


「よーし

数が だいぶ 減ったぞ」


スズメの数が、半分になったが

まだ、飛び回っている。


「今だ 大鷲 ヤツをつかめ」


空を舞う、大鷲に 指示を出す

モンスターテイマー。


バサッバサッ


ピーヒョロー


背後から、商人の両肩を

ガッチリつかむ 大鷲。


「うわあああ」


重そうでは、あるが 舞い上がる 大鷲。


「やった

つかんだぞ」


歓喜する モンスターテイマー。


「痛っってぇーーー

離せよ ゴルア」


むちゃくちゃに、暴れるが

逃れられない 商人。

むしろ、動くほど ツメが

食い込む。


ピーーッ


「よーし

もっと 上空まで 飛んでいけーッ」


かなり、がんばって羽ばたく 大鷲。


「爆弾 投げてやる

喰らえーッ」


術師に、狙いを定める 商人。


ヒューーン


ドガーン


上空でも、抵抗をやめない 商人。


「なんだ あぶねえって」


ビビる モンスターテイマー。


「ハーッ !!!!

まだ 弾は 残ってるぞ !!」


体を、くねらせ 大声を出す 商人。


「チッ

もっと 高度を 上げれたら

確実に ヤれるのに」


重すぎて、思うように 高い

ところまで、上がれていない。


「おりゃーー」


ドガーン


「よし 場外に 落とせ 大鷲」


戦略を、地面に 叩きつけるから

場外に落下させるに、変更する。


ピーッ


ガバッ


急に、離される 商人。


「あ゛ーーーーー」


ゴギッ


激しく、地面に叩きつけられ

首が、変に曲がる 商人。


『おーっと

場外に 落ちたーっ

しかも ピクリとも動かない !!』


審判兼司会者が、興奮気味に

話す。


「ふぅ

あぶなかったぜ」


ホッとする モンスターテイマー。


『勝負あり !!

勝者 モンスターテイマー ハトシ』


大声で、結果を言う 審判兼司会者。


「やったぜ」


拳を、高らかに上げる。


ワーーー


「やった 手堅かった」


観客席では、賭けていた連中が

一喜一憂する。


「でも よう

爆弾が 出て来た時には

ビビッたぜ」


「ああ

そうだよな 商人も健闘した」



ーーー4ーーーーーーーーーーーーーーーー


『現在 地面に 空いた穴を

修復しているので

しばらく お待ちくださーい』


審判兼司会者が、ザワつく観客席に

アナウンスする。

今年は、例年以上の盛り上がりを

見せて、満足げだ。


「さあ 出番が来たわよ」


ミテオナーが、指先を組み合わせ

伸びをする。


「どうして 戦う必要が

あるんだよ?」


どうしても、納得が いかない。


「まーだ言ってるの」


アルパカが、小突いて来る。


「だって 魔法使いじゃあないし

爆弾も 持ってないし」


あまりにも、派手なバトルを

見せられ、完全に 戦意を

喪失して、しまう。


「大丈夫よ

魔法防御は 付けてあげるから

ダガー も 持って行きなさい」


刃長が、10センチほどの刃物を

手渡してくる ミテオナー


「それだけなの??」


あきれるしかない。

もっと、立派な剣を 持ちたい。


「あと 大きな声では 言えないけど

ケンイチロウが 倒したように

ワタシが 魔法で 相手を倒すわ」


急に、小声で話す ミテオナー

とりあえず、立っているだけで

勝てるらしい。

ホントかな?


「それなら 回りくどくしないで

ミテオナーが 直接 戦えば

イイじゃないですか??」


それだけ、自信と実力がある

なら、自分自身で 戦えばイイんだよ。


「ウチらは 大会に 出られない

事情が あるのよ」


クチを、尖らせる アルパカ


「そう 出られないの」


コクコクと、頭をたれる ミテオナー


「えーっ

なんですか 事情って??」


どうも、そこが 隠されていて

ムズムズしてしまう。


「だから 試合に勝ったら

詳しく説明して あげるからね」


どうあっても、勝つまで理由は

話さないみたい。


「そろそろ出番ですので

第3試合の方は ゲートまで

来て ください」


スタッフが、呼びに来る。

もう行かないと。


「うーん」


あらゆる、思いが 去来する。


「歩く 魔法 かけようか??」


ニヤリと、笑いながら

手を、かざす ミテオナー


「いや 自分で 歩けます !!

自分で歩いてないと 途中で

逃げれないじゃ・・・」


つい、ポロッと 本音が

漏れてしまう。


「あまり 無駄なことは

考えちゃあ ダメよ」


ギューッと、抱きしめられる。


「・・・はい」


とりあえず、舞台に 立ってさえ

いれば、勝てるんだ。


『さあ ハトシさん

相手から 奪うものは

後日という事ですが

勝って いかがでしたか??』


舞台上では、勝利者の

インタビューが、とりおこなわれて

いて、実に うれしそうだ。


「ちょー気持ちイイですね

この トーナメント いただいたゼ」


マッスルポーズをする 参加者。

細身だから、ギャグにしか見えない。


『すごい 気合いですね~

さて 整備も 終わったので

第3試合を はじめます

選手 入場 !!』


ワーーー


いよいよだ。

コロシアムじゅうの視線が

矢のように、刺さって来る。


『さあ 第3試合は

スライム・・・と

転生者?

また 妙な 取り合わせと なりました

どんな 試合になるのか

楽しみですね~』


勇者殺しのスライムらしいけど

言っても、スライムだ。


「えっ

スライムが 相手なんだ・・・

それなら 魔法防御だけで

イケるかも 知れないなぁ」


少々、顔が ほころんで来る。


「なんや 今

スライムやから 勝ったわとか

思うとるんと ちゃうか??」


まくしたてて来る スライム。


「ギクッ

なんで わかるの??」


なにか、特殊能力かな。


「そんなもん 顔を 見とったら

わかるがなぁあ

ホンマ 転生者ってダケで

ビビっとった ワシが

なさけのーなって 来るわ」


よく、しゃべる スライムだな。

クチに、チャックしてやりたい。


「あの・・・」


「なんやわれ」


「すぐ 降参するので

やさしくしてください」


痛くないように、すぐギブアップ

すると、伝えるが


「はん !!!!

おどれ 油断させて 首を

ガッサー 逝くつもりやな

見抜いとる

まぁ スライムや さかい

首は あれへんけど」


ホント、おしゃべりな

スライムだ。


「いや

そんな やましい気持ちは・・・」


「じゃかしい」


たぶん、悪態を ついている

スライム


『おっと

かなり ヒートアップする両者』


審判兼司会者の 男が、あおる。


「絶対 負けへんからな」


ニラみつけて来る スライム


「アワワ」


『第3試合

レディ ゴーーッ』


合図を、送る 審判兼司会者。


ドワーーン


高らかに鳴る ドラ。


「ほな いくで

ウォーター スプラッシュ !!」


水玉が、弾丸のように鋭く尖り

無数に、飛んで来る。


「ヒャー」


しかし、魔法防御が 効いているのか

ノーダメージだ。

やった。


「なんや 負るって言うわりに

魔法防御かましとるやんけ

やっぱ ウソやったな

ワイが バカやったわ」


口調に、鋭さが増す スライム

どうやら、刺激したらしい。


「いやっ

ヒーー」


さっさと負ける気だったのに

気持ちに、ブレが出て 悲鳴になる。


「おい そのキッズボイスやめい

脳天が 崩壊しそうやわ

マジで」


声で、激しく ブルブル振動する

スライム


「うぐ

ごめんなさい」


スライムが、波打つのは

おもしろいけど、複雑な気持ち。


「もう ええねや

次で 黙らしたる

ハードレイン」


ザーーッ


バケツを、ひっくり返したような

水の塊が、ボクのところだけに

降り注ぐけど、なんともない。


「冷たいよ」


多少、涼しくなったなぁ。


「なぬ ?

普通の 人間なら 首が モゲる

水圧やぞ??」


「えっ??」


「やっぱり スンナリとは

勝たして くれんって こっちゃな」


スライムが、怒りに 満ちている。

体を、左右に振り なにかしている。


ウグッ


スライムの、クチから

丸い、ビー玉のようなモノが

吐き出され、ニョキッとはえた

両腕で、頭の上まで 持ち上げる。


「グェェ

いきなり こいつの出番が

来るとは 思わなんだ」


ベトベトの粘液が、落ちきり

淡い光を、放つ石だと わかる。


「うぇ

それ なんだ??」


クチから出た時点で、気味が悪い。


「これか

昔 勇者が 沼地に 迷い込んで

その時に バトルして勇者から 奪った

ジュレルだよ」


勇者に勝つ スライムなんて

この世に、いるのか。


「ジュレル?

それって なんなの??」


ヤバい雰囲気しか、感じない。


「ジュレルは

エレメントを 閉じ込めた

人工の石や

こいつには 放電竜 ライデンとかが

入ってる」


自信マンマンに、語る スライム。


「なにそれ カッケー」


キタナイと、思っていたが

急に、欲しくなってきた。


「これを 見るのは 最後や さかいよー

見ときや」


思わせ振りな スライム。


「えっ なんで」


つい、前のめりに なってしまう。


「それはな

今から お前は 死ぬからや」


「えっ !?」

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