第1話 逃れられぬ道

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いきなり、光りに包まれて

今度は、真っ暗い闇だ。

でも、アルパカの感触は ある。


「アーンアーーンアーーーン

って イイ加減にしろ」


ゴチーン!!


「いったーァァ」


どうやら、アルパカに 頭突き

されたみたい。


「ついて来て」


向こうに、小さく 光が見える。

どうやら、出口みたいだな。

そちらの方へ、アルパカが

歩いて行く。


「ちょっと 待ってよー」


こんな、ところに 置いて

行かれると、コワい。


「あれ

なんだろ 人の気配が・・・」


振り返って、暗闇に 目を

こらすけど、よく見えない。


「ヒッ」


クラスメイトが、身を隠した

ような気がした。


「気の せいかな・・・」


ケイコちゃんが、いるわけ

ないよな。


「・・・」


息を殺してる。


「置いてくよ」


アルパカが、前足を 鳴らし

ながら、振り返って待っている。


「待って~」


よろめきながら、アルパカに

ついて行く。


「うわぁ」


まぶしさから、目を 覆う。

洞窟を、出ると 森の中だ。


「だいぶ

蒸し暑いなぁ」


見たことないような、花を

咲かせている木など

異国に来たようだ。


「よう

ぼっちゃん」


いきなり、顔に包帯を巻いた

男が、あらわれて

話しかけて来る。


「あなたは 誰ですか??」


恐る恐る、聞いてみる。


「だめよ!

そいつの 相手しちゃあ」


危険を、察知して 注意する

アルパカ


「まぁ そう言わず」


ボクと、アルパカの間に

移動する 男。


「はい」


「ツヤツヤした

イイ顔だなぁ !!

交換してくれよぉ・・・」


体を、クネらせながら

ボクを、なめるように

見る 男。


「えっ??」


一瞬、意味が 全くわからず

聞き返す。


「オレの名は ジョーカー

バトル しようぜ」


突然、ボクと戦うって

言い出す 男。


「・・・ええっ?

意味が よく わからないよ」


全然、頭が 追い付いてこない。


「ダメよ バトルしては

負けたら 大変よ」


アルパカが、必死に

訴える。


「アルパカの分際で・・・

黙ってろよ」


ズドーン


男が、手を かざすと

アルパカに向けて、黒い

稲妻が走る。


「ギャハ」


吹き飛ばされる アルパカ


「なに するんだ !!」


思わず、拳を握る。


「ほう

ヤル気に なったんだな

ボーズ」


肩を、すくめる ジョーカー


「俺の名は

ケンイチロウだ !!」


なめられたままだと

腹が立って、名乗る。


「ほう 面白い

では ケンイチロウ

勝負と いこうか」


ボクに、手を かざす

ジョーカー


シュルシュ


どこかから、石が飛んで来て

ジョーカーの、顔面に 当たる。


「痛てっ」


「よくも かわいい妹を

痛めつけて くれたわね」


頭に、青いシスターベール

上半身は、オレンジ色の

薄手のタイツ

青色で、スリットの

入った、ミニスカート

それと、ショートブーツの

女が、立っている。


「妹だと?

アルパカの 姉が

なんで 人なんだよ」


至極、その通り。


「妹は アルパカに負けた

男と 知らず知らずに

勝負して 負けたの」


恐ろしい勝負だ。


「ククク

なるほど

外身まるまる交換させられた

って寸法か

ウケるな~」


なんだか、よく わからないけど

勝った方の、言いなりみたい。


「ほざいてろ

地獄へ送ってやる」


ジョーカーに、手をかざす 女。


「おっと

これは 分が悪い

退散するぜぇ」


スタタ


素早く、走り去る

ジョーカー


「なっ

待てーっ」


ジョーカーを、追いかけ

ようと、走りだす 女。


「姉さん

深追いは 思うツボだよ」


制する、アルパカ


「・・・

そうね

冷静さを 欠いていたわ」


苦笑いする 女。


「改めて 紹介するわね

ケンイチロウ

この人が 双子の姉の

ミテオナー

そして ウチが 妹の

ミネルアー

よろしくね」


アルパカが、説明してくれるが

姉ちゃんの方を、つい 凝視して

しまう。


「よ・・・

よろしく お願いします」


かわいいのに、巨乳。


「なに この子

顔色を 赤くして

ウチには そんな反応

見せなかったのに

くやしい~」


アルパカが、前足で 地面を

掘る。


「そりゃあ

仕方ないよ アルパカだもん

それで 興奮したら

そっちの方が アブない

でしょ」


ミテオナーが、肩を すくめる。


「それは そうだけど~

でも この子の

グルーミング 最高

だったよ」


ムフフと、笑う ミネルアー


「そうなんだ

それじゃあ 今夜

お願いしちゃおう

かな~」


思わせ振りな態度をとる

ミテオナー


「え・・・」


思わず、固まってしまって


「アハッ

冗談よ」


意地悪そうな、笑顔を見せる

ミテオナー


「あっ・・・

それで ここって どこなん

ですか??」


思いきり、話しを変える。


「ここは あなたが住んでいた

世界と 違うところよ」


説明する アルパカ


「へぇー

それで あの雲の国に

どうやって行くのですか ??」


空に、浮かぶ雲を 指差して

みるのだが


「えっ

どういう説明して

連れて来たのよ」


妹に、つっこみを入れる

ミテオナー


「クモの国を ちゃんと

説明すると 来て

くれないと思って」


弁明する アルパカ


「うーん

それじゃあ 今 説明する??」


腕組みする ミテオナー


「後に しようよ」


先延ばししようとする

アルパカ


「そうね

トーナメントの 初戦で

勝ってからに しよう」


とりあえず、実力を見たい

ミテオナー


「うん

それが 無難だよね」


ペコペコする アルパカ


「うん

そうそう」


ウンウン、うなずく ミテオナー


「ねぇ

さっきから なにを

二人で 決めてるの??」


ちょっと、我慢の限界で

質問しちゃうんだけど


「ああ

クモの国に 行きたいなら

まずは トーナメントを

勝ってね」


簡単な、説明をする

ミテオナー


「いや ちょっと そんなの

聞いてないんだけれど」



ーーー2ーーーーーーーーーーーーーーーー


『さぁ

今年も はじまりました~』


森の中を、しばらく歩くと

街へと、続く大きな道に

出るが、アスファルトに

舗装されていない街道を

ひっきりなしに、馬車が

走っている。


「ゲホゲホ

土埃が すごいね」


右手で、宙を掻きつつ

左右を、見回す。


「普段は こんなに

走ってないけど

年に 1回の お祭りだからね」


特別な日だから、みたい。

遠くで、誰かが 叫んでいる

ような、こだまが聞こえる。


「お祭りかぁ

楽しそう」


どんな、行事が行われるのか

興味津々だ。


「うん

急いで 会場へ 向かいましょ」


そして、乗り合い馬車に

2人と1匹が、乗りこんで

街へ向かう。


「わぁ

すごい 人が いっぱい」


何かしらを、祝福するように

大騒ぎしている。

馬車は、巨大な円形闘技場の

前で、停車する。


『第1回戦を はじめまーす』


森にいて、なにか

男の声が、響いて来たと

思ったら、ここからみたい。


「うわぁ

新国立みたい」


「すごいでしょ

自慢の コロシアムよ」


周囲の、建物は 2階くらいだが

5階くらいまで、ありそう。


「へぇ

コロシアム シネマ

映画で 見たまんまだ」


映画の、ワンシーンを

思い出す。


「ここで

これから ケンイチロウが

戦うのよ」


いきなり、変なことを

言い出す ミテオナー


「えっ

なんの 冗談ですか??」


ズドーン


その時、巨大な コロシアムの

上に、ニョッキリと

石造りの、頭部が見える。


「もう 第1試合が

はじまってるわ

急ぎましょ」


ボクの、手を引く ミテオナー


「えっ

なんなんですか

ミテオナー さん !?」


少し、引っ張って 抵抗する。


「あなたは

第3試合に エントリー

されているから」


ニッコリと笑うが

目が、笑っていない。


「ちょっと

こんなの 聞いてないですよッ」


ズドーン


ものすごい、轟音と

土埃が、あたりを 包む。


「とりあえず

観客席に 行くわよ」


グイグイと、引っ張る

ミテオナー


「いやだーっ」


へたりこんで、抗うが


「はい

さっさと 歩く」


なにか、魔法を かけられ

意思とは、反対に

スッと、立たされる。


「体がっ

勝手に 動くっ」


歩きたくないのに

行進させられる。


「うぐぐ」


スタジアムの、最前列が

土埃のせいで、空いている

ので、陣取ると

巨大な、石造りの巨体が

見える。

対戦相手は、女性1人だ。


「なんで 女1人で

戦って いるのですか??」


素朴な疑問を、ぶつける。


「彼女も グラディエイター

として 戦っているの

あなたも この後

戦うのよ」


また、おかしなことを

言っている。


「イヤです

グラディエイターなんて

やりたくない !!」


全力で、拒否する。


「そんなに

わめかないで

ホラ よく見て」


ステージの女が、魔法を使うと

暴れていた、ゴーレムが

多少、大人しくなってきた。


「すごいわ」


整えられた、ゴーレムの

表面が、ゴツゴツの

原石に、姿を変えると

バランスを、崩して 転倒する。


ワーー


会場内に、割れんばかりの

歓声が、沸く。


「やった

大穴当てたぞー」


どうやら、賭けの対象に

なっているらしく


「チクショー

ゴーレムが 優勢だった

のにォ」


紙を、ビリビリに 破く。


「ねぇ

ミテオナー??」


「うん?

どうしたの??」


「女の人が 勝ったの??」


どういう風に、勝敗が

ついたのか、わからない。


「そうよ

ゴーレムは あの

四角い リングから 落ちたからね

場外で 負けた」


「ふーん

場外で 負けねーー」


(だったら すぐ場外に出て

負けよう)


「ねえ ケンイチロウ」


「はっ

はい」


「あなた 今

すぐ 場外に出て 負けよう

なんて 考えてないわよね??」


目を、細めて まじまじ見つめて

来る。


「えっ・・・」


少し、どぎまぎしていると


「やっぱり

お見通しよ」


「・・・ですよね」

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