カエリマショー

『──The Magical Mystery Tour Is waiting to take you away──』


マジカルミステリーツアーにならないと良いがな。

俺は待ってないぞ。

連れて行くなよ。

フリじゃないぞ。


現在たまむらやで購入した諸々と楓を載せて家に帰っている道中だ。

「車貸してくれてありがとう。そしてこの曲選はお前か?」

助手席に座る楓に訊いてみる。

ちなみに言っておくと、楓は車を持って乗って帰るために居るだけで他意はない、と乗る前に熱弁していた。


「車のお礼はパパに言ってください。……あと、あたしもパパも聴いてる曲はそんなに変わりません」

ほーん、パパか。渋い趣味してるな。

ビートルズが好きなのはパパの影響なのか。

あれ、じゃあメイド服は……


「なんですか? 何か用です?」

これ以上はいけない気がする。話を変えよう。

「……いや? そういえば今度任務でサイド16の方まで行くけどお土産何がいい?」


強引な話題転換だがまあ致し方ない。

「……えーと。サイド16って昔ハンバル半島があったところでしたっけ?」

「そうそう。今は湾になってるけどな」


確かあれは大英連合軍が使用した戦略核の跡のはず。

半島の先の方にAGEを追い立て、可能な限り少ない被害で排除できた割と成功した方の作戦だ。

まあ半島ではなくなってしまったけども。


現在はポリトゥカ市として大陸南側の要衝となっている。

今度の任務はそこにあるザフスト南部第一根拠地で、大陸南部の全部隊による大規模な演習に参加することだ。


正直だるい。

居残り組に志願したが、隊長は既に俺の分の出征申請も出した後だった。

納得がいかないのが、他の隊員の分の申請はまだ出していないのだ。

隊長の分ですら。

やっぱおかしいって。

前世紀だったら労働基準監督署に訴えているところだがそんなものはない。

ぐぬぬ。


「買ってと言ったらなんでも買ってきてもらえるんです?」

そういえばお土産の話だったな。

「いやまあ、可能な範囲でね」

考え込む楓。

「早く決めないと家着いちゃうぜ。それまでに決めるんだな」

「んなっ!?」

ちなみにもう1分とない。車は早くていいな。


「んーーー!」

うなる楓。

お。我が家が見えてきた。

細々こまごまとした瓦礫がれきに囲まれている。片付けないとなあ…


「あー、そういえばサイド16はまだ昔ながらの加熱料理が主流らしい。玲華がこのあいだ言ってたな」

「あっ、じゃあそれにする!」


ふ。

「……楓、ごめんな。恐らく消費期限の関係で現地料理を持って帰ることはできないから、俺が代わりに……って冗談だぞ?」

適当にからかっていると、死んだ魚の目になり始めていたので一応フォローする。


この御時世、当然常温でも4ヶ月は保たせることができるだろう。

楓はイジられたことにやっと気付いてむくれいている。忙しいな。


ま。そんなに食べたいなら買ってくるしかないか。

「適当に良さげなもの買ってくるよ」

「最初からそう言ってくれればいいのに……」

「なんか言った?」

「いーえ。別に」


***


車を家の少し手前で停め、防護服のバイザーを降ろして機密を確認する。


『ヘルメットの機密大丈夫か?』

『はい。あ、降ろすの手伝いますよ』

『悪いね』


車のハッチを開けて荷台の荷物たべものを家の裏の冷倉庫に搬入していく。

250kg近くあるとは言え二人ともパワーアシスト付きの防護服を着ているし、それぞれコンテナになっているのですぐに終わった。


『んじゃあ帰りは気を付けてな。上から降ってくるものには特にね』

『子供じゃあるまいし大丈夫ですよ! あ、お土産期待してますからね』

『あいわかった。じゃあまたね』


滑らかに切り返して走り去った半ホバー型バンを見届ける。

普通に運転うまいんだよな。


さてと。

恐らく寝ているであろう瑠奈を叩き起こすか。



──────────────────


定期更新って本当に難しいですね(定期)

暫く楓は出てこないかも知れません。

次回からはハンバル遠征です。

一度この世界の地図を掲載したいですね。

メインヒロイン(予定)がちゃんと活躍する予定です。

あとビートルズがなんでこの世界にあるのかは謎です。

大英の名があるのか謎です。

嘘です。謎というかご都合主義です。

今後とも宜しくお願いします。

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