第11話 社会人1年目②

かかりつけ医に頼み、病名とやってはいけないことを書いた診断書を書いてもらった。

そして私はその診断書を持って新人研修担当との面談に挑んだ。


結果、私だけフランチャイズ研修は9時〜18時の3カ月間だけ行うことになった。


しかし、同期の子たちはみんなオープンから締め作業までやらされていたため、フランチャイズ研修が始まって一週間程で私の働き方への疑問の声が上がり始めた。

基本的にいい人たちだったので、「身体が弱い」とオブラートに包んで伝えたらみんな一応納得してくれた。


研修先のカフェの店長(社員は私と店長の二人だけ)にはかなり冷たくあたられた。

(まぁ、そりゃ健康な人ではなく要配慮の社員がきたら鬱陶しかっただろう…)


例えば、有料のポイントカードを週に10枚作らせろと言われ、頑張ってお客様に話しかけてそのノルマを達成したが、


「お前がお客に作らせても意味ないだろ!バイトにやらせないと無意味だ!!」


と、めちゃくちゃ怒られた。

まぁ、社員だから今ならバイトの人と連携して店のことを考えないといけないんだなぁと思えるが、

新卒のほぼ大学生メンタルの私は理不尽すぎる!と傷ついて帰り道に泣いた。


また、研修担当に毎日自分の体調を報告する必要もあった。

正直初めての立ち仕事で、毎日ヘトヘトになっており、これ以上長引かされたら困る!と思い大げさに報告していた。

(後にこの大げさ報告がトラブルの元になろうとは……)


フランチャイズ研修中も月に一度は病院に行かなければならず、

その病院の結果を店長に報告しなければならなかったのもきつかった。

全く自分の病気に興味がない人に報告するあの空気感は二度と味わいたくない。


見た目にはあまりでない病気なので、

「結果がよかった」と元気そうに言えばそう見えるし

「結果が悪かった」と元気じゃなさそうに言えばそう見える。

つくづくやっかないのな身体になったなと感じた。


そして周りの健康な同期の働き方を見てとても羨ましくも感じた。

私も身体のことは何も考えず働いてみたいなぁと思った。


3カ月間立ち仕事をしたが、運良く病状は悪化せずフランチャイズ研修の最終日を迎えることができた。


晴れて本社で事務仕事をすることになったが、お荷物の私は他の部署に行かせるのも面倒だったようで、研修担当がいる人事課に配属された。


しかし、本当の地獄はここからだった。

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