第6話 小学校

退院して、いよいよ新学期が始まった。


まだ全ての授業にでる体力はないので、しばらくは午前中のみ授業に出席することになった。

午前中だけでも学校に行くとぐったりして、午後はずっと眠る。

改めて自分は病気になったのだと感じた。


そういえばとても傷ついたこともあった。


感染症予防のため、私は常にマスクをつけて登校していた。

この頃、小学生がマスクをつけている姿は異様だったため、

知らない子もクラスまで見に来て

何かこそこそ言っていたのもかなりこたえた。


更にきつかったのは、

マスクをはずしてお茶を飲んだ時に起こった。

私の顔を見たクラスメイトが急にざわつき始めたのだ。


「うわ…めちゃくちゃデブになってるじゃん」


確かに、数ヶ月前までガリガリだった人が急に太ったらそういう感想になるだろう。

見た目もかなり変わっていたと思うし、マスクを外した顔はさらに変わり果てていたんだと思う。

小学生なんだから、多分悪意というよりは感想という感じだったのではないだろうか。

しかし、心をえぐるには十分な言葉だった。


運動もそこそこできて性格も明るく、

「足細いね〜!」「すらっとしてる!」と口々に言われ、

いろんな子と友達になれていた「私」はいなくなったんだと実感した。


残りの小学校生活はできるだけ目立たないように過ごした。


いじめられないように、

嫌われないように、

めんどくさがられないように。


卒業してから、小学校の時の友達とは会いたくない気持ちが大きくなった。

会って嫌なことを思い出したくなかった。

だから連絡をとらなくなった。


どんなに努力しても、

どんなに健康ぶっても、

病気になる前の自分に戻ることは絶対にできない。

私は難病患者なんだと初めてわかった気がした。

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