第3話 102の証言
『子供』って言葉があるじゃないですか。
あれって、複数形の言葉だって知ってました?
『子供』って言葉は"子"の複数系なんですよ。いまでこそ、1人の子をさして使われがちですけどね。
え?なんでそんな話しをするのかですって?
それはもちろん『子供』の話しをするからですよ。
ここの管理人さんって高齢のお婆さんだったでしょ。
その管理人さんが、いつだったか隣の部屋の人に話してるのを聞いたんですよ。
「子供に気をつけろ、子供に気をつけろ」って。
お隣さん若い女性の方だったじゃないですか、だから変な絡まれ方してかわいそうだなってみてたんですよ。
え?なんで助けなかったのか?
そ、そんなことできるわけないじゃないですか。
僕みたいなやつが話しかけたって、相手にされないだけでしょうし……。
その頃からだったかな、部屋の中で『子供』の声が聞こえだしたのは。
ぬ
はじめは気に留めてなかったんです。
だって、『子供』の声なんて日常に溢れてるじゃないてすか。
マンションの前の道なんか、近くの学校の通学路で、朝と夕方にはいつも騒がしいですし……。
え?なんでその時間帯に家にいるのか?
べ、別にいいじゃないですか、いま関係ないでしょそんなこと。
とにかく、そんなだから本当に気にしてなかったんですよ。
だけど、ある時ふと気がついたんです。
『子供』の声は部屋の中から聞こえるって。
別に気づくきっかけがあったわけじゃないんです。ただ、なんとなくそう思っただけで……。
だけど、気がついてしまうとはっきりと部屋の中で声がしているのがわかったんです。
朝も夜も関係がなく。
そしたら、居ても立っても居られなくなってしまって……。だけどお金もないから部屋を出るわけにもいかないし………。
で、ある日ふと気がついたんですよ、"ああ、天井からだな"って。
ほら、天井裏って直ぐに上の階の床になってるんじゃなくて、少し空間が空いてるじゃないですか。
そこに『子供』がいる気がしたんですよ……。
普通はそんな事ないですよね。だげど、僕は本気でそう思い込んでいて、お風呂場に点検口があったから、そこから天井裏を覗いて見たんですよ。
そしたらいたんですよ『子供』が。
そんな馬鹿なことあるわけないじゃないですか、でも確かにいたんですよ。
笑ってこっちを見つめている『子供』が……。
もう本当に驚いて、その時に足をすべらせて、勢いよく腰を打ち付けてしまったんですけどね。
でも、話しはそれだけでは終わらないんです。
腰の痛みにうめいているとですね、頭にコツコツと何か落ちてきてあたったんですよ。
それが骨だと理解する前に自然と頭が上がって、さっきまで覗いていた点検口を見ちゃったんです。
そしてら目があったんですよ『子供』と、思わず叫んじゃいましたよ。
直ぐに『子供』は消えたんですけど、代わりに沢山の骨が落ちてきたんです。
本当に本当に怖かったです……。
え?その骨はどうしたのか?
もちろん捨てましたよ。そんな気持ちの悪いもの。
ただ、捨てるときに管理人のお婆さんに見られたから、何か言われるんじゃないかとヒヤヒヤしましたね。
まぁ、結局何も言われずに管理人さんは辞めてしまったみたいですけどね。
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