最終話 新世界の始まりとスコティッシュ・フォールド最後のご挨拶(5)
EXTRA 「フールこと山田蕗、並びに坪井風香 最後のご挨拶」
これで私の物語は一応終わりだ。
もちろんこの後もニンゲンとしての私の生活は続いていくし、それがどんなものになるのかはわからない。
風香と寛太の恋は始まるのか始まらないのか、猫たちの新月のカーニバルは続くのか続かないのか。
わからないから面白い。
さて、私は皆さんにお伝えしたいことがある。
2021年度に日本で殺処分された犬猫は1万4千匹余り、そのうち猫が1万2千匹近くを占めている。10年前に較べれば、数分の1以下に減っているとはいえ毎日30匹以上の猫たちが様々な方法で殺されている計算だ。
猫が捨てられる理由は飼い主の死亡や引っ越し、経済的理由などなどだ。不妊手術をしていない猫は1歳に満たない個体でも交尾し、高確率で妊娠して子猫を5~6匹産むことが多い。
だから放っておいたら猫なのに「ねずみ算」式に増えていってしまうのだ。地域で猫に親切な人がその野良猫に餌を与え、そこに集まる猫同士がまた交尾をし、ということも多いらしい。
何が悪で誰を責めたらいいのか、私には難しいけれど、どう考えたって無くさなくてもいい命を人間の都合で失っている猫が多いのは確かだ。
「地域猫」の取り組みが広まっている。不妊去勢手術をして地域の人が世話をする猫だ。 この猫たちは命を拾われた幸運な猫かもしれないけれど、それでもやはりいつどうなる運命かわからない不安定な立場の猫であることに変わりは無い。
ぜひ考えてほしい。長生きの猫なら25年生きるといわれている。60歳で子猫を飼い始めるのは法に触れる行為ではない。けれど85歳の自分はきちんと世話をできるだろうか。もしもの時、世話を引き継いでくれる人はいるだろうか。
去勢手術は可哀想かもしれないけれど、だったら生まれたすべての子猫を育てきることがあなたの責任だ。
引っ越しや経済的な理由を他人がとやかく言うことは出来ないけれど、引っ越すからとか、お金がないからといって家族を捨てる人はいるだろうか。
この国で不必要に処分される猫がゼロとなる日が来ることを願ってやまない。
これをもって私フールこと山田蕗、並びに坪井風香からの最後のご挨拶とするニャア。
月のない夜は子猫と踊れ Dance with kitten in the dark night jima-san @jima-nissy
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