第27話 迷いの森とオシキャットの憤怒(3)
結局私はさらに詳しい説明することになってしまった。不本意だが。
さきほど言ったとおり、じきに人間の野良猫狩りが始まるから、その前にこの街から逃げ出した方がいいと忠告されたこと。
そして私が瀕死の状態で捨てられた時に猫神様のパワーを半分もらってしまったこと。
ボッツには猫神様のもう半分のパワーが備わっており、そのために猫神様は現在力がなくなっていること…
私が人間から生まれ変わったことやタイムリープのことはやっぱり言えなかった。多分言っても理解されないだろうし、話がややこしくなるばかりだ。
「すると…猫神様が弱くなったのはお前とボッツのせいじゃねえか」
ガンツが信じたのか信じてないのか、難しい顔でポツリと言う。
「フーちゃんのせいじゃないですよね。それを望んだわけでもないのですから」
セージが弁護してくれる。優しい。
「とにかく猫神様が今あてにならないのなら、何とか私たちで早めに野良猫狩りの前に避難した方がいいでしょ。ボッツに追い出されるのが時間の問題かもしれないけど」
私が言うと、ポンタは口をとがらせた。
「そんなに簡単にやられてたまるかよ!」
「そういうふうに考える猫が大半だから、避難は簡単に進まないということですよ、フーちゃん」
セージの言葉に私は考え込む。
ガンツは黙って私を見つめていたが、突然口を開く。
「おい、フール。フキって誰だ」
私は考えていた答えをスラスラと口にした。
「よくわかんなかったけど、私が捨てられる前の名前みたいだよ」
嘘は言っていない。ただ私にはやっぱり隠したいこともあったんだ。
そう、自分が元人間で、しかも両親がそこにいるというのは言えなかった。
だって私の父さんはガンツだ。ガンツ一人で充分なんだ。
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