第19話 逆回りする時計 恍惚のノルウェージャン・フォレストキャット(6)
EXTRA EPISODE 「山田蕗 中学1年生の日記」
私はとある地方の小さな街に住む中学1年生の女子です。特筆すべきことは多分、なに一つありません。
猫とファンタジー小説が好きで、友達は数人だけ、ボーイフレンドはいません。どちらかと言えば人見知りです。
小さな頃から身体はあまり強い方ではないので、部活動には入りませんでした。父も母も何か人と関わるような活動に参加してくれたらと思っていたようでしたが、そんなに無理してまで誰かと一緒にいたいとは思いませんでした。
「活動的」というのは私の辞書にない言葉です。
父の田舎に行ったときもだいたい家の中で過ごして、両親に呆れられました。
全力で走り回ったり、お腹いっぱいに食べたり、木登りしたり、虫を捕まえたり、田舎の男の子とギャーギャー言い合いしたり…そういうのはすごく苦手なんです。
最近何か胸騒ぎがします。別に大きな心配事があるわけではないのですが、近い将来何らかの運命的な出会いがあるような気がしてならないのです。
ここのところ変な夢を見ます。猫の写真集ばかり見ているせいでしょうか。
私は猫の神様になっているのです。笑い事ではありません。妙に生々しくて、起きるとドッと疲れていることがあります。
私はどこかのリンゴ型のトイレに乗って猫たちにお告げや指図をするのです。(笑)
「殺し合いをしてはいかん」
「昼間のうちは争いごとは禁止である」
「公園の陣地取りで街の縄張りを決めなさい」
自分でも何でこんなことを言っているのか、意味不明です。ただ、その場ではこう言っておいたら猫たちが平和に暮らせるのではないかな、などと思っています。
少し前にノルウェージャン・フォレストキャットの美しい猫に私は予言しました。
「もうじき猫の王が現れるが、これは猫の世界に混沌をもたらす魔王でもある」
「これを止められるのは猫ではない。だが猫でないものにも止められない」
「お前はそのモノを助けよ」
…起きたときにビッショリ汗をかいていました。
これは私の言葉なのでしょうか?何でそんなセリフが出るのかわからないのです。
私は誰かが会いに来るのを待っているような、怖れているような。
可愛い猫が遊びに来るなら、大歓迎なんですが…
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