#26 決着はついた!優勝は!?
ゴールのタワーはビルの谷間から見え隠れする。
表通りは、スピードを出すより、車の流れに乗って走り、信号はしっかり守る。この方法が実は一番、速く走ることができる。しかし、それでは他のメンバーに負けてしまう。そこで、裏路地を巧みにぬって、交通量の多い大通りを迂回する。
「安全運転ですね」
「混んでる道路では、流れに身を任せた方が、速いの」
「そうなんですか」
「たぶん」
さくまどろっぷは、ひたすら裏路地を縫うように走る。
「近道こそ、最強よ」
可愛美麗は、ひたすら大通りを走る。巧みなドライブテクニックで、車を抜き去り、赤信号は無視し、交差する車を、これも巧みに避ける。
ピュアウイッチ・ピンク●ライブ
「3台が最終ステージ・マンハッタンに入りました。ここは、単純に速く走ればゴールできるというコースではありません。3者とも、違ったアプローチでゴールを目指しています! ピュアウイッチ・ピンクさん! 誰がトップでゴールするでしょう!?」
「速い人」
「ここで4車の位置を確認しておきましょう!」
マンハッタンのマップに、春花、さくまどろっぷ、可愛美麗の位置が表示される。
「3台とも順調にゴールに近づいています! 一方! 水色あさがおを見てましょう」
水色あさがおは、いまだジャングルにいて、恐竜に襲われた時、見失ったバギーを探していた。
「優勝者は、春花、さくまどろっぷ、美麗の3人に絞られました!」
ゴールのあるタワー前には、広大な公園がある。木と芝とランニングコースに泉。その中央にまっすぐ走る、広い道の先がゴールだ。
3台が一斉に、最終のストレートに入って来た。
「これは、3台による熾烈なデッドヒートになりました!」
春花「絶対に勝つ!」
さくまどろっぷ「負けないわよ」
美麗「行きます!」
抜きつ抜かれつ、火花を散らす体当たり。激しいトップ争い。ゴールは目前に迫った。
その時!
公園にある泉から、一台のバギーが飛び出し、一気にゴールした。
「おっと! これは驚きです!」
バギーのドライバーは水色あさがお。
「なに? どうしたんですか?」
ポカーンとしている。
遅れて、3台がゴール。4人は、水色あさがおに詰め寄った。
「どうやって泉から出てきたの!?」
「チート使ったんじゃない?」
「どういうルートですか!?」
「よくわからないんだけど、恐竜に食われた後、バギーで密林の中、迷いながら走っていたら、泉があって、そのまま飛び込んだら、ここにいた」
「なにそれ」
「訳わかんないわね」
「どうしてそうなった」
その時、タコさんウインナーは思い出した。
「そういえば、デバッグの時、ジャングルからゴールまでのショートカット作ったな。後で修正しようと思ってたけど。」
「「「お前が原因かー!」」」
「すまんすまん」
ピュアウイッチ・ピンクは静かに言う。
「優勝は、水色あさがおさんです。おめでとうございます」
「え? あたし優勝!? やったー!」
「ちょっと待った! バグ技使った優勝は認めない!」
「意義あり」
「あんなに苦労して、マンハッタンをクリアしたのに」
「まあ、今回はこれでなっとくしてくれ」
「「「なっとくできるかっ!!」」」
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