#16 新たなる戦い

 前回の3D配信が好評だったので、その後3回プレイしたが、ピュアウイッチ・ピンクの圧勝で終わる。若い故、飲み込みが早く、回をかさねるごとに、速くなっていく。




春花はるか夏海なつみ秋月あきつき冬雪ふゆき●ライブ


「といわけで、ピンクちゃんには勝てません」


 『圧勝だな』

 『さすがピュアウイッチ』


「このままだと、ゲームとして成立しないので、なにか良いアイデアありませんか?」


 『ハンディキャップ戦にしたら?』


「それも考えたんだけどね~。ハンディによっては、不公平になりそうで」


 『難しいな』

 『人によっては不公平に感じるかも』

 『マップ変えれば?』


「マップ変えても、スピード勝負だと、ピンクちゃんには勝てん」


 『バトルにする』


「バトルは難しいな。ピンクちゃんの中の人は本当に7歳なので」


 『マジか』

 『ネタじゃなかったのか』


 しかも、ピンクちゃんは、虐待死した娘だ。なおさら暴力的なゲームにはしたくない。


 『パズル要素を入れてみては』


「パズル?」


 『7歳でも解けるレベルのパズル要素を入れる』

 『マイクラみたいな』

 『迷路とか』

 『人狼とか』

 『占いとか』


「要するに、小学生でも解けるレベルのゲームに難易度にすると」


 『せやな』

 『小学生からババアまで楽しめるゲームが良いな』

 『人生ゲームとか』

 『黒髭とか』

 『ルービックキューブ』

 『リバーシ』

 『将棋』

 『トランプ』

 『囲碁』

 『チェス』


「なんか、どんどん難しくなってない?」


 『理解すれば上達が早いのは、子供の特権』

 『ピンクちゃんに才能があれば、みんな、あっという間に抜かされるな』


「だね~」


 みんなで楽しくゲームをして、それが配信としても楽しければ、それはとっても嬉しいなって思ったんだけど。意外と難しい。




 それから一週間後、3Dフィールドゲームを再開するため、マップに集まった。


「今日は、いつもの神器早取り合戦に、ちょとした趣向をこらしました」

「趣向?」

「なんだろう」


「神器を一個から、三個に増やしました」

「三種の神器って訳ね」


「神器は、祠に祀ってありますが、祠の場所は秘密です。みなさんで探してください。手掛かりは、マップの随所にあります」

「たんなる、早合戦ではないんだ」


「マップの各所に、様々なトラップを仕掛けました。トラップを作ったのは、たこさんなので、今回、たこさんはゲームに不参加。代わりに、ゲーム実況をしてもらいます。チームがあたしひとりになってしまうので、チーム戦ではなく、個人戦です。3個の神器には点数が割り振られています。取る難易度が高くなればなるほど、高得点になります。全て取られた時点でゲーム終了。以上、よろしいでしょうか」


「OK」

「了解」

「わかった」


「今回は、難易度調整を含めたテストプレイなので、その辺を含めて挑戦して頂ければ幸いです」

「デバッグ兼用という訳ね」

「はい」




「それじゃ、始めましょうか」

「Are You Ready?」

「GO!]


 全員、一斉に空へ舞い上がる。




 LEDの色鮮やかなPC、キーボード、マウス。4面のモニターに、ゲーミングチェア。深く腰を落とし、これを見ている男がいた。


 彼は、女の子の3Dモデルを作り始めた。

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