#15 勝敗は神器の元に下った
スタートと同時に、猛スピードで、ピュアウイッチ・ピンクが飛んで行った。
「すっごい! さすがピンクちゃん。若いだけに飲みこみが早い。急いで追いかけなきゃ」
ボン! ボン! と爆発の衝撃がある。
「なに?」
背後から、可愛美麗と水色あさがおの魔法使いコンビが、追いかけてくる。
「ボム!」
「ファイア!」
呪文と同時に、爆撃と炎が飛んで来る。
「あたしに集中攻撃!?」
「ピンクちゃんが速いのは計算済み」
「たこさんと春花ちゃん、合わせて一個の標的になったのは好都合」
「まず、一気にふたり叩く」
右へ左へ、攻撃をかわしていた春花だが、ジェット噴射機に致命の一撃。煙をあげて海へ落ちて行った。
よし! とガッツポーズの魔法使い組。
海へ落ちた春花とたこさんウィンナーが、海から飛び出す。
「びっくりしたー」
「派手にやられたな」
「だいじょうぶ。すぐに修理しましょう」
たこさんウィンナーがジェット噴射機に触手をかざすと、機械はみるみる直ってゆく。
「よし! 直ったぞ」
「そもそも、たこさんが飛べたら、こんなめんどくさいことにならなかったんですよ」
「おっさんに、空を飛ぶなんてイメージできない」
「開き直った」
「そんなことより、急いだ方が良いんじゃないか」
「わかってます!」
水面に、パっと水しぶきが広がると、春花が岩山へ向かって飛んで行く。
俊足を飛ばして、あっというまに、祠に近づいたピュアウイッチ・ピンク。さらに近づこうとした瞬間、氷の矢が飛んできた。後ろを振り返ると、可愛美鈴が、魔法で氷の矢を撃っている。距離はあるが、着陸ポントを狙っているので、撃たれないように祠へ行くのは難しい。
ピュアウイッチ・ピンクは不思議に思う。魔法使いはふたり一組。水色あさがおさんはどこへ行ったの?
その頃、水色あさがおは、森の中を疾走していた。
春花とタコさんを落とせば、怖い敵はピュアウイッチ・ピンクだけ。ゴールの祠は岩山の頂上。開けた場所だから、近づけなければたどりつくことはできない。
FPSで培った可愛美鈴のシューティングで、ピュアウイッチ・ピンクを足止めし、森の中を隠れながら岩山に近づく。
ピュアウイッチ・ブルーが、静かに後を追う。
森を抜けると、岩山が姿を現す。切り立った岩肌に沿って上昇へ転じた時、声が轟く。
「ピュアウイッチ・ブルー・ドロップキック!」
キックが決まり、あさがおは岩山に激突して、気を失った。
ピュアウイッチ・ブルーは、岩肌を上昇する。
春花もまた、岩山の頂上に接近しつつあった。
「ピュアウイッチ・ブルー・ドロップキック!」
突然、ピュアウイッチ・ブルーこと、さくまどろっぷが蹴りこんできたが、間一髪でかわす。
「あっぶな!」
「チッ」
「魔法少女が舌打ちするな!」
「ピュアウイッチ・ブルー・パンチ!」
今度は、グーパンっで突っ込んでくる。
逃げる春花だが、ジェットの性質上、直線的にしか飛べないのに対し、ピュアウイッチ・ブルーは、曲線で飛んで来る。
「もう! たこさん、ちょっとは飛べるでしょ!」
「まあ、ちょっとぐらいなら」
春花は、たこさんウィンナーを掴むと、祠めがけて投げた。
「おまえ! なにしてくれるんだあぁぁぁ」
祠に着地したたこさんウィンナーは、中にある神器を手に取った。
「取ったどー!」
「やったー!」
「しまった」
「やられた」
「あたしたちのチームの勝ちね!」
悔しそうに見つめるメンバー。
神器を高々と掲げ、春花とタコさんウインナーは勝どきをあげた。
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