#12 ビールってなぜジャンクフードと合うんでしょう
今夜は、
『タコがたこ焼き焼いとる』
『タコがたこ焼き食べてる』
『共食いだ』
「たこさんの足、っていうか腕? 意外と自在に動きますよね」
「ぬるぬるだろ」
「言い方がいやらしい」
「8本あるからな」
生地を流し込んで、具材を入れて、丸める。実に手際が良い。
「あはははは。なんか、笑える」
「だろ」
『うまい』
『手際良い』
『うまそう』
『腹減った』
『そのたこ焼き食わせろ』
「ソースが良い香りなんですよ」
「皮がカリっとしてて、中がふわとろな」
「熱々、美味しかったす」
「ちゃんとタコ、入ってたろ」
「はい」
さくまどろっぷ、可愛美麗、ピュアウイッチ・ピンクの三人も、夏祭りの動画鑑賞会を開いていた。
手際良く、焼きそばを焼く、美麗。
『うまい』
『手際良い』
『うまそう』
『腹減った』
『その焼きそば食わせろ』
「美麗ちゃんは、料理、得意なの?」
「そうですね。よくやってました」
『味付け醤油か』
『ソースがいい』
「焼きそばは醤油派?」
「たこ焼きがあったので、味がかぶっちゃうと思って、醤油にしました」
花火を観ながら、たこ焼きや焼きそばを食べる。その時、さくまどろっぷの手元に、モザイクで隠された飲み物が。
『ビールじゃん』
『ビールでしょ』
「あれは、ノンアルコールよ」
『ウソだ』
『嘘だな』
「夜風にあたりながら、ビールを飲んで、花火を見る。最高じゃない」
『やっぱりビールじゃねーか』
『タイーホ』
同じ頃、春花とたこさんウィンナーもビールを飲みながら、花火を観ていた。
『たこさんウィンナーの口ってどこ?』
春花がたこ焼きを、あーんと、たこさんウィンナーの口に運ぶ。それを、パクリと食べる。
『口があった』
『普通に口だった』
『本物のタコと違う』
「たこさん、口にソースが」
「拭いてくれ。口で」
「それセクハラですよ」
春花は、浴衣の袖でソースを拭う。
「せっかくの浴衣が汚れるぞ」
「だいじょうぶですよ。ここはサイバー空間なんですよ」
春花が、袖をパっと一振りすると、汚れは消えてなくたった。
『便利な世界だな』
『洗濯機いらずです』
「あたしに焼きそば、食べさてくださいよ」
「なんでだよ」
「照れてるんですか」
焼きそばを箸でつまみ、春花の口元へ運ぶ。パクっとそれを食べる。
『リア充爆発しろ』
『爆発しろ』
『末永く爆発しろ』
ふたりそろって、ビールを煽る。
「ぷはー」
「ぷっは」
「美味しい」
「うまうま」
「なんでビールとジャンクフードって合うんでしょうね」
「ビールはなんとでも合うぞ」
「ウインナーとも合いますよね」
ドーンと、大輪の花が夜空に咲く。
「花火の物理演算。タコさん作ったんですよね」
「いや。コピペ」
「褒めどころだとおもったのにー」
「音が遅れてくるのは
「そこは作ったな」
「さすが。元SE」
花火を見上げる、可愛美麗、さくまどろっぷ、ピュアウイッチ・ピンク。
「打ち上げ花火を、直で観たのは生まれて初めてね」
「あたしも初めて」
「地元で花火大会、ありませんでしかたか?」
「あったけどね、観る機会に恵まれなくてね」
「花火は音だけ聞いたことある」
『楽しめ』
『十分楽しめ』
『たのしんで』
その配信を見ている、ひとりの女子高生がいた。
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