#07 転生って誰がやってるの?神様?

可愛美麗●ライブ


「こんばんは~。ニュースピリチュアル所属。可愛美麗です」


 『こんばんは』

 『こんばん~』

 『ニュースピリチュアル可愛い担当の美麗さん』

 『今日も違う服着てる』

 『似合ってます』

 『可愛い』


「どうもありがとう」


 『クローゼット部屋から配信したらいいのに』

 『瞬間着せ替え配信』

 『草』


「それ良いですね。やってみますね」


 画面から美麗が消える。


 『やるのか』

 『マジか』


 1分ほどで、着替えた美麗が現れる。


「着替えました。どうですか?」


 『ホントにできるのか』

 『ホントにできて草』

 『アバター何種類持ってるんだよ』




 一方。


さくまどろっぷ●ライブ


「こんばんは。ニュースピリチュアル所属。さくまどろっぷです」


 『はじまった』

 『こばわ』

 『こんばんロリ』


「四人そろったので、麻雀をやりたいんだけど、春花ちゃんと美麗ちゃんはルールを知らないので、教えて、麻雀沼に沈めようと思うの」


 『いいですね』

 『やっぱネトゲでやるの』


「実際に会えるんだから、本物の牌と卓で打つのよ。点棒とサイコロも用意してね」


 『それは本格的』

 『チョコレートも用意しないとな』


「もちろん、チョコレートを忘れちゃったら、麻雀にならないでしょう」


 『草』

 『女子二人が裸にされてしまう』


「脱衣は興味ないわね。そもそもたこさん、服着てないでしょ」


 『確かに』

 『草』




 一方。


「ニュースピリチュアル所属。たこさんウィンナーだ」


 『乙たこ』

 『乙~』

 『乙たこ~』


「この、ニュースピリチュアル所属っていうのを、毎回言わんといかんのだが、言いにくい」


 『たしかに』


「箱で推してもらうから、毎回、必ず言えと」


 『事務所に所属しているVTuberはだいたい言ってる』


「そうなの? じゃあがんばるか」


 『がんばれ』




 三人の配信を見た春花は、みんなが協力的に、箱推しに協力してくれていて、胸をなでおろした。次は、メンバーを増やすこと。とはいえ、積極的に転生を勧めるわけにもいかない。難しい。でも、めげない。いつか、あたし達が生きている事を、家族に、友達に、知らしめる為に。




 配信をしながら、冬コミのネタを考えていた。こればかりは、職業病だ。発表することはできない。するとしても、春花夏海秋月冬雪として。ダメ元で申請してみるか。


 せっかくVTuberに転生したんだから、それをネタにしたいな。とはいえ男性VTuberは少ない。つーか、ニュースピリチュアルの男はタコさんウインナーだけ。今までどおり、アニメの好きなカップリングで描くかなぁ。




 突然、空間にモニターが映った。


 『 先ほど、7歳の女の子がこの世界に転生しました

  年齢のせいなのか、死んだこと、転生したこと、VTuberのことなど

  理解できないようです 』




 ヴォン!




 そこには、小さな身体にランドセルを背負い、長い黒髪に黄色い通学帽を被っている女の子がひとり、体育座りしている。


「こんにちは」


 返事がない。

「こんにちは」




 春花は、じっと、その子を観察した。


 七歳にしては手足が細すぎる。ヨレヨレの服。手、足、顔に痣、髪はパサパサ、口元は切れて血が出た痕がある。虐待…。




「A or Bの選択は、いつまでにしなきゃダメなの?」


 『 24時間以内にお願いします 』


「24時間を過ぎても選択できなかったら?」


 『 アンインストールされます 』


「あたしが代わりに選択することは?」


 『 できません。本人の意思による判断が必要です 』




 この子が、この世界で、生きて行くか、行かないか。その判断をするのは、あくまでも、彼女の意思でなくっちゃ。


 24時間以内に、元気を取り戻してもらおう。

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