第23話「リリキュア」
「リラップ、ルラップ、ロロローン〜♪」
妹ちゃんの様子が変です。キラキラ光る虹色の杖を振り回しながら、彼女は私に変な呪文を唱えていました。
「何してるんですか?」
「お姉ちゃん知らないの?これは今のリリキュアの変身呪文だよ!」
リリキュアとは、女の子が大好きなヒーロー番組のことです。
思い返すと私が幼い頃、幼稚園のみんながまるで気が狂ったかのように変な呪文を唱えていたことがありました。私はそう言った番組に興味がなかったので彼女達の会話についていけなかった思い出があります。嫌な思い出ですね。
「知ったこっちゃありませんね。」私は冷たい言葉を返しました。
「是非とも見た方がいいよ!私、この前お母さんにリリキュアのDVD買ってもらったから今から見よ!」
「えー私はいいですよー」
「良いから良いから!お姉ちゃんも絶対ハマるよ!」
私はもう16ですよ?そんな子供番組なんかにハマるわけないじゃないですか。
〇
数時間後
「青いハートは正義の光っ!!リリアクア!!」と妹ちゃん。
「ピンクのハートは勇気の光っ!!リリハート!!」と私。
…………。
実に不本意ですが、私はリリキュアにハマってしまいました。
「お姉ちゃんなかなか良いじゃん!」
「そうですかー?」
「うん!まるで本物のリリキュアみたいだよ!」
「ヤッタ!ねぇ妹ちゃん、このリリキュアの杖はどこで買えるの?」
「これはおもちゃ屋さんで売ってるよ!」
「よしっ。今から買いに行きましょ!ついでにリリキュアのぬいぐるみも買ってあげますよ!」
「やったー!お姉ちゃんさいこー」
そして私は妹ちゃんと一緒におもちゃ屋さんへと歩いていきました。
「ついにククースまで……。」
「リリキュアのDVD買ってあげたのが間違いだったな……。」
「もう二人共いい大人なのに、大丈夫かしら?」
あ、ちなみに今回の妹ちゃんの年齢は15です。
その後、妹ちゃんの両親が私たちのことを心配そうな目で見送っていたことは私の知ったこっちゃありません。
【あとがき】
何かを好きになることに年齢なんて関係ありませんよね。
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