第16話「みんなかまちょ」


 私は鬱陶しいことが嫌いです。


 私は小さい頃から人との関わりをなるべく避けてきました。そのせいで私の対人スキルは著しく低いです。なのでしつこく絡まれた時には、私は過剰なストレスと嫌悪感を抱いてしまうのです。


 故に私は今回の托卵の家族には苦労しました。

 だって今回の家族は全員かまちょだったのですから。



「ねえククース!見て見て!この卵目玉がふたつなのよ!」


 最初に私にかまってきたのはお母さんでした。私が彼女の指さす先を見ると、そこには確かに2つ目の目玉焼きがありました。


 正直私はコメントに困りました。こういう時、普通の人ならなんと返すのでしょうか?


「……凄いですね〜」


 私は苦笑いを浮かべながらやっとの思いでそう応えるのでした。


「ククース!見てくれ!長い間苦労し続けてきた会社の資料がやっと片付いたぞ!!」


 今度はお父さんが私にかまってきました。そんな事を私に言って、彼は何を期待しているのでしょうか。正直私が返す言葉は1つです。


「……凄いですね〜」


 私はお母さんの時と全く同じ言葉を返すのでした。


「見て見てお姉ちゃん!!僕やっとこのゲームクリア出来たんだよ!!」


 今度は弟くんです。弟という生物は基本的にめんどくさい傾向にあると勝手に思っているのですが、彼は特に面倒くさそうですね。嫌な匂いがプンプンしてます。


 またしても私は応えます。


「……凄いですね〜」


 もはや私は凄いですねbotと成り果てていました。



 それから私はみんなかまちょな家族のせいで過度な疲労に苦しみました。人とのコミュニケーションは本当に疲れます。一体世の中の老若男女は、何が楽しくて人とコミュニケーションをとっているのでしょう?私には分かりません。


 それはきっと私には一生知りえない感覚の話だと思っています。だって私には知ったこっちゃありませんから。





【あとがき】

学校の課題のプロフィールカードで家族ネタを募集したらその枠に「みんなかまちょ」と書いてあったのでまんまSSにしました。

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