第11話「スポーツ一家」


 お姉ちゃんは陸上選手、お母さんはテニスプレイヤー、お父さんは卓球のチャンピオン。


こんなまるで漫画のようなスポーツ家族に出会うだなんて夢にも思っていませんでした。そして今、私はそんな家族の一員として、この国最大のスポーツ大会に参加することになってしまいました。


 種目は様々、先程述べた3つのスポーツを含め、野球、サッカー、ドッジボールやオムニキンなど、私が知らないスポーツが数多くありました。


「よし、みんな今年もそれぞれの競技で1位をとるように頑張ろう!」


「「おーっ!!」」


 私は乗り気ではありませんでした。というのも私は体育の授業を頻繁に見学するぐらい運動が大の苦手なのです。


正直私もスポーツ大会に出なければならなくなった事を心から後悔しています。しかもこの家族の子供である以上、1位を目指して頑張らないといけないみたいです。こんな事になるんだったら早めに逃げていれば良かったですね。


 困りました。

 どうしましょう。

 私が悩んでいたその時です。


「……縄跳び?」なんと種目の中の一つに縄跳びという項目がありました。私はほかに得意なものが無かったので、とりあえず縄跳びにエントリーしました。


 まもなく競技が始まります。


 はたして単なる成り行きで選んだこの種目で、私は他の参加者と対等に戦えるのでしょうか?



 〇



 結果、私は優勝しました。


 実は私、小学生の頃にとてつもなく縄跳びにハマっていた時期があって縄跳びだけは人一倍得意という自信がありました。どのくらい得意かと言うと、私は最高で四重跳びまで跳ぶことができます。これが得意の部類に入るかは分かりませんが。


 そして他の参加者についてですが、私が思っていたほど張合いがありませんでした。みんなあっさり負けていましたし、私は気付いたら優勝していましたし。むしろ私が1位で良いのかという疑問すら生まれてしまいます。


「くっそー悔しいっ!」


「負けたー!もうちょっと私の胸が小さかったら早く走れてたのにーっ!」なんかこの発言鼻につきますね。


「……負けた……三連勝……果たせなかった……」


 ちなみに私以外の托卵の家族の皆さんは1位を取れなかったみたいです。彼らは私の近くでがっくりと肩をおろしていました。


 なんだか私だけが一位を取ってしまって申し訳なくなってきました。

 まあ私の知ったこっちゃありませんけど。





【あとがき】

ククースは縄跳びが得意らしい。

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