第7話「お野菜」
「ククース……人生というのはトマトのようだと思わないか?」
「……へ?」
私は隣に座っているおじいちゃんの唐突な謎発言に思わず変な声が出ました。
私が今座っているのは庭が一望できる縁側。庭には耕された小さな畑が作られており、そこにはトマトやらピーマンやら様々な夏野菜が沢山実っていました。
ところでトマトのような人生とは一体?
「この世はまるでゴーヤのように苦々しい。社会人はまるでピーマンのように青々しい。」
「……。」何を言ってらっしゃるのかさっぱりです。
はて、ゴーヤのようにとはなんぞや?ピーマンのようにとはなんぞや?私の頭の中で延々と、ゴーヤとピーマンがぐるぐると回っています。
お年を召すと私のような若者には理解できない境地へとたどり着いてしまうのでしょうか?
「私の人生はもう残りわずか。この完熟したトマトのように鮮やかな頃にはもう戻れない。あぁ……なんとも悲しきことか……」
遂にはおじいさんはトマトと会話を始めました。私はおじいさんのテンションに全く着いて行けません。おじいさんが用意してくれた塩きゅうりをかじりながら、私は思いました。
おじいさんは感性が豊かですねぇ〜、と。
あるいはただただボケてしまってるだけかも知れませんけど。
まあ私には知ったこっちゃありませんね。
【あとがき】
たまに物凄く達観したことを言うおじさんがいますが、全てが全て納得出来るものという訳ではありませんよね。
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