◆閑話: 世界の果てを目指し 前編 @冒険者たち
本作初の別キャラ視点閑話となります。
世界観と舞台を同じくする短編とでも思って楽しんでいただけたら嬉しいです。
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深く雪が積もった険しい山道を、俺たちはただ黙々と歩く。
うんざりするほど進行速度が
普段なら鎧を着けたまま
くそったれ! 息が苦しい……。疲れが早すぎる。マジでどうなってんだ。
俺たち一行がこの山地に足を踏み入れてもう三週間になる。
最初のうちはこんなんじゃなかった。
山を登るにつれ、どんどん
そろそろ神官戦士に神聖術の祈念【疲労回復】を頼みてえが、奴は二日前に死んじまった。
つまり、この息苦しさをどうにかする方法が無くなっちまってるってことだ。
「おい、魔術師……。うまく、息ができねえ。ハァ……ハァ……なんとかしやがれ」
「無理だ。何度も言っただろう。辺りに毒の息が満ちてきておる。【
「ちっ……くっそまずい葉巻だぜ……」
「だが、これがなければ俺たちも死にかねん」
「荷袋に仕舞ったまま寝ちまった間抜けな
毒の息……なんでも、この山の上じゃ呼吸に必要な空気がどんどん薄くなり、替わりに人間を弱らせる目に見えない毒へと置き換わってるって話だ。なんだ、そりゃ。ふざけやがって。
人には吸い込むことができない毒へと変えられた山の空気を正常に戻す魔道具が、この特製の【葉巻】だ。……
一週間も前からはもう、ずっと咥えてても息苦しさの方が勝つようになっちまっている。
「おい、あの壁は本当に近付いてるのか? ハァハァ、麓に居たときから何も変わってねえぞ?」
「……わからん。それも何度言えば分かる? 未だかつて、あの場所へ
まったく、ろくでもねえ仕事を受けちまった。
行きにふた月、それで何も見つからなけりゃ引き返すって契約だが、まだ半分も過ぎてねえ。
破格の報酬だと思ったが、仲間が一人死んだことを含めて、まるで割りに合わねえぞ。
「俺も焼きが回った……か」
「ふん、四大ダンジョン攻略という偉業の
創世神が作り上げ、この世の四方の果てに配置したと伝えられる四大ダンジョン。
南西の果てに存在するは水底――
南東の果てに存在するは砂漠――
北西の果てに存在するは森林――
そして、北東の果てに存在するのが山脈――
グレイシュバーグ……ねえ……。
俺たちがずっと目の先に留めてきた、雲の上まで届く馬鹿でっかい壁みてえな山がソレらしい。
で、俺たちが目指してる目的地でもあるわけなんだが。
「……で合ってんだよな? 魔術師よぉ」
「そうだ。お前のような無知の
「そりゃあガキの頃からさんざっぱらお
「だろうな」
「冒険者仲間の間じゃ、
「ふむ、正確に言えば、支配属性は水と地ということになるのだがな。あらゆる魂の循環を司る太古の蛇グレイシュバーグが
ここいらじゃ
少しは【
「
「四大ダンジョンの中にあって、
「んん? 確か、水のダンジョンは行って帰ってきた奴がいるって話だぞ?」
「ふっ、助けたネーレイスに連れられて……か?」
「おう、それだ! 美人の人魚と一緒に海の底のダンジョン行ってよ、お宝がっぽり持ち帰って、どこぞの国の王になったらしいじゃねえか」
「単なるお
「ほうし……なんだって?」
「――おぉーい! 先になんかあるぞ!」
と、
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